津山事件の時に載せていた画像の再掲。拳銃やライフル、一部のショットガンには、このように銃身内部に「ライフリング」と呼ばれる螺旋状の溝が刻まれている。これにより弾の飛距離や命中精度が大幅に向上するのだという。
銃身内にこのような溝(ライフリング)の刻まれた銃から弾を発射すると、その弾の表面には、その銃に特有のライフリングの形状に応じた痕が残る。それを「線条痕」といい、いわば銃の指紋のようなものらしい。以下の画像、線条痕の一例。
犯罪捜査においては、犯行に使用された弾がどの銃から発射されたかを特定するために、この「線条痕」が調べられるという。
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「絶対にやるなよ! いいかわかったな!? 絶対にだぞ!!」
こう言われると、「そこまで言う裏には何かあるはず・・・」と勘ぐってしまうのが人の性(さが)だと思う。
旧約聖書の冒頭『創世記』でも、神はパラダイスで何不自由なく暮らすアダムとイヴに対して、
「お前たちはこのパラダイスにあるどの木の実を食べてもいいが、善悪の知識の木の実だけは絶対に食べるなよ。いいかわかったな!? 絶対にだぞ!!」
と言ったところ、案の定、アダムとイヴは、「あれはこの実を食べれば我々が善悪を知り神のようになるから禁じているだけ」と神の意図を勘ぐり、その実を食してパラダイスを失った。
それはいいとして、とある服役中の暴力団員が所有していた拳銃について、そこから発射される弾の線条痕がナンペイ事件で使用された弾の線条痕と酷似しており、その暴力団員は同拳銃について、
「入手経路は言えない。絶対にだぞ!」
と、かたくなに口を閉ざしているとのこと。
その沈黙に深い意味はないかもしれないものの、「絶対」とまで言われると、やはりなんだかその拳銃とナンペイ事件との関連を勘ぐってしまうのだった。
その線条痕については、ナンペイ事件で使われた拳銃のそれと「似ている」としているニュースもあり、「酷似している」としているニュースもある。
線条痕については、銃は発砲するごとに銃身内部に掘られた溝(ライフリング)が微妙に摩耗するので、発砲(ライフリングの摩耗)とともに、弾に刻まれる線条痕にも微妙な変化が生じるらしく、
「同じ拳銃なら、弾に刻まれる線条痕は、常に必ず一致する」
というものでもないらしい。
とすると、「酷似」というレベルなら、もしかすると、けっこういい線行ってるのかもしれない(?)
しかし、11年も前に押収された拳銃の話を今ごろリークなので、実際は捜査の行き詰まりの末に、風化防止・話題作りのためのネタ提供で出してきた情報に過ぎないのかな、という気もする。
下の点線部以下、三つほど関連記事を。
(三つ目の産経新聞の記事は、ナンペイ事件が被害者の一人である47歳女性への私怨によった可能性を示唆するもので、自分的には47歳女性への私怨による事件だとは思っておらず、金目当ての組織的計画的強盗事件だと思っているのですが、新たに出た記事でもあり、いちおう参考として紹介させていただきます。)
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■ FNN
https://news.yahoo.co.jp/articles/6a890f26706afe1ecfd463dffc46a61afdc0fb11
25年前、東京・八王子市のスーパーで女性3人が射殺された事件で、現場に残された銃弾と線条痕が似た拳銃を、警視庁が押収していたことがわかった。
この拳銃は、2009年に暴力団員から押収したフィリピン製の回転式拳銃で、発射時に銃弾につく線条痕が、現場に残された弾丸のものと似ていることから、この拳銃が犯行に使われた可能性があるという。
暴力団組員は、刑務所に服役していて、拳銃の入手経路について、「絶対に言えない」と話しているという。
(後略)
■ NHK
東京 八王子市のスーパーマーケットの事務所で高校生ら3人が拳銃で殺害された事件から、まもなく25年となります。警視庁が11年前に暴力団員から押収したフィリピン製の拳銃について発射実験を行ったところ、発射する際に銃弾につく「線条痕」と呼ばれる痕跡が、現場に残されていた銃弾についていた痕跡と酷似していることが捜査関係者への取材で分かりました。警視庁は、暴力団員が拳銃を入手する際に事件に関わった人物がいなかったか捜査を進めています。
(中略)
今月30日で事件から25年となりますが、警視庁が11年前の平成21年に暴力団員から押収したフィリピン製の回転式拳銃「スカイヤーズビンガム」について、発射実験を行ったところ、発射する際に銃弾につく「線条痕」と呼ばれる痕跡が、現場に残されていた銃弾についていた痕跡と酷似していることが捜査関係者への取材で分かりました。
昭和60年代後半から平成の初期にかけて、同じタイプの拳銃は数百丁密輸されているのが見つかっていますが、科学警察研究所で鑑定を行ったところ、「線条痕」が酷似していたのはこれだけだったということです。
この暴力団員は現在も刑務所に服役していて、拳銃の入手経路については「言えない」と話しているということです。
警視庁は、この暴力団員は八王子の事件には関与していないとみていますが、拳銃を入手する際に事件に関わった人物がいなかったか、拳銃の製造元のフィリピンに捜査員を派遣するなどして、捜査を進めています。
(後略)
■ 産経新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/5020649d3a151459a5b7eea98e3faeae13335e61
東京都八王子市大和田町のスーパー「ナンペイ大和田店」で平成7年7月30日、アルバイトの女子高校生ら3人が射殺された強盗殺人事件で、殺害されたパート従業員の稲垣則子さん=当時(47)=が拳銃で殴られるなど執拗(しつよう)に暴行されたうえ、銃撃された疑いがあることが20日、捜査関係者への取材で分かった。
事件は間もなく発生から25年。稲垣さんなどの襲撃が目的の可能性も浮上してきた。
捜査関係者によると、稲垣さんの遺体には上腕部に皮下出血があった。拳銃のようなもので頭部に殴り掛かられた際に腕で防ごうとした可能性がある。
また、稲垣さんの上半身の一部に皮下出血があり、着衣のねじれと部位が一致することも判明。上半身をつねられ、床に倒されたとみられる。
犯行現場のスーパー2階事務所には、店の売上金約526万円が入った金庫があり、金庫に向け、銃を1発発砲した形跡があった。
金庫は鍵とダイヤルロックの二重構造で、解錠方法を記載したメモは、事務机の目につきやすい場所に置かれていた。解錠の手順は稲垣さんらも知っていたとみられるが、犯人は被害者3人を2分ほどの間に次々と射殺した。
捜査関係者によると、事件当日は日曜日で、1週間のうち特に多額の売上金が金庫に保管されるケースが多かった。犯人は内部情報などから大金の保存を把握した上で侵入した疑いもあるが、短時間で3人を射殺しながらも、金庫の中の現金を奪わずに逃走している。
こうした中、稲垣さんへの執拗な暴行も浮上。警視庁八王子署捜査本部は、強盗目的に加え、稲垣さん襲撃などが目的の犯人が強盗を装い犯行に及んだ疑いもあるとみて、捜査を進めている。
(後略)