特に税金関係については,注意しないと思わぬ税金が課せられたり,損金で落とせると思ったのに落とせなかったりで大きな損害をこうむるおそれがあるので,注意が必要になります。
注意しなければならないうちの1つに,役員報酬があります。
主たる事務所と従たる事務所1つを持つ場合は,ごく例外的な場合を除いて,社員弁護士が最低2人は必要になります。
今まで給与を支給していた勤務弁護士を社員(役員)にする場合は注意が必要です。役員報酬を損金に含めるには次のような厳格な制限があるからです。次のものしか損金に含めることはできないようです。
①1ヵ月以下の一定期間ごとに毎回同額が支給される定期同額給与
②税務署に事前に届出をし、所定の時期にあらかじめ定めた額を支給する事前届出賞与
③業務執行役員に対する利益連結で、有価証券報告書に記載されるなど一定の要件を満たすものとなっている。
一番注意しなければいけないのは,①と②。つまり社員(役員)となった勤務弁護士の賞与です。
例えば,それまで月給35万円×12,賞与年2回で100万円×2としていた場合で年収620万円としていた勤務弁護士を役員にする場合,賞与分を事前に届出していない場合は,年間200万円の賞与は損金に含まれなくなってしまいます。
そうすると,税率がすべての税金含めて5割とした場合,200万円が損金で落とせないということになると100万円くらいの税金を今までより余分に払わなければいけません。
また,社員(役員)でなくとも,みなし役員という制度があって,従業員であっても実質経営にかかわっている者は役員とみなされて,給与という名目であっても,役員報酬とみなされて,損金で落とすためには厳格な規制がかかってくることになります。特に親族が従業員として働いていて,給与を払っている場合には注意が必要です。親族への賞与がみなし役員賞与と見られてしまうことがあるからです。ただ,厄介なのは,このみなし役員かどうかの基準が曖昧で,どの範囲までの親族ならみなし役員と見なされるのか,どこまで経営にタッチしていればみなし役員とみなされるのかよくわからないところがあります。
これらを知らないで,個人事業時代と同じように月給と賞与という形で支払っていたら,後で賞与は損金で落とせないとわかって大変なことになってしまいます。
弁護士の感覚では,会社法とか弁護士法とかの知識が先にくるので,例えば弁護士法人の社員(役員)は,弁護士法上弁護士資格を有する者に限られているのだから,親族であっても非弁護士の従業員が経営に関与することはないではないか,それを役員と見なすというのはどういうことなのか,などと思ってしまいますが税法ではそういう理解ではないようです。
今までは,勤務弁護士の賞与は歩合制とかそういう風に定めていたとしても,役員になったからには事前に決めておかなければいけないので,例えば歩合制といっても,前の年の歩合を基準にするとか方法を変えたりしなければなりません。
法人化といっても,色々新しく考えなければいけないことが多く大変です。
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