ホストの内情

風間のミーティングが終わるのを
ずっと下で待ってたが、いつもより長い。

そ～っと、店前に行ってしまった。

すごい、悲鳴が聞こえてくる。
腹を思いっきり蹴る様な音や、罵声。

最後に｢生き地獄だ｣と聞こえ

｢ギャ～～～～～～～｣

怖かったから、すぐ下に降りた。

風間には聞けなかった。

しばらくして噂を聞いた。

川口さんが店のお金に手を付けたと。
生き地獄で、アイスピックで両目を傷つけた。

怖かった。

他にも、先輩の客を寝取る調子乗り過ぎの
チャらいホストが突然いなくなった。

名古屋港に沈めたと聞いた。本当か嘘かわからないけど。
その後、一度も見た事ない。

可哀想だったのは、新人さん。

当時、ヤクザの組員が少なかった。
ヤクザは組員欲しさに、女を使って新人ホストに
色仕掛けして、美人局する。
けじめで、ホストクラブのオーナーとヤクザと話し合って
持っていかれてた。

誰もが、水商売する時って初めてだけど
すごい、田舎から都会に憧れてきてる子達は
騙されちゃってる子が多い様に思った。


川口さんの事もあり、風間のグループは店を辞める事になり
グループのトップが個人でホストパブをやる事になった。


辞める時の洗礼で、風間も顔がわからない位
ボコボコにされた。

しょうがないよな…
そうゆう店選んで入ったんだから。

江口との出会い

静香と、江口の経営しているヘルスに行った。

新装オープンだけあって設備も最新式で
綺麗な部屋だった。

でも、繁華街から離れているからか、
客層が違う。
飲んだノリで来てる訳ではなく、
ヘルスでサービスを真剣に受ける体制で
来てる客がほとんどで、私には合わない。

1週間位続けたけど辞める事にした。

江口は、｢かおりちゃんにピッタリの仕事があるんだけど｣
と言ってきた。

江口の彼女は金津園の超有名人で、
ある著名人の愛人でもあった。
著名人の子供まで作って、ワイドショーで
話題になってた。

江口は金回りが良く、サイドビジネスで
自分も有名になりたがっていた。

名古屋繁華街の一等地のビルで、ママとして店を出して欲しい。

家賃も売り上げもいらないから。

江口が全てスポンサーで店を出せばいいのね。

静香と即OKした。

内装も看板も、中の設備も全て整っている。

会員制として、新規の嫌な客が来たら追い返そう。

センスの悪い干支の置物があった。用心棒として
やくざから高値で購入するんだけど、この店には浮いている。
でも、変なやくざは来ないだろう～

明日から、OPENさせる事にした。


夜、クラブペガサスの風間に会いに行った。
ずっと飛んでいなかった川口さんに久々会った。

ホストも派閥やグループがあって、川口さんは
風間の先輩。お金と女の事でしばらく身を隠していたみたい。

久々に会う風間も、一皮剥けてホストらしくなってた。

ラストまで楽しく飲んだ。

風間に終わったら、下で待ってて。
絶対、店の前に来ちゃダメだからなって
念を押された。

これから何かが起こるんだ…

ヘルスの客

ヘルスの客には変わった人が
い～っぱい！いる。

真面目でイケてるサラリーマンが
服を脱いだら、ブラとパンツ。
出張中、洗ってすぐ乾くからと言ってるが
ブラの意味は？


夢で、神のお告げで
かおりちゃんに5万円、ティッシュに包んであげないと
災難が起こる。
毎日、その客はお告げがあるらしく
お金の時もあれば、ウォッカとアーモンドとか
いろんな物持って来た。
金が尽きて、来なくなっちゃたけど！


私に、心からのプレゼントと言って
受け取ったのが…
鉢植え。だけど、5㎝位しか伸びてない芽。
｢何これ？｣
自分の精子だけで、育てた神秘の木らしい。
気持ち悪い。


おなべの人もいた。
性転換して小さいチ○チンついてたけど
最後まで精子が出なくて、店長に聞いたら
ブティックのママに見初められて、男に変えられたって！
擦りすぎたから、痛かっただろうな～


50代のおっさんで、自分が女だと思って
おねえたまと呼んできて、
太ももでチ○チンを挟んで、絶対見せない。
頭はバーコドで、片方に長いのを下ろして
髪をかき上げるしぐさをする。キモっ！


部屋に入って、ずっとボディビルダーの技を
30分間、私に見せつけ帰って行く客。


自分から、アナ○バイ○持参でアナ○だけで
イカせて欲しいという、仕事中の真面目なサラリーマン。


彼女の許しがないと、来れないから
ヘルスのロビーで彼女を待たせる若い男。

出した精子を瓶詰めにして保管してる奴。


看板がファッションヘルスじゃなく
ファッションマッサージとなってる店では
かわいいファッションで、マッサージを受けると
思ってて、フロントで説明受けて帰る人。


もっともっと書ききれない位、変な人が多い。


仕事だから、どんな人でも相手に出来た。けど…

一番マイってしまったのが

餃子食べ放題に行った帰りの、酔っ払い客が、
シャワー室で私に向かって、全てを吐いた。
私、全身ニラまるけになった。
悲しかった。

ヘルスの管理

名古屋に帰って来た。

自宅には、クイーンの従業員がいる。

しばらく一緒に住むしかない。

従業員からしても、私は店の商品だったし
モニター管理で、私の裸も知っている。

女には思えないから、安心して一緒に住める。


東京で、あんなにたくさん稼いでたのに
残ってない。
10日で、約100万円は稼いでた。
愛本店に、同額並み使ってたんだな～
バカみたい。

早く仕事を探さなくちゃ！
クイーンには戻れないし…

いいお店を見つけても
モニター管理じゃなく、マジックミラー管理。

私はマジックミラー管理はどうしても嫌で
個室内のベッド横がミラーになってて、裏に通路がある。
そこを、従業員が歩きながら見る。
何か、生々しくて仕事がやりにくい。

覗き窓の店もある。
仕事中、目が合う事もあった。
それも、二人で見に来てやがる。
従業員からしたら、目の保養。
腹が立って、その店は辞めた。

ひどい店になると、女性週刊誌にパブ○○って募集かけて
遠方の方大歓迎！寮・食事付とでかでかと宣伝。

他県の人はわからないから
看板はヘルス○○なのに｢ここかな？｣と思って
入ってしまう。
その瞬間を写真で撮って、嫌がる女の子を脅して
働かせていた。

そう…サンサン観光のやり方だった。


どこか、早めに見つけないとと思った時
一緒に住んでる従業員が友達を紹介してくれた。

タクシーで1,000円位の距離で
ヘルス・ツインズがオープンしたばかりだから
来ないかと。

この、従業員の友達の江口という人に出会って
少しだけ生き方が変わる。

名古屋へ

毎日、頑張って稼いでも
仕事終わって、愛本店行ってれば
貯金なんて出来ない。

藤沢君の家の近くに住む引越し費用なんて
貯まる訳がない。

そろそろ、毎日ワンパターンの生活に飽きてきた。

TVがない事で、静香との会話しかない。
お互いの会話の節々にカチンっと来てしまって
喧嘩をする様になってしまっていた。

同性同士、一緒に住むのは難しいと勉強になった。


静香に、
｢私、名古屋に帰ろうと思う｣


静香は嫌がっていた。
が、このマンションは私に借りてくれたので
静香は出なくてはいけない。

｢藤沢君いい子だけど何か私、奴隷みたいな気分なの。
部屋を与えられて稼いで、そのお金はほとんど
藤沢君の売り上げ。飼い殺しって感じ。

藤沢君からは、私にとって幸せだと思う気持ちすら
もらってないのに、ここにいて働く意味がない様に思う。
他人から自分を見てみて！
上手に騙されてるんじゃない？って思わない？｣

静香は特に、相手のホストとプライベートで
一度も会った事がなかった。

私の言葉に納得したのか
静香も、名古屋に帰る事になった。


次の日、藤沢君に電話した。

善は急げで、新幹線乗車口から公衆電話で

｢今日、もう名古屋に帰るね｣

え？！
こんな急に？

ごめんね。マンション、外から鍵かけて
ポストに入れておいたから。

僕も、何もしてあげれなくて
来てもらったのに、放っておいて…
本当にごめん。
気をつけて名古屋に帰ってね。

名古屋に帰れる。
何か、ホッとした。
また、東京に遊びに行ったら愛本店で楽しもう～

ヘルス初出勤

ヘルス・ダイヤモンドに初出勤！

早めに出勤したから、部屋は確保出来た。

待機室やロッカーがないから
自分の荷物も、確保出来た部屋に置く。
自分がシャワー浴びてる間、怖いな～

名古屋と違って、自分の休憩時間はなかった。
次から次へと客が入って来る。

30分コース1本のみで
シャワーが2つしかないから
シャワー待ちで時間がとられてしまい
実質、客へのサービスは15分位しかない。

ハードだった。

1日8万円になった。

名古屋のいい時の2倍だ。
すごい！


しばらく、真面目に毎日通った。

プロ野球選手や有名人、芸人さんなどの客にも付いた。

皆、TEL番号を教えてくるけど
毎日すごい数のTEL番号で、誰の番号かわからないまま
終わる。


店が終わったら、新宿へ直行。
居酒屋でご飯食べて、飛び込みで
面白そうな名前のパブで飲んで、愛本店。

日課になっていた。

藤沢君が、終わったらサーフィン一緒に行こう！って

一緒に行ったけど、夜のスーツにヒール。
最高に楽しくなかった。

サーフィンからまっすぐ帰って来て
家まで送ってもらった。

何か、男といて何もなく帰るのって
あまりない事だから、変な感じがした。

藤沢君が、わざとジラしてるのかもしれないけど

私は、SEXしないと本当の自分が出せないタイプだと
気付いた。

藤沢君はいい人だけど、ここまで来ると
好きになる事はないだろうな～

ヘルス探し

静香と、風俗情報誌とスポーツ新聞を見て
まず、歩いて行ける池袋をまわった。

名古屋と違い、東京は設備が古いから
直接、店に行って見学してから面接したい。

池袋は古いヘルスばかりだった。

どこも、良かったらおいでよ～と言ってくれたが
二人とも雰囲気が嫌で、他を探した。

歩いていたら、前に浮浪者が歩いていた。
突然、止まったから私まで足が止まった。

1万円落とした～と
ワーワーわめき始めた。

私の真後ろにも浮浪者がいて、私を指差し

｢この子が取った！！！｣
と大声でわめいていた。

名古屋でこんな経験ないから、怖かった。
今後、気をつけなくては。


池袋ではいい店が見つからなかった。

スポーツ新聞に大塚か高田馬場に数店舗募集が載ってる。

まず、高田馬場行こう。

栄通りに3店舗位あった。
外観は、池袋よりコッチのがいいね！
入ってみよう。
飛び込みで入った。

個室5部屋で、海の家のシャワーみたいなのが2つ。
店員が、若くてカッコイイからここにしようと決めた。

女の子の在籍は早番・遅番入れて50人位。
早く出勤した人から部屋を与えられ、仕事が出来る。
遅れたら、その日は帰るというルールだった。

名古屋では考えられない。
部屋10部屋近くあるのに、女の子が足りない店が多い。
個室も、必ず1部屋に1つシャワーがあるのに。
ビックリした。

明日の5時からの出勤が決まった。
アルバム指名の店だったので、
ポラロイドで、写真撮りだけして帰った。

仕事も決まって、ちょっと気分が楽。

今夜は、愛本店に飲みに行こう～


藤沢君に、仕事が決まったと報告。

お金貯まったら、一人で俺の家の近くに
引っ越して来て欲しいって。

ここに飲みに来てたら
お金なんか貯まらないのに…

明日から、まず本気で仕事頑張らなくっちゃ！

東京へ引越し

クイーンの店長に、

東京で働きたいから、お店辞めると話した。

静香も私も稼ぎ頭だったから、反対された。

でも、自分を試してみたいとお願いして
辞める事が出来た。

その日、クラブ・ペガサスに行き
風間にも話した。
大反対してた。
話があると、仕事中なのに店外に出て
風間の家に向かった。

俺はお前に本気だから、
東京行きは嫌だけど、お前を信じる。
お金貯めたら、すぐ帰って来てくれよ。
と言ってSEXして、風間は店に戻った。


静香と引越しの日にちを決めて、藤沢君に電話した。
喜んでいた。

いつでも名古屋に戻って来れる様に
引越し中、私のマンションは
クイーンの従業員に貸す事になった。


引越し当日、静香の客が東京まで車で送ってくれた。

東京に着き、すぐ藤沢君にTELをして
愛本店の店前で、鍵と住所が書いてある紙をもらった。

無事、家にたどり着いた。

静香と、仕事行って飲んで帰って寝るだけなら
十分な広さの1Kだった。

寝るだけのつもりだったから、TVも持ってきてない。
洋服と靴だけ。


お腹が空いたから、コンビニを探した。
歩いて3分位の所に、ミニストップがあった。
夕飯と風俗情報誌とスポーツ新聞を買って帰った。

静香と、明日は働く所見つけよう～
池袋と新宿の間を探そう！

その日は食べてから、公衆電話で風間にTELをした。

風間に最後に言われた言葉を、思い出してしまって
会いたくなる。
明るい風間の声を聞いたら、名古屋に帰りたくなる。

これから、東京で藤沢君ともどうなるのか
何にも、先が見えない生活が始まる。

どん底に落ちません様にと、願いながら寝た。

陽子がソープ

アルコール依存症は、今までの病気の中で
一番辛かった。

朝は日本酒飲まないと、目が覚めない。
出掛ける時は、水筒に日本酒入れて
歩きながらでも、飲んでた。

アルコール以外、食べ物は、全く受け付けなく
吐いてしまう。

難民の子供達みたいに、栄養失調でお腹がポコっと出た。

薬と、自分自身の根性で治すしかない。

時間をかけてでも、治さなくては！


陽子にしばらく会っていなかった。

久々に会ったら、ヘルス青い泉を辞めて
名古屋のソープランドで働いていた。

ヘルスは短時間で、精子出さなくちゃいけないから
大変なのに、もらえるお金が少ない。

どうせ同じ様な事するなら、
ソープのが、のんびりやれるし金もいいから
陽子はソープ向きだわ！

って言ってた。


私も下半身が強かったら、ソープやってみたいと思ってた。

でも過去の毛じらみ事件の時に、治療方法がわからなく
ヤクザに、水銀軟膏塗れば一発だ！と言われ
もらって塗った。
それから、ただれてしまって弱くなってしまったので
何人も何回も…出来ない。


陽子は真面目にやってるみたいだから、安心した。
でも、その真面目の裏にはやっぱり・・・

ソープランドの店長とデキてた。
一緒に旅行に行った写真を、見せてもらった。

幸せそうだったけど、また従業員か！って感じ。

でも陽子も落ち着いてきたとこだし
私は、藤沢君が用意してくれるマンションに住んで
東京のヘルスで稼ごうと決めた。

藤沢君からTEL

実家で夕方まで寝て、
そのまま新幹線で名古屋に帰った。

早速、留守番電話が入っていた。

藤沢君だった。

連絡が欲しいと。

TELした。

もう、

麻美？無事名古屋に着いた？
今から名古屋に行きたいって。

プロだな！

藤沢君が、池袋にマンションを用意するから
東京に住まないか？って。


名古屋生活も、飽きて来たしな。


静香に話してみたら
静香は行きたい！と…

じゃ、行っちゃおう～と思ってたら
またまた、私に異変が…

アルコール以外の物を食べると吐いてしまう。

小さい病院では原因がわからなく
大きな病院へ行った。

内科で胃カメラや、いろいろ調べた結果
最終的には精神科に回された。

毎日、多量のアルコールで肝臓、腎臓は悪くなってた。
腎臓は機能が弱くなって、利尿剤飲まないと尿が出ない。

原因は、アルコール。

よく考えたら、朝起きて日本酒。
昼も夜も。仕事してる以外アルコール漬け。

精神科での結果は、アルコール依存症だった。