数学の試験は他に比べて特別難しいんだからね、と優子は呆れたように言った。
事実、専らの生徒達は数学の試験は難しい。と口をそろえて言う程だった。
「どうしよう優子」はるかが慌ててノートを机から取り出す。
「大人しく補修受けるしかないね、冬休みの」
ヤダー、とはるかは泣き真似をした。
予鈴が鳴ると、数学教師の本間雅巳がプリントの束を抱えて教室に入ってきた。
「席について」
生徒達が一斉に席に着き、騒々しかった教室が静まり返る。
日直が、起立、例、の号令をかけた。
「試験を始めます。机の上は筆記用具だけにして」
試験用紙が配られ、開始の合図で生徒達は一斉にプリントを捲り、問題に取り掛かった。
ただ一人、ノロノロと問題に取り掛かるはるかが雅巳の目に映っていた。
試験開始から暫くして、雅巳が教室を見回り始めた。
「質問がある人は手をあげて」
何人かの生徒が挙手している中、はるかはペンを置いてぼんやりとしていた。