収穫シーズンを終えて | 夫はフランス人、膵臓癌になりました (ワイン畑の中の3人家族)

夫はフランス人、膵臓癌になりました (ワイン畑の中の3人家族)

フランスで出会い、嫁ぎ、娘が生まれて7か月、夫が膵臓癌になり、2020年4月に旅立ちました。闘病の記録として始めましたが、その後の日々の生活や想いも綴っていこうと思います。

もう10月。

この村の収穫は9月中旬から始まり、今もうどこも終盤。
私も2週間、4月末から雇って頂いてたところで引き続き働かせて頂きました。

今年はブドウの収穫ではなく、収穫の後の選別と醸造工程をさせて頂きました。
有難いことに、季節労働者以上の事をさせて頂いており、
また年末からワイン栽培・醸造の9か月の研修をやらせて頂く予定です。
これでワインの仕事の半分はもう経験しているのですが、更にこの研修では修了証がもらえます。
冬の剪定、トラクターが習えれば一通りの事が解る事になります。

引き続き雇って頂く、もしかしたらCDI(正社員的な)事を視野に入れて頂いてる?

有難い事です。

私にとってワインの仕事、それは

精神的に夫を感じる為、
Mに父親が何をしていたか伝えらえるようになる為、
シングルマザーとして今ここで生きる為、
元々自分が興味を持っていた、
義理弟を見返す為、

と、色んな大事な事と義理弟という邪念が混じった特別な事。

昨年12月からの闘病を経て4月4日に夫が亡くなってから、
悲しみと、不安と、理不尽への対応や、周りとのズレとのチグハグ。

雇って頂いてなければ、私はどうなっていただろう。
鬱になって、
Mほっぽりだして飲んだくれて荒れて、
義理家族に八つ当たりして、
おかしくなってたんじゃないかと思う。

そして、雇って頂いたのはとても幸運。
例えば、夫の友人にこの村のワイナリーの当主は何人もいます。
でも、彼らとは最低限の接触しかしてません。

自分から助けを求めたら何か返事はあったのかもしれませんが、
または、ワイナリーで働くことが私を救う事になるなんて思わなかったのだとも思います。
何せ、この村では女がワイナリーで主力で働くなんて疎まれる傾向があるのです。

諸々、綴りたいことはあるのですが、
とにかく、今雇って頂いている事そのもの、そして何かしら認めて頂いてる事はとても貴重な機会なのです。

それを
車で30分程する村でりんご収穫の仕事を今週から始めている今より実感します。

夫の知人関係のお兄さんの経営するリンゴ園で、紹介して頂きました。
冬の剪定の仕事は来年1月から、
研修は12月から。
10月、11月と働かせて頂けるのは精神的にも経済的にもありがたく、
これはこれでのんびり、いいのです。

私の住む夫の村とは関係ない村。
人々は夫の事もこの村のワイナリーの事もあまり知らない。

私が未亡人であることも、まだ知らない。

この村では珍しいただの日本人、いやアジア人。
噂もなければ、人柄も不明。

まっさら!

ある意味、フランスでは私にとっては初めての事態。
というのも、
今までどこのワイナリーで働くことになっても、
村の人が皆知ってる夫、夫のワイナリー、そしてその妻。

そんなにしゃべらなくても受け入れてもらえる、
不信を持たれない、
という楽さがありました。
間違ってもここでは差別的な発言を受ける事はまずない。
例え、心の中で思う人がいたとしても建前上言わないだろう。

それは、夫、義理両親がいるから。
守られてると思います。

夫がどれだけこの村で信頼され、きちんと人生を積み重ねていたか。

ところ変わってリンゴ園では、
私はただの中年のアジア人、
肩書なしの裸で勝負!

そんな気負いはせずとも、
のどかな人々なので無理も必要ないのですが、
改めて客観的に自分を見直すきっかけになりました。

ここだって、夫がいたから
信頼されて紹介してもらったのです。

何から何まで、
夫は私を助け続けている。

私の周りの人々の間で、彼は息づいている。

私も自立しなければいけない、
そうしようとしたい。

でも、夫は十分に今でも
その手助けをしてくれてる。

毎日「帰ってきて!」って
なんども心の中で呟いてます。

ブログで綴る事で、
改めていつもいてくれてると気づきます。

色んな方のおかげで、
悲しみを解決する方法なんてない事、
時間で解決しない事、
それがまともな事だと思う今です。

愛する人がいた未来を亡くして、
苦しんでる時に何もできなくて、
その苦しみの向こうで何を想ってたか、、、、

いっぱしの感情を持ってたんだな、私。
辛いと感じてるという事は。

Mに今後持ってほしい感覚、愛情、思いやりがあるって事かな。

さて、
Mはまだしゃべりませんが、
なぞの言語を○△■?■〇◎▽!と発しています。
その中でも
パパー、パパー、パパ?
と意味なく発しています。

父=パパ、ではなくて乳=パパと言ってるのでは?
と思ったり。
ママとパパを勘違いしてたり。
でもしっかりパパの写真にはパパと言ってるのは正解。

可愛いのぉ。
可愛くて仕方ない。

私が娘に甘えている。

気候温暖化の影響も顕著な中今年はコロナでフランスのワイン産業も厳しく、
(おそらく他国も)
アメリカの大統領選討論も迷走し、
中国の一帯一路が着々と実現に向かってる。


将来、
大丈夫だろうか。

YouTubeをだらだら寝る前に見て、(テレビ見ないので)ペルーのマリノ モリカワという方の事を知って、
(汚れた湖をきれいにされてる)
少し、希望を感じて

落ち込み傾向のこころに
少し救いを得ました。