先日ある司法書士事務所の営業社員の方とお話しする機会がありました。

 とうとう士業事務所も,専門の営業マンを雇って集客する時代がやってきたのかと思いました。


 どんな営業活動をしているのか聞いたところ,営業マンの一般的なイメージである,パンフレットを持ちながら見込み客を1件1件訪問するというようなものではなく,例えば不動産販売業者で宅建資格をとるために勉強をしている人たちを集めて勉強会を開く。そこから登記の仕事をとっていくということでした。営業マンがただ「仕事をください」と言っているだけでは見込み客からは下に見られる。ところが,このような勉強会,講習会を開けば,講師と生徒という関係なので目上の関係に立つことができる。その方も宅建の資格をもっているので,自ら講師をやっているそうです。


 また,営業活動は,資格をもたない従業員がやるべきで,資格をもった先生が自らしてはならない。資格をもった先生が直接そのようなことをしたら,かえって相手に下に見られて仕事を任せてくれない。先生はあくまでも権威がある存在で,頼りになりそうにみえなければならない。そんな先生が,パンフレットを持って「仕事をください」といってぺこぺこ頭を下げるようなことをしてはならないということでした。

 そういう意味で,士業事務所にも営業マンが必要になるのではないか。法律事務所でも営業マンを活用している事務所がでてきているということでした。


では,法律事務所で営業マン活用のメリットはあるのかと聞いたところ,例えば,講演会とか講習会とか,見込み客が集まりそうな企画をする。その企画の草案を練ったり,実務的な段取りを組んだりするのは営業マンであり弁護士ではない。弁護士はせいぜい講師をやるくらい。


 また,営業マンを採用するにはどんな方法があるか聞いたところ,特に特別なことをする必要はない。リクナビなど普通の募集の仕方で十分。また,営業経験者が好ましいが,営業経験者であれば誰でも言い訳ではない。企画型の営業活動を主にやっていた方が望ましい。

 最近大企業に勤務している営業マンも,本当にこのまま仕事をしていていいのかと,と転職を考えている方が結構いる。年収400万円程度提示すれば応募してくるということでした。そういう転職を考えている人は,年収が下がることは覚悟して,それでも転職を考えている方が多いようです。特に過去に司法試験を目指していたが断念して企業に就職して営業の仕事をしていた人などは適任のようです。


 よく講演会とか企画して行っている事務所の話は聞きますが,弁護士が何から何までやるものだと勝手に思っていました。確かに,営業企画など弁護士にはできない人の方がほとんどだと思います。

 法律事務所が,経営のあらゆる場面で弁護士以外の従業員の知恵と行動力を組織の中に組み込む。もうそういう時代なのかと思ったところでした。

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