
妻との出会いは28歳の11月末。
3年付き合った彼女と酷い別れ方をしてから半年後くらい。
大学時代からの親友のクロマル君の紹介で出会った。
その日は普段から仲の良い友達5人で池袋のワインバルに行こうとなっていた。
後からクロマル君が友達を1人連れてくると連絡があったので4人で勝手に飲み始めていた。
クロマル君は仲良くなった人をどんどん他の友達に紹介して仲間を増やしていくコミュニケーションお化けなので、その日も人を連れてくるのはいつも通りの事だと思っていた。
最初のボトルが空いたころにA君が友達を連れてやってきた。
色白丸顔で知らない人ばかりの居心地の悪さのせいか少し声が小さいけど優しそうな女性だ。
名前は「ユウ」と言った。
メインの仕事はフリーのメイクアップアーティストであり、ここ東京ではなく滋賀県出身な事。
メイクの仕事の合間にA君が所属している会社の販売店で化粧品の販売員をしていること。
同い年であること。
1時間ほど過ごして馴染みの居酒屋に行くことになった。
すぐ近くにある店長が刺身やらお酒を異様にサービスしてくれるお店だ。
ちなみにその店は潰れてしまい今はもう無い。
ユウは良く笑うが少し抜けたところがあった。
質問とは関係ない天然ボケ気味な回答が返ってくる事が多々あり、みんなそれで笑った。
さらに1時間ほどが経って、ユウがこれからメイクの仕事に行くという。赤坂のテレビ局で仕事らしい。
またクロマル君に連れられて飲みにくるだろうと思い、みんなそれぞれに挨拶をしてユウは席を立った。
面白い人連れて来たねーとかクロマル君と話していると、ユウが戻って来た。
忘れ物かと思ったら、
「駅の場所がわからへん…」
駅までの道のりは説明するのは簡単だが、おそらくこの人はその説明では駅にたどり着けない気がした。
少し酔い覚ましも兼ねて駅まで私が連れて行くことにした。

駅までの数分間、何を話したかは覚えていないが、別れ際に連絡先を交換したので悪い雰囲気ではなかったと思う。
こうしてユウと私は初対面を終えた。
店に戻るとクロマル君がニヤニヤしながら言った。
「ヒロキ(私)の好きなタイプでしょ?」
あ、なるほどなと思った。
クロマル君は気を利かせたのかどうか、とにかく私の好きそうなタイプを連れてきたのだ。
そしてユウはその通り、好きなタイプだった。
「あー、良い子だよね」
まんまと目論み通りの返事をするのが悔しくて、虚勢を張った返しをしたがクロマル君にはモロバレだったようだ。
すぐに連絡先を交換したことをあっさり看破されイジられ、みんなの酒の肴にされることとなる。
その日のうちか、次の日かは覚えていないがユウにメールを送った。
「今日は楽しかった」とか当たり障りないところから始まり、数日間やり取りが続いた。
いつの間にか2人で飲みに行く約束をしていた。
メールのやり取りをするにつれ、私は確実にユウに惹かれていった。
地元から遠く離れた東京で健気で思いやり深く強かに仕事に打ち込み、それでもどこか抜けているキャラクターに惹かれたのだ。
妻との出会い(2/2)へ続く。
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