その人は、他人に対して心から感謝したことがない(多分)。

その人は、他人に対して本気で謝罪したことがない(半分本当)。

 

その人にとっての形だけの感謝の言葉は、投げつけるような「わるいな!」。常に上から目線。

誰かに親切にしてもらっても、何か物を頂いても、いつもその一言ガーン

 

他人に迷惑をかけても、悪いことをしても、また、それを指摘・抗議されても、

知らん顔をするか、仕方なく言葉を発したとしても「悪かったな!」…以上叫び

 

決して頭を下げるという行為はしない。

己の過ちや未熟さを認めて反省することは決してない。

 

ある意味、すごい人。

いい根性してる…という意味で汗


私が知っている限り、それで80年以上生きてきた。

もしかしたら、子供時代や嫁入り前は、素直に「ありがとう」や「ごめんなさい」が言えたときがあったのかもしれないけれど。


負けないように、くじけないように、

鋼鉄の鎧を着ているようにも見える。


武装していれば傷つかないし、感じない…。

長い年月、そうやって身を守って生きてきたの?


おばあちゃん・・・

あと1日かも知れないし、あと十年以上かも知れないけれど、

ありがとう」と「ごめんなさい」という言葉が心を伴って言える日が来たら、

この世での大きな課題がクリアできると思うよひらめき電球

 

できれば、貴女の意識がクリアだったときにそれが出来ていれば、

貴女の80余年は、不満と苦労だらけの人生ではなく、

愛に満ちた幸福な日々に変わっていたかも知れないのに…って、ずっと残念に思ってたいたの。


だけど…

 

貴女に出会って一緒に暮らし始めて四半世紀経った今、漸く、初めて「ありがとう。」って言ったねニコニコ

 

何の躊躇もなく、自然にキラキラ

 

認知症という病を患って、

意識が嵐のように吹き荒れて周りを振り回すときもあれば、

お花畑にいるような穏やかさで、トンチンカンなことを言って笑わせてくれるときも、

ほんの一時、全く曇のないクリアな意識のときもある貴女。

 

おおよそ落ち着いた気分のときに、身体のケアをし終わったとき、

サラッと言った「ありがとう」の言葉。

 

一瞬、聞き違いか?えっと思うほど、普通に言ったよね。

それからは、いつもお世話すると「ありがとう。」という。

 

感動!!!というより、拍子抜けした私目

 

・・・しばらく考えて、「ああ、よかった…クローバー」と思った。

 

おばあちゃん。

「ありがとう」の言葉を取り戻したから、この人生、きっと合格だよ合格

できれば、頭に霧が掛かるまえに、諸々含めて「ごめんなさい。」と言って欲しかったけどしょぼん

 

切実だったがゆえに心の奥底で澱となり、

石のように固くなった古いその望みは、もう空に投げ捨ててしまおう。

宇宙という大きな愛が受け止めて、いつか別の形で返してくれるだろう。

 

許す…赦す…まだ完全には出来ていないけれど。

 

かつての脅威的存在は、

へんちくりんでちょっと笑える怪物に変身して罪を逃れたから、

もう恨みをぶつける意味もない。

どんどんと素に戻って、

手のかかり過ぎる大きな赤ん坊怪獣となった貴女には、

一日一日を快適に、少しでも心穏やかに過ごせるように、

(出来る範囲で)最後の奉仕をするからね。

 

そして、もうじきお別れだよ。

心の奥の方ではわかってるのかな?

 

貴女に尽くした25年の間に失くしたものを、

貴女の居なくなったこの家で、家族と共に取り返すのが私の新しい望みキラキラ

 

貴女はあなたにふさわしい場所で、穏やかで安全な暮らしを始められるように、

私は夫との関係をより良くするために(あ!…まだ巣立ちまえの子供もいたあせる)、

お互いに別々の生活を始めましょうね音譜

 

貴女と私、何もかもが違い過ぎて、一緒に居ない方が幸せな間柄だったよね。

なのにお互い、よく頑張った!

 

そして、疲れたね。

本当に、疲れた…ね。

 

あともうひと踏ん張り、

貴女にピッタリな終の棲家を探すからね。

…ね!おばあちゃんラブラブ