ラウドネスの初期3枚から選ばれた12、あるいは13曲をリメイクした35周年記念作。
この3枚は以前からタッカン(高崎晃)がラウドネスの初期3部作と呼んでおり、

ジャケットのコンセプトもラウドネスを悪魔の成長に見立てた

(1stは胎児、2ndで生誕、3rdで幼少期の姿を見せる)ものとなっています。

 

本作(通常版)のジャケットは、騎士が大地を見守っているというイメージのようですが、

この騎士は"DISILLUSION ~撃剣霊化~"のジャケットに登場する悪魔の少年が

成長した姿である騎士のその後のようです。
ジャケットからも、本作のコンセプトが垣間見えるような作りとなっています。

 

 

ラウドネスはこれまでにもリメイクを発表しています。

過半数の曲がリメイクの"ON THE PROLWL"に"ROCK SHOCKS"がそうです。
前者はアメリカ人ヴォーカルのマイク・ヴェセーラのキーや言語に合わせ

たリメイクでありますが、中には別物と呼べるほどの変貌を遂げた曲もあります。
後者はラウドネスがダウンチューニングにハマっていたころのリメイクで、

曲によっては思い切りアレンジを変えたりしています。

 

それらの過去作と異なり、本作は基本的にオリジナルをベースに、

今の録音技術や機材で録り直したらこうなる、ということを念頭に置いて

レコーディングされました。

 

それでもギターソロが変わっていたり、イントロにSE風のものが追加されたり、

そもそもドラムがひぐっつぁんこと樋口宗孝ではなく鈴木”あんぱん”政行

だったりするので、ツーバスがフィーチャーされていることもあります。

その全てをひっくるめての「今のラウドネス」であることが本作のポイントなのでしょう。

 

逆に言えば、本作最大の欠点は

「樋口宗孝が叩いていない」

ことですが、こればかりはどうしようもないし、あんぱんがダメだというわけでもありません。

あれだけの存在感のあるドラマーがいれば、

どれだけのアルバムになったのだろうと思ってしまうのです。

 

選曲としては3枚から"speed"以外の代表曲を網羅しており、

まさに初期のベスト・セレクションといった感じです。
通常版ボーナス・トラックにはシングル曲の"ROAD RACER"を収録し、

ますますベストっぽい印象です。


"IN THE MIRROR"と"LONELY PLAYER"

("ON THE PROWL"は"DEADLY PRAYER"と改題)の2曲が

3作のすべてに収録されています。

 

前者はラウドネス35年の中でもトップクラスの代表曲なので当然として、

後者もオール・タイム・ベストの投票で24位にランクインした隠れた名曲です。

35年前の曲であっても決して色あせないことを証明する格好のアルバムではないでしょうか。