9月30日午前10時千葉県の幕張メッセで株式会社東芝の臨時株主総会が行われました。


 私はこの会社の株式を持っています。不適切会計の事件があってから、9月14日に東京証券取引上から特設注意市場銘柄に指定されるなどして株価が下がっています。そんな中での株主総会ですから当然シャンシャン総会というわけにはいきません。


 自分自身株主総会には行ったことがありませんでした。ただ、最近顧問会社も増えておりいずれ株主総会絡みのお手伝いをしなければいけないというもあると思い、勉強にもなるので東芝の株主総会に株主として行ってみることにしました。


 過年度の決算書類の数字の訂正について説明が行われると、説明の途中で早速不規則発言。過去5期の数字を訂正しなければいけないのですから、誰が見てもこれは大変な事態になっていることがわかります。さて、いよいよ株主からの質問となると、厳しい質問が続出。


 「議長で社長の室町氏は今回の不適切会計に関与していなかったということで社長になったが、実際役員であったのだから知らなかったのか。しならなかったとすれば問題、知って何もしなかったのであればますます問題だ」「第三者委員会がどうなどと言っているのを聞くと他人事のようにきこえる。本当に役員は反省しているのか」「亡くなった土光さんという東芝の経営再建に尽力した先輩の墓前で土下座して謝れ」などと発言が相次ぎ、室町社長が「私は役員報酬の90パーセントを返上している」と述べると、「そんなの当り前だよ」と怒号の野次が飛ぶ始末。「不適切会計をやってイメージダウンの会社が環境問題や社会貢献のコマーシャルなどやってもわびしい」「内部告発などはなかったのか・なかったとすれば株主としてはそういう会社では心配だ」など。.本来ならば「質問」をしなければいけないのですが、自分たちの意見や気持ちが混じって「質問」になっていないものもありました。

 中には、「どうしてこんな都心から離れたところで株主総会をするのか。ここまでくるのに交通費が2000円もかかる」「自分は東芝の元従業員だ。言いたいことを言ったからすっきりした。もうこれで帰る」など「とにかく不満をぶつけたい」というような質問もありました。それに対して議長は「(いつも使っている)両国の国技館で日曜日まで大相撲をやっていて、リハーサルをする時間が取れなかったので、これだけの規模の株主総会をするのにはここしかなかったのです」と丁寧に答えていました。

 質問の中には、自分の感情を抑えられないと言ったものもありまいた。議長が「株主様。質問は簡潔にお願いします」と言っていますが、さすがに感情が混じって簡潔に質問などなかなかできません。

 それでも、役員への激励が混じるものもあり「経営再建に向けて頑張ってほしい」などというものもありました。


 結局いつまでも質問が尽きず1時近くになり、「あと2人ほどにします」と議長が述べると、「株主の意見をきけ、何のための株主総会なのか」と怒号が飛びました。

 そして、議案に対しての採決。採決の前に緊急動議で「賛成と反対の数をモニターで映してはどうか。反対の数がどれだけあるかということがわかったほうが役員としてよろしいのではないか」という発言がありましたが、その動議は「物理的に無理」ということで採用されませんでした。結局拍手と掛け声で決まるような採決になりました。議長が「出席された株主様の過半数の賛成で可決されました」と述べ、株主提案による議案は「出席された株主様の多数の反対で否決されました」などと述べていました。拍手の数や野次の数からすれば、拍手がぱらぱらでシーンとなる場面がありました。少なくとも会場に参加した株主の多数の意見が反映された採決とは思いませんでしたが、株主総会は1人一票ではなく持っている株式の数で票数が決まるので、委任状や議決権行使書の数など考えれば法的には問題ないのでしょう。


 最後まで野次は飛び交い「この会社はつぶれる。つぶれる前に株を売ろう」などと絶望の野次が飛び交う場面がありました。


 東芝の不適切会計については、海外だけではなく国内にも株価の下落に伴う損害の賠償を求める訴訟が起こす動きがあるようです。本日の株主総会の報告では、具体的に裁判所からの訴状の送達があったといった事実はまだないようですが、確かにこのような動きがあり、もし訴訟で賠償されるようならば自分も腕試しでやってみてもいいかな、など思ったりもしました。


 弁護士の勉強は、必ずしも法廷や調停室だけでやるのではなく、日常生活のいろいろなところに題材があることがわかりました。

 

 


 


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