福岡で,弁護士が預かり金2500万円横領したという記事を見ました。

 http://n-seikei.jp/2011/11/post-3413.html


  大体この種の記事は,弁護士倫理の欠如とか,社会的使命の欠如とか,モラルの面を問題視する視点で書かれています。


  確かにそれは正しいのですが,それは片面的な見方と思うこともあります。


  それは,横領に至った経緯によってです。

  横領に至った経緯が,FXや株式投資に失敗したとか,競馬や競輪などのギャンブルに使ったとか,浪費型の横領の場合は,モラルの欠如甚だしいという見方がまさに当てはまると思います。


  しかしながら,今回の横領をした方は違うようです。「金は事務所経費や生活費に充てた。」と述べているようです。これがどこまで真実かはわかりませんが,このような必要経費型の横領の場合は,果たしてモラルの欠如だけで説明していいのかと思うこともあります。


  詳しい経過はわかりませんが,例えば,「事務所経費に当てた」ということになると,事務所の運用資金をショートさせてしまったということになります。事務員さんの給料や事務所のテナント料,納税資金,さらには自分が食べるお金,生活費に不足が生じたということが考えられます。

  では,なぜ事務所の運用資金をショートさせる前に手を打たなかったのでしょうか。勤務弁護士なら必要ないかもしれませんが,自分で事務所を経営している場合は,「数字」には常に気を遣い,意識しなければなりません。今事務所の通帳の残高はいくらあるのか,ここ最近の入金と出金の状況はどうか,今後の支出はいくらくらいになるのか,弁護士費用はしっかり入金できているか,今月の新件受任件数は何件か。問い合わせ件数,相談件数は何件か。今年はボーナスが出せるか,いくら出せるか,税理士さんから毎月あがってくる月次報告書を見て,今月の売上はいくらか,販促費はいくらか,利益はいくらか,昨年の同時期と比べてどうか,などは常に意識していなければなりません。

 そうすれば,資金に不足が生じそうだとか,大体わかります。

 

 ただ,私が知っている弁護士の中には,こういうことに無頓着な先生も結構います。中には,1か月以上も通帳の記帳をしていないなどという弁護士も見たことがあります。

 逆に,毎日事務員さんに銀行に行ってもらい,毎日記帳をし,常に通帳の動きのチェックを怠らない方もいます。


 無頓着な先生の中には,職人気質の方が多いような気がしますが実際はどうなのでしょうか。今回の先生も,弁護団活動やプロボノ活動に熱心なところがあったようですが実際はどうだったのでしょうか。


 勿論,弁護士倫理やモラルが欠如しているから事件を起こしたんだ,ということもできるかもしれませんが,弁護士の経済的実態は,あくまでも「中小企業の社長さん」。その意識を,すくなくとも自分で事務所を経営している弁護士は強く持つべきではないかと思いますがいかがでしょうか。  

 もし「弁護士の社会的使命は人権保障と社会正義の実現で,銭勘定なんて性に合わない」というかたがいらっしゃれば,勤務弁護士のまま仕事をして,面倒な経営のことはボス弁に任せる。それがいいのかもしれません。

 

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