地震が続いています。

皆さまのお住まいの地域は大丈夫ですか？

暑さ、雷雨、台風、地震。

災害多すぎて怖いです…

さて、今さらではありますが、

2022年に読了した本を、

忘備録に綴っておきます。

藤本ひとみ著、

「ダ・ヴィンチの愛人」

「ノストラダムスと王妃」

2021年から、

藤木ひとみ一挙読みが続いてました。

ダ・ヴィンチの愛人は、

かの天才万能人、

レオナルド・ダ・ヴィンチが、

自身の若かりし日々を、

少女の姿を借りて弟子に語っていく、

というストーリー。

少女の立場に置き換えるというのは、

若き日々の恋物語が、ほぼ男色だったため、

キリスト教徒としては外聞をはばかるから。

ルネサンスが花開こうとする

フィレンツェを舞台に、

ジュリアーノ、ロレンツォのメディチ兄弟、

彼らの叔父レオン（コジモ・デ・メディチ）、

ボッティチェリ、等々、

様々な男達と愛憎を繰り広げていく。

舞台は華やかでいいんですが、

天才肌で頑固で人嫌いのアンジェラ（→ダ・ヴィンチ）

の性格に共感できず、話に入りづらかった。

ノストラダムスと王妃は、

読みやすく、面白かったです。

ノストラダムスの大予言、で有名な

ミシェル・ド・ノストラダムスですが、

彼は占星術師である他、

医師、詩人、そして美食家でもあり、

美容やレシピ本なんかも出版しているんですね。

王妃は、

フィレンツェのメディチ家から輿入れしてきた、

カトリーヌ・ド・メディシス（カテリナ・ディ・メディチ）。

夫アンリ2世を深く愛しているものの、

彼は、20歳も歳上の愛妾、

ディアヌ・ド・ポワティエに夢中で、

王妃のことは眼中にない。

宮中での地位を盤石にしたい王妃と、

50歳を迎え、不運続きの人生の

最後に名をあげたいと望む

ノストラダムスの思惑が重なり、

物語は動きだす。

イタリアから単身嫁ぎ、

後ろ盾のいない王妃の武器は、

女官遊撃隊という、名家の娘を使った情報収集。

容姿に優れ、賢く、野心的な娘をスカウトし、

ターゲットの男性のベッドに送り込み、

ピロートークで情報を集めたり、

または情報操作で、動きを誘導したり。

前半は、ディアヌ・ド・ポワティエ、

後半は、息子フランソワ2世の王妃で

スコットランド女王のメアリ・スチュワートや、

彼女の後ろ盾であるギュイーズ家と、

ヒリヒリするような政治的駆け引きを繰り広げます。

また、夫アンリ2世や、

息子フランソワ2世の死を、

占星術を使って予言するノストラダムス。

各シーンの舞台となる、

ロワール川沿いの古城の情景も気になり、

いつか訪れてみたい。

同じく藤木ひとみの、

「王妃マリー・アントワネット青春の光と影」

「王妃マリー・アントワネット華やかな悲劇」

「マリー・アントワネットの生涯」

「マリー・アントワネットの娘」

「王妃マリー・アントワネット」は、

無邪気で奔放、軽薄で短慮な少女、

オーストリア大公女マリア・アントニアが、

大国フランスに嫁ぎ、

王妃マリー・アントワネットとして、

生きる様が描かれています。

生まれ育ったウィーンの宮殿よりも、

華麗で豪華なヴェルサイユ宮殿に

足を踏み入れ、彼女は感じる。

偉大な母、女帝マリア・テレジアよりも

格が上がったのだと。

けれど、同時に責任も

大きくなったということには、

生涯気づかなかった。

奢侈を好み、贅の限りを尽くした宮廷生活。

飢饉に苦しみ、

重税に喘ぐ国民の生活には、

最後まで関心を寄せる事はなかった。

革命が起きてからは、

王族としての生活と権利が蔑ろにされたと、

国民を怨み、国を裏切り続ける。

最期まで王妃として振舞い続けた様は、

生まれながらの王族気質を感じましたが、

少しでもノブレス・オブリージュを

持ち合わせていれば、

と思わずにいられなかった。

「マリー・アントワネットの生涯」

は、カラー写真満載の、エッセイ。

彼女のたどった人生を、

育った環境、そして遺伝的に紐解いていく。

王を立てることなく、

傍若無人に振る舞っていたのは、

生まれ育ったウィーンの王宮では、

母マリア・テレジアが、

宮廷の中心だったからであった。

（父フランツ・シュテファンは

入婿だったため、立場が弱かった）

そして、軽薄で享楽的な性格は、

父、フランツ・シュテファン譲りであった…

しかし彼は又、

経営者としての才覚があり、

国家財政を健全なものに立て直している。

彼女に、父の財政手腕がわずかでもあれば、

少しは違う結果になっていたかも知れない。

「マリー・アントワネットの娘」は、

2部構成で、

前半は、彼女の娘、マリー・テレーゼ。

後半は、カトリーヌ・ド・メディシスの娘、

王妃マルゴ（マルグリット･ド・ヴァロワ）

について書かれたエッセイ。

こちらも、カラー写真満載。

まずは、マリー・テレーゼ。

（マリア・テレジアのフランス語読み）

恵まれた幼少時代、

革命期の混乱、家族の死、

そして皆から存在を忘れられ、

2年に及ぶたった1人での幽閉。

その後は、乱立する革命政府や、

ナポレオン、新興貴族を憎みながら、

王権を取り戻すことを夢見て、

ヨーロッパ中を流浪する生活。

大切な存在をすべて奪われた人間は、

憎悪に支配される人生を送るしか

ないのかもしれない。

もう少し時代の流れに寛容であれば、

と思いましたが、

生まれながらの高貴さが、

それを受け入れられなかった。

（ブルボン家とハプスブルク家のサラブレッド）

マリー・アントワネットの影に

埋もれてますが、

彼女もまた、母以上に、

激動の時代を生きたのでありました。

王妃マルゴは、

「ノストラダムスと王妃」の後日譚。

色情狂とも淫婦とも呼ばれるマルゴ。

カトリックvsプロテスタントの、宗教対立。

母が組織した女官遊撃隊の暗躍。

ヴァロワ家の政敵、ギュイーズ家との確執。

父アンリ2世の、悲劇的な死。

アンリ・ド・ブルボン（アンリ4世）との、

愛のない結婚。

そして、サン・バルテルミの虐殺。

ヴァロワ朝からブルボン朝にかけて、

血塗られた歴史を背景に、

彼女の男性遍歴をたどっていく。

色情に狂った、というより、

過酷な現実から逃避するために、

恋に溺れた、と著者は推察する。

なるほど。

マルゴに負けじと劣らず、

恋愛をくりかえす現代女性は多い。

人によりけりですが。

ストレス社会は、

人を恋の虜にするのかも知れない。

箒木蓬生の「日御子」

日御子とは、卑弥呼のことなんですが、

彼女が主人公ではなく、

古代の日本を舞台に、

使澤（通訳）を務める

〈あずみ〉という一族のお話し。

彼らは、漢（中国）からの渡来人の末裔で、

漢字や漢語を解し、

その技術を代々受け継いで、

大陸との交易の際、国の使澤として

重要な責務をはたしている。

その技術は、

祖父から孫、娘、甥や姪へと、

代々受け継がれている。

という、前史の九州を舞台に、

けっこう壮大なスケールで物語が進んでいく。

舞台となるのは、九州北部の国々。

那国、早良国、伊都国、吉野国、天草国、

とか、まんま現代の地名が

国名として出てくる（笑）

ちょうど福岡に住んでた時期に読んだので、

地理にも興味津々。

使澤を生業とする人々が主人公なので、

海を渡って大陸へも行く。

那国の使いとして漢を訪れ、

「漢委奴国王印」

という金印を拝領したものの、

那国を奴国と記された口惜しさ。

そしてなぜ、金印が、

志賀島の大岩の下に埋められたのか。

その孫は、漢が滅んだ後の魏国を訪れ、

「魏志倭人伝」にその足跡が記される。

等々、歴史の教科書にも載ってる事柄が、

あずみ一族を通して語られていく。

また、けっこうグルメな古代人の食事も

味わい深かった。

日御子は、下巻にて登場。

本作では、

弥摩大国（邪馬台国）九州説です。

辻原登の「韃靼の馬」

1711年（時は江戸、将軍は6代目徳川家宣）、

対馬藩士阿比留克人（あびるかつんど）は、

朝鮮通信使の警護を命じられ、

釜山の倭館から帰国し、

通信士に同行して、江戸をめざす。

この阿比留克人、

朝鮮語や唐語を操り、腕も立つ。

妹とただ二人、

古代の阿比留文字を操ることもできるので、

藩から密命を帯び、

スパイ活動もしてるんです。

前半では、

倭館を飛び出し、朝鮮にある

「銀の道」をかけずり回ったり、

阿比留克人の目を通して、

通信士の旅程を体感したり。

（対馬→福岡→瀬戸内海→堺→陸路）

後半では、幕府の依頼で、

汗血馬（韃靼馬）を求め、

今度は朝鮮を飛び出して、

韃靼（モンゴル）まで旅をする。

大阪・堺では、

米の先物取引があったんだ、

とか、

外交と通商を引き受ける、

対馬を通すのが貿易正規ルートなら、

浦項（朝鮮）→隠岐島→敦賀→琵琶湖→堺

という、密貿易ルートも存在したらしい、

とか。

何代にも渡る人の因縁もあり、

絡まった糸を、

最後はほぐすというか、

一刀に断ち切るというか、

とにかく解決できて感慨深かったり。

歴史や風俗、経済、地理の勉強だけでなく、

複雑な人間関係や、ロマンもあって、

すごく読み応えがありました。

ただ、島を飛び出して行く男性陣の影で、

生涯島の外を見ることのない女性たちに、

哀しみもまた感じたのでした。

夢枕獏の「宿神」

平安末期の武士、佐藤義清が、

出家し、西行となって、

貴族社会から武士の世になっていく中を、

さすらい生きていくお話。

佐藤義清、

武士として、弓のスキルは、当代一。

また、歌を詠んでも、

並ぶものがいないほど上手い。

イケメンで、女にもモテモテ。

実家はそこそこ裕福で、

親友の平清盛とは、

技を競い合い、腕を磨き合う仲。

そんな彼が、

なぜ世を捨てて僧になったのか。

それは、待賢門院璋子に懸想し、

身も心も焦がれるほどに恋慕ったから。

時の最高権力者、

鳥羽院の妃の一人であり、

17歳も年上の人妻。

想い悩んで、家族を捨てて、出家しても、

想いを捨てきれない。

生涯をかけて恋に苦悩する様に、

狂気すら感じた。

大河ドラマ「平清盛」と、

時代や人物が丸かぶりだったので、

イメージしやすかったです。

ただ、数ページ毎に、

古文や和歌が混じってきて、

現代訳もあったりなかったりで、

理解するのにつっかえて、

読み進むのに時間がかかりました。

オカルト要素やグロいシーンもあって、

好みは分かれるとは思いますが、

平安時代が好きなので、面白かったです。

2022年に読み終えた本は、以上です。

どれも面白かった。

振り返ってみると、

年上女性（しかも、かなり）との

恋愛絡みが、なぜか多かった。

たまたまですが。

マリー・アントワネットは、

パリ五輪の開会式で、

少し話題になってましたね。

今は絶版になってるのもありますが、

ベルバラとは違う

マリー・アントワネット像を味わえるので、

ご興味のある方にはおすすめです。

近く、

2023年の読書記録も振り返る予定です。

長々と最後までお付き合いいただいた方は、

ありがとうございました。

読了した本、2022