完了形について、第2弾です。今回は叙法の助動詞(Modalverb)を伴う文の現在完了形についてです。後半は上級目指す人用の文法が入ってます。


まず基礎ですが、叙法の助動詞は以下の6つです。

①können
②dürfen
③sollen
④mögen
⑤wollen
⑥müssen


そして、これらの助動詞が構成する現在完了形は2パターンあります。


イエローハートパターン1イエローハート

これらの助動詞が、助動詞ではなく、Vollverb… つまり動詞として機能する文章では、補助動詞のhabenとPertizipII(過去分詞)を伴い、現在完了形を構成します。


イエローハートパターン2イエローハート

これらの助動詞が叙法の助動詞として機能していて、別の動詞の原形が文章に入っている場合は、補助動詞habenを伴い、現在完了形を構成します。


では、どうなるのか? パターン1から見ていきたいと思います。

現在形
Ich kann Englisch gut. (私は英語が得意です)

現在完了形
Ich habe Englisch früher gut gekonnt. (以前は英語が得意でした)

gekonntはkönnenの過去分詞です。現在形ではkönnen以外に動詞が見つからないので、動詞として機能しているのがわかります。

文法的には、完璧な完了形なのですが、ここで落とし穴が…

ドイツ語という言語は、「出来るだけ少ない語数で意味を伝えることが望ましい」とされる言語であるという点です。

その為、“Ich habe Englisch früher gut gekonnt“. という文章は、文法的には120%正解なのですが、実践的では無いのです。実際、同じ内容を伝える時は、“Ich konnte Englisch früher gut“と、過去形を使った方が、語数が少なく、スマートとされます。

なので、このパターンの現在完了形は、現在では、日常生活ではほぼ死滅しているパターンです。(よくある、語学学校でしか勉強しない文法パターンです)。


パターン2はどうでしょう?

現在形
Ich kann gutes Deutsch sprechen. (私は上手なドイツ語が話せます)

現在完了形
Ich habe früher gutes Deutsch sprechen können. (以前は、私は上手なドイツ語が話せました)

過去形
Ich konnte früher gutes Deutsch sprechen.  (以前は、私は上手なドイツ語が話せました)



やはり、過去形の方が語数が少ないので、このパターンもほぼ死滅しているといっても過言では無いです。お目にかかるとしたら、語学学校か、ドイツ語のテストでしょう。



そして、このパターン2の注意点です。現在完了形になる場合、文の2番目には、補助動詞であるhabenが来て、habenと共に現在完了形を構成するkönnenが文の一番最後に来て、können(助動詞)と対になるsprechenがkönnenの前に来ます。この時、könnenは過去分詞ではなく、原形と同じ形であるのに注目です。なぜkönnenが最後に来るのかというと、補助動詞habenは叙法の助動詞könnenの補助動詞であるからです。



ドイツ語では、「簡素が一番!」という事で、補助動詞のhabenがあり、動詞右矢印補助動詞と繋がる並びから、完了形であることがわかるため、können は分詞の形を取らないんだそうです。




イエローハートさらに面倒くさい、副文(Nebensatz)の完了形(レベルB2以上)


注意 ※ この先は上級目指す人以外は、全く必要ない、面倒臭い文法の決まりです。



副文では、主文と違って(主文では、文の2番目)、変化する動詞が分の一番後ろに来るわけですが、ここで面倒くさい完了形。


Ich habe in einer deutschen Firma gearbeitet. 
Ich habe früher gutes Deutsch sprechen können. 

この文を、副文を伴う接続詞weil(なぜなら)でくっつけてみたいと思います。


普通に考えると、副文で格変化する動詞は最後に来るので、

Ich habe in einer deutschen Firma gearbeitet, weil ich früher gutes Deutsch sprechen können habe

としたいところですが、実は下矢印なりますゲロー


Ich habe in einer deutschen Firma gearbeitet, weil ich  früher gutes Deutsch habe sprechen können

動詞の並びの一番初めに格変化する動詞が来て、それ以外は普通の副文の並びになりますゲッソリ

なぜこうなるのかは…「そういう仕組みだから真顔」だそうです。


動詞が3つ以上ある完了形が副文に入り込んだ時だけ見られる現象なんだそうですが、私にとっては、ドイツ語七不思議の一つですチーン


DaF(外国語としてのドイツ語)の教授をしていた方曰く、滅多に出て来ない文法なんだそうです。何故なら、過去形で表現した方が簡単な為、ドイツ人でも、こんな面倒臭い並びで話す事は滅多にないんだとか。


あまりに見かけない文法なので、ちょくちょく復習しないとすぐに忘れかけてしまいます。上級ドイツ語を目指す方のみが必要なゲロ面倒な文法でしたゲホゲホ



次回は仮定法について、お話ししたいと思います。





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