ここで吐き出す文章は汚物である。だいたい眠れない夜にツラツラ低レベルな怒りをプリプリ〜と漏らしてしまっている。しかし唯一本音を漏らす大切な便所のようにも思う。今回はシド・バレットについて思うことを漏らします。


ピンク・フロイドは中1か中2の夏に知った。マリヤっていうレンタルビデオ屋で借りて見た「サイケデリックロックなんたら」にバンドのライブ映像があった。ジミ・ヘンドリクスがトリみたいなビデオで、ドアーズとかも入ってたように思う。何じゃこりゃ?みたいな感想だった。殆ど意味不明だった。同じく借りて見た「パンクロックなんたら」の方が好きだった。ピストルズ、ダムド、クラッシュ、ラモーンズなど。多分ブルーハーツの影響だと思うけど、わかりやすかった。話しを戻すと、サイケデリックなんたらの中に、ピンク・フロイドとソフト・マシーンがずば抜けてかっこ良くて、見てはいけないモノを見てしまった感覚だった。友達にも言えない、CDも欲しいけどどれを買えば良いのか分からないからなかなか買えない。思い切って当てずっぽで小遣いでCDを一枚買ったのが、「炎」だった。全然思うてたやつと違うやんけ、全く良さが分からんハズレCD枠に入る。


それから数年たった。ニルヴァーナやダイナソーJR、グランジなどを当時友達と聴いてた。そんな頃にシド・バレットの「帽子が笑う…不気味に」を双子の兄者から聴かされた。その時の衝撃たるや、昔ビデオ屋で借りて見たピンク・フロイドの衝撃がデジャヴのように思い出された。その日に直ぐにCDを買って聴きまくった。モロだし無修正のエロビデオやん、と思った。歌も下手だし、ギターもカシャカシャなってるだけなのに、なんだこの胸騒ぎは!このラリってるイケメンのにいちゃんヤヴァイね。。直ぐに「その名はバレット」「オペル」を買って聴いたけど、さほどの衝撃はない。だけど全部好き。あれからもう30年くらいたつけど「帽子は笑う…」を超えるアルバムを聴いたことがない。永らくその衝撃を解明出来ずにいたんだけど、何年か前から薄々気がつきはじめてた。推測なんだけど、彼は幻の住人なので凡人が思いもよらない閃きが簡単に作り出せたんだろうな、と、こちら側から勝手にそう思い込んでいた。実際の所は、かなり努力して、苦しみながら捻り出して、魂削ってたんだと思う。統合失調症になったり、子どもの頃から天才だと期待されたり、それは兄そのものだった。僕が兄のことを心底嫌っていたのは、きっと子どもの頃にシド・バレットの取り巻きのように「こいつは天才だな」と強烈な光が眩し過ぎたせいだと思う。凄いやつだと知っていた。だからこそ、病気なんかに負けんなよおまえ天才なんやから、と実はめちゃくちゃ応援してたわけです。兄何たまたま持ってたCDにシド・バレットがあるのも必然に思う。「炎」のレコーディング中に太った知らんおっさんが勝手に入って来てて。誰やねんこいつ〜って訊いたら「シドやで…」と誰かが言うて。ロジャーウォーターさん号泣したそうです。めちゃくちゃ気持ちわかるぅ。サブタイトルあなたがここにいて欲しいゆうて。おるし!だけど、そのおっさんはかつてのシドじゃない。。人間って本当に壊れるんだ、とぼくも知ってる。僕たちが期待した通りに行かないのが本物の天才で、天才って何処か破綻してる人だと思う。とても魅力あるんだけど、一緒にいると凄くキツい。


大嫌いだよ、顔も見たくないよ、二度と会いたくない、、そんな気持ちもいまとなっては自分が作り上げた幻想にしがみついてただけだとわかる。

ぼくたち凡人が天才に太刀打ちなんかできるはずがないのにね。映画シド・バレット独りぼっちの狂気を見ても心は踊らなかった。あの時あの瞬間、シドさまも兄も間違いなくつき抜けた天才だった。