むかしむかし あるところに すぐおこる かにさんがいました
すぐおこるかにさんは みずたまりにうつったじぶんのすがたが かにだったことに とてもおこりました
やいやい そこのあかいやつ このおれをばかにしているのか
おこったかにさんは あかいからだを もっとあかくして そのてについた おおきなはさみを ちょきちょきしました
こうなると かにさんは もうとまりません
ちょきちょき ちょきちょき
ちかくにはえている きのはっぱをきってしまいました
これは たいへん
はっぱにすんでいた いもむしさんは おうちがなくなってしまいました
いもむしさんは いいました
かにさんかにさん どうかはっぱをきるのをやめておくれよ ぼくたちのおうちがなくなってしま
おこっているかにさんは やっぱり とまりません
ちょきちょき ちょきちょき ちょきちょき
こんどは きのえだをきってしまいました
えだにおうちをつくっていた とりさんも こまってしまい かにさんにおねがいしました
かにさんかにさん どうかえだをきらないでおくれ ぼくたちのおうちがなく
ちょきちょきちょき ちょきちょきちょき
ずしーん
なんと きを きりたおしてしまいました
きのしたで おひるねしていたくまさんのあたまに きが たおれて ぶつかりました
いたたたた やいやい かにさん ゆっくりやすんでいたのに なんてことをしてくれるんだ みてくれよ ぼくのあたま おおきなこぶが できちゃったじゃないか すもうでたいけ
ちょきちょきちょきちょき ちょきちょきちょきちょき
かにさんの おおきくて まっかな はさみはもうとまりません
ちかくの き という きを きりたおし、どうぶつたちのすみかを どんどん なくしていってしまったのです
にんげんたちは もりがなくなり きりたおされた きや おうちをなくしたどうぶつたちが ちらかっていることをみて それはそれは おどろきました
これはいけない むらのひとたちは はなしあって かにを とめることにしました
ああでもない こうでもない ちょきちょき ちょきちょき
ああでもない こうでもない ちょきちょき ちょきちょき
はなしあいをしているときも かには どんどん きをきりたおし
ついには にんげんのむらのちかくまで やってきてしまいました
そこで むらでいちばん だらしない おぼうさんが こういいました
かにさんも おもしろいものがたりをきいたら きっと わらってしまい おこることをやめてくれるんじゃないか
それは いい あいであだ むらのひとたちは てわけをして おもしろいものがたりをさがしました
これなんて どうだ ああ おもしろい つづきはどうなるんだ
これもおもしろいぞ ああ おもしろい どきどき わくわくの れんぞくだ
こっちに つづきをかしてくれ これもよんでみてくれ おい この あいだのまきものは どこにあるんだ
ちょきちょきちょきちょきちょきちょきちょきちょきちょきちょきちょきちょきちょきちょきちょきちょき
にんげんたちが おもしろいものがたりを さがしているあいだに もうそこまで かには きてしまったのです
あやや かにさん まってくれ ここに いびつに おもしろい ものがたりが あるんだ どうかどうか きいてくれ
おこりに おこった かにのみみに そんなことばは とどくはずもありません
もうここまでか むらびとの ひとりが まっかな かにのはさみを めのまえに めをつむったそのとき
どこからともなく うつくしいこえと やわらかくも あぐれっしぶな ぎたーの せんりつが きこえてくるのです
~うきが うすくてさ、 くだらーないはなーしはおもいつーくのにー きみをだきしめていいー りゆう だけがみーつかーらなーい あああー そうかー そーうだーよなー! ハッピーバースデー かたおもーいの おれー
自然とこぼれ落ちる涙 優しい歌声に蟹は その怒りを鎮め、誰もいなくなった山へと帰って行きました。
back numberで 「HAPPY BIRTHDAY」でした。
それ以来、蟹はback numberが好きだし
人間は部屋を掃除するとき漫画を読み返す生き物になってしまったのです。
どうもありがとうございました