標題は、1988年に発生した有名な未解決事件なのですが、その現場となった名古屋市中川区との接点を感じさせる猟奇殺人事件は、他にも起きていまして、数年前にその犯人、
後藤明弘(現在51歳)
が逮捕され、裁判の上で有罪が確定していますので、まずは、そちらから紹介させていただきたいと思います。
(URLを張っていますが、リンク切れが多いです)
ネットでわかる範囲では、この男が三面記事に載ったのは、2000年の9月が初のようです。
女性宅に侵入し、盗みを働いた容疑でした。
■ 2000年9月24日 読売新聞
「愛知県警港署は23日、名古屋市中川区東中島町、運転手・後藤明弘容疑者(35)を窃盗の疑いで逮捕した。
調べによると、後藤容疑者は3月20日午前0時ごろ、中川区の女性会社員(32)宅に忍び込み、現金約13万円とリュックサックなど13点を盗んだ疑い。
23日未明に港区内で不審者がいると通報があり、警戒中の港署員が後藤容疑者を発見。職務質問したところ、持っていたリュックサックが盗品であることを認めたため、緊急逮捕した。」
その6年後に、またしても女性を狙った窃盗事件(ひったくり)を起こしています。
■ 2006年11月7日 毎日新聞
「愛知県警中村署は6日、名古屋市中川区東中島町2、無職・後藤明弘容疑者(41)を、窃盗容疑で現行犯逮捕した。
調べでは、後藤容疑者は6日午前11時45分ごろ、中村区上石川町の路上で、歩道を歩いていた天白区の女性(57)に自転車で後ろから近づき、持っていたハンドバッグ1個(現金約3000円入り)をひったくった疑い。
現場付近を警ら中の同署員が、女性用のハンドバッグを自転車のかごに入れて逃げる後藤容疑者を発見、逮捕した。『生活費がほしかった』と容疑を認めているという。」
コソ泥から殺しまで、何でもありの男だったようで(余罪はどれほどあるのでしょうか)、先のひったくり事件を起こす3ヶ月と少し前には、殺人事件を起こしていました。その後の数年に渡って未解決のままとなっていたその殺人事件は、他の多くの殺人事件とは異質な何かを感じさせるものではありました。以下、その記事を見てみますと、
■ 2011年8月27日 朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0827/NGY201108270031.html
「愛知県豊川市で2006年7月にベトナム国籍の派遣会社社員レ・ティ・リーさん(当時24)が殺害された事件で、名古屋地検は(2011年8月)27日、無職・後藤明弘容疑者(46)=殺人容疑で逮捕=が強姦目的で殺害したとして、殺人や強姦致死などの罪で起訴し、発表した。
起訴状によると、後藤容疑者は2006年7月28日夜から翌朝にかけ、レさんのアパートの自室に侵入し、 レさんの頭を鈍器で数回殴った上、首を絞めて殺害したとされる。
強姦は未遂に終わったとしている。
地検によると、アパートの隣の休憩施設に頻繁に立ち寄っていた後藤容疑者は事件の1年半前にレさんを偶然見かけ、一方的に好意を持った。その後、何度かレさんの部屋を外からのぞいたり、ドアを開けようとしたりしたという。
後藤容疑者の供述によると、事件当日、ドアの鍵が開いていたことから、いったんトラックに鉄パイプを取りに戻り、犯行に至った。
死後、室内にあった果物ナイフでレさんの腹を切り、携帯電話のカメラで遺体を撮影したという。このナイフは後藤容疑者宅から押収された。
捜査関係者によると、後藤容疑者は、『殺害後に腹を切ってみようと思いついた』と供述しているという。
岐阜県下呂市で今年(2011年)4月にコンビニエンスストア店員長瀬まゆみさん(当時44)=同県高山市=の白骨遺体が見つかった事件について、後藤容疑者が遺体の場所を示すメモを残したことを認めていることがこれまでに判明している。
岐阜県警は今後、関与の有無を慎重に調べる。」
同じベトナム人女性殺害事件について、ZAKZAKの記事は、
■ 2011年8月20日 ZAKZAK
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20110820/dms1108201527005-n1.htm
「愛知県豊川市で2006年7月、ベトナム人女性研修生のレ・ティ・リーさん=当時(24)=が死亡しているのが見つかった事件。
岐阜県高山市のコンビニ店員・後藤明弘容疑者(46)が殺害容疑で逮捕されたが、その行動の異様ぶりが注目されている。所持していた写真のなかに複数の女性の遺体画像があり、殺害後に遺体を傷付けたものも含まれているというのだ。あまりの異常さに専門家からは『ネクロサディスト(死体加虐愛好家)』との関連を指摘する声が出ている。
愛知・岐阜両県警捜査本部によると、レさんの死因は窒息死で、頭部には鈍器で殴られた痕があり、殺害後に胸や腹などに付けたとみられる複数の傷が確認された。腹部の傷は最大十数センチに達し、遺体に付着した唾液が後藤容疑者のDNA型の一部と一致したという。」
と報じると同時に、同記事中で、男の岐阜県下呂市での犯罪の可能性についても触れ、
「後藤容疑者は今年(2011年)4月、岐阜県下呂市の県道脇で、コンビニ店の同僚だった長瀬まゆみさん(44)=高山市=の遺体が発見された際、岐阜県警の聴取を受け、任意提出した資料に、リーさんの遺体写真が含まれていたことから逮捕された。
だが、資料のなかにリーさん以外の女性とみられる遺体もあり、事件は予想外の方向へと広がっていく。しかも長瀬さんの事件では、遺棄現場付近の道路に
『白骨死体がこの下にあり。110番通報願う』
とコーヒーフィルターに書かれたメモが見つかった。
同容疑者が自らメモを置いた疑いが高く、劇場型の連続猟奇殺人の様相も呈してきた。」
結局、このコンビニ女性店員の事件についても、男は送検されました。
■ 2012年1月14日 スポーツニッポン新聞
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/01/14/kiji/K20120114002430720.html
「(2011年4月に)岐阜県下呂市の山林で同県高山市のアルバイト長瀬まゆみさん=当時(44)=の遺体が見つかった事件で、死体遺棄の疑いで再逮捕された元コンビニ店員後藤明弘容疑者(47)のDNAが、遺体近くにあった長瀬さんの着衣から検出されていたことが14日、捜査関係者への取材で分かった。
また、後藤容疑者が偽名を使って、『現場に遺体がある』と県警に通報したとみられることも判明。県警は長瀬さんが死亡した経緯を後藤容疑者が知っているとみて調べを進める。
県警は14日午前、後藤容疑者を送検した。
送検容疑は昨年(2011年)3~4月、長瀬さんの遺体を下呂市小坂町落合の山林に遺棄した疑い。
関係者によると、長瀬さんの遺体は昨年4月、県道から約10メートル下の山林で、あおむけで顔と手の一部を除き白骨化した状態で見つかった。
そばには長瀬さんの衣服や下着が落ちており、その後の調べで、後藤容疑者のDNAが検出された。県道には表示板が置かれ
『白骨死体がこの下にあり』
と記されたメモがあった.。県警が遺体を発見する約1週間前には、『遺体がある』と伝える非通知発信の電話が下呂署にあった。
県警が昨年6月に任意で聴取した際、後藤容疑者は表示板を置いたほか『偽名を使って警察に通報した』と認めたという。
ただ『偶然現場付近を車で通り、長瀬さんの遺体を見つけた』などと話し、13日の再逮捕でも『(遺棄は)やっていない』と否認している。」
上の経緯を分かりやすくまとめたような記事が、週間実話にありました。
長いですが、以下に掲載させていただきます。
■ 2011年9月1日 週間実話
「2006年7月、愛知県豊川市でベトナム国籍の女性レ・ティ・リーさん(当時24)が殺害されているのが見つかった事件で、愛知県警は(2011年)8月6日、岐阜県高山市のコンビニ店員・後藤明弘容疑者(46)を殺人容疑で逮捕した。
後藤容疑者は、今年4月、岐阜県下呂市の山林で白骨死体となって見つかった同僚のコンビニ店員・長瀬まゆみさん(当時44)の失踪事件の参考人として浮上。
事情聴取を受けた際、任意で提出した携帯電話の中からレさんの遺体を写した画像が見つかり、岐阜県警が愛知県警に情報提供。レさんの遺体から検出された唾液のDNAが後藤容疑者と一致したため、レさん殺害容疑で逮捕されたのだ。
後藤容疑者は、『(レさんを殺したのは)間違いない。申し訳ないことをした』と容疑を認めている。
レさんは2001年9月に来日。事件当時はすでに在留期間が過ぎていたが、自動車部品製造の内職をしながら、収入の大半を故郷に送金していたという。
『この事件は最初から謎だらけでした』と言うのは、地元の新聞記者だ。
『部屋を物色された跡もなく、強姦された形跡もなかった。刃物で刺されている割には、現場に血痕が少なく、別の場所で殺されて運ばれた可能性まで指摘されていたんです』
被害者との接点はどこにあったのか。
実は事件当時、後藤容疑者は愛知県尾張地方の運送会社に勤務しており、トラックで現場周辺を何度も訪れていたのだ。
当時、レさんの自宅アパートの隣には、食品の自動販売機やゲーム機などが置かれたオートレストランがあり、そこが運転手らの休憩所になっていたという。
『深夜まで自宅アパート前の駐車場で、同郷の知人たちと話し込むレさんを見て、後藤容疑者が一方的に彼女のことを知っていたらしい』(捜査関係者)
未解決のまま5年の歳月が流れたが、捜査当局はこの事件を密かに重要視していた。
『レさんの直接の死因は首を絞められたことによる窒息死。頭部にも鈍器で殴られた痕があった。だが、刃物で切り付けられた傷は死後に付けられたもので、長さ数センチ~10数センチの傷が腹部などに数カ所あった。しかも、その傷口の周辺や乳房には舐め回したような痕があったのです』(同)
その異常な犯行手口から、“死体マニア”という犯人像が浮かんでいたからだ。
『死体を弄ぶことに興奮を覚える性的倒錯者は、一度殺人を実行すると、その快感が忘れられず、連続的に猟奇殺人を起こす可能性が極めて高い』(警察OB)
最初の犯行から息を潜めていた死体マニアの後藤容疑者が我慢できなくなり、長瀬まゆみさんを殺害、遺棄した可能性が高まっているわけだが、この間の奇行も当局を困惑させている。・・・
後藤容疑者は、遺体が発見される1週間前、
『山林に遺体がある』
と匿名で警察に通報。岐阜県警下呂署が捜索したが、積雪などで発見できなかった。すると今度は
『白骨死体がこの下にあり。110番通報を願う』
と書いたコーヒーフィルターを車載用の三角表示板に貼り付け、現場近くの県道に置いたのだ。
さらに不思議なことに、一連の行為やレさん殺害は認めているものの、長瀬さんの殺害や死体遺棄については『自分ではない』と頑強に否認しているという。」
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https://www.youtube.com/watch?v=sapa9StfTVA
https://www.youtube.com/watch?v=7H-pxRfp7tg
(2事件を報じるニュース動画、Youtubeより)
愛知県豊川市で起きたベトナム人女性殺害事件と、岐阜のコンビニ女性店員の事件、後藤容疑者はその両方について起訴され、2014年3月10日、前者については「無期懲役」が、後者については「懲役12年」が、それぞれ確定しました。