ヌメラーのヌメラーによるヌメラーの為のNumeri日記 -12ページ目

ヌメラーのヌメラーによるヌメラーの為のNumeri日記

おもにNumeriでお気に入りのブログ転載します。Numeri知らない人はゼヒ読んでヌメラーになりましょう。
※私が書いてるのではありませんので悪しからず(^^)/

以前にもお話したと思うのですが、我が職場にはものすごくハイパボリックなヘアースタイルをした猛者がいます。僕が初めて彼を見た時は驚きを禁じ得ませんでしたし、一体どうしてそんな髪型なの・・・?と彼の髪ばかりを見ておりました。顔を覚えるというより髪型を覚えるという感じでしたね。

ぶっちゃけ、そのハイパボリックな髪型ってのは、ほらなんていうの?マッシュルームカットっていうかキノコのようなお坊ちゃま風の造形なんだけど、なんていうか度が過ぎてるんだよね。マッシュルームカットを追及するが故に行き過ぎがあり、なんか亀頭みたいな感じなの。

もうマジね、チンコにしか見えないの。チンコだよ、チンコ。同僚の髪型が男性器なんだよ。出勤時にはデスクに座って仕事する男性器とかが眼に入るんだよ。男性器が「この書類なんですが」とか真面目なこと喋ってるんだよ。

もうね、あらゆる意味で我慢ができない。できることなら、「チンコ、チンコ」と指を指して笑いたいし、できることなら「君の髪型はアレかね、壮大なセクハラかね」とか指摘したい。その衝動を抑えることができない。まさに狂おしいヘアースタイル。戦慄のヘアースタイル。ヒトエゴナムーブなヘアースタイル。意味分からんけど。

でもね、そういう他者の外見を指差して嘲笑するとかってダメじゃん?心の中で思うことはもはや止められないのだけど、それを大っぴらに公言したりするのって社会人としてといいうか、人間としてダメじゃん。

それにね、思うわけですよ。もしかして彼だってワザとやってるわけじゃないかもしれないって。散髪屋に行って、理容師に「今日はいかがいたしましょう」とか言われて「普通で」とか曖昧な返事をしたとするじゃないですか。

そうすると理容師の判断基準の下で「普通の」髪型にされるわけですよ。それが万が一チンポヘッドだったりしたら目も当てられない。散髪されながら眠ってしまい、目が覚めたら鏡にはチンポヘッド。「ぶははは、チンポヘッド、誰だコイツ?」なんて笑ってたら他ならぬ自分だった。なんて経緯だったら悲劇ではないですか。その悲しみは痛み入るばかりではないですか。

だからね、チンポヘッドがそういった不可抗力の産物である可能性がある以上、指差して笑うのはいけないと思うのですよ。思いやりを持ってチンコヘッドに接するべきだと個人的には思うのです。不可抗力による変な髪形ってのは、本人にとっては自殺物の悲劇ですから。

僕は元々、中学生ぐらいまで散髪屋に行ったことがなく、いつも家散髪で済まされていました。親父が器用で異様に散髪するのが上手だったのと、貧乏故に散髪代も惜しんでいたのが原因なんですけどね。本気で散髪屋ってのに行ったことがなかった。

家での散髪は、玄関の土間みたいな場所の靴を片付けて、椅子を置いてやっていた。酒で酔っ払ってフラフラで、おいおいちゃんと切れるのかよと不安にさせてくれる親父が、咥えタバコで家庭用バリカンを使って切っていく。あれよあれよという間に切っていく。その光景がなんだかちょっと好きだった。

酔ってるにしても親父はやっぱり起用で、普通に外出しても恥ずかしくないレベルの散髪をしてくれていた。あの頃は多分、散髪屋で髪を切るっていう概念がなくて、家で切るのが当たり前だと思ってた。でも、それに不満はなくて親父の散髪テクニックには十二分に満足していた。

そんなある日、居間で寝転がりながらテレビを見ていると、母親がイソイソと玄関を片付け始めた。なんだなんだ・・・・?と見ていると、母親は丸椅子を運びバリカンを準備している。

ま・・・まさか・・・今から僕の散髪が始まるのでは・・・。

確かに、その時は長いこと髪を切ってもらってなかったのでワイルドウルフのように髪がボサボサになっていた。そろそろ切ってももらわなきゃとは思っていたのだけど、親父が忙しい故に言い出しかねていた。

そんな折に母親が散髪の準備。おそらく、僕のワイルドワイルドウエストな髪型を見るに見かねて「そろそろ切らなくちゃ」と決断したのだろうけど、あいにく今は親父は仕事に行っていていない。つまりは、自然と母親が切ることになるわけだ。

ハッキリ言って、母親の散髪の腕は未知数。切ってもらったことも切ってるのも見たことないから、どれほどの腕前なのかすら分からない。ただ、ウチの母親は親父とは正反対に不器用で、裁縫なんかもハッキリ言って下手だったし、絵を描くのも下手で美的センスの欠片もなかった。

いやだ・・・母さんに切ってもらいたくない・・・・

それが僕の率直な気持ちだった。嫌な予感がしすぎる。未知数の腕前の「えへ、今日初めて人の髪を切るんだにょ」といった母親に僕の髪を任せるわけにはいかない。どんなクリーチャーに仕立て上げられるかわかったもんじゃない。

と思うのだけど、「やだ、母さんは下手そうだから切ってもらいたくない」なんて言おうものなら、母さんが傷ついてしまうと思い、「う・・・うん・・・」などと彼女の散髪を容認する返事しかできなかった。

嫌々ながら玄関に設置された特設散髪椅子へと向う。まるで処刑台の13階段を昇る気分で歩みを進めていく。その処刑台の横では母さんがバリカンを手に「さあ、いらっしゃい」と薄ら笑いを浮かべる。

やばいよこの人、ゼッタイに髪を切るのを楽しんでるよ。いつも親父が切ってるのを見て、「私も切ってみたいなあ」なんて邪な考えが浮かんで、親父の留守と共にチャンス到来!さあ切ってやるぜ、うげへへへへ。という考えが透けて見えるよ。やばい、やばすぎる。なんとか逃げなきゃ取り返しのつかないことになっちゃう。

という想いとは裏腹に、逃げることもできず特設散髪椅子に座る僕。もうこうなったら覚悟を決め、カッコイイのとかは要求しないので少しでもマトモな髪形になることを祈るばかりです。震える子羊のように、ただただ祈るだけ。

ブイイイイイインと唸るバリカン。僕の目の上をスキカルという青い文字が右に行ったり左に行ったり。バサバサと音を立てて膝の上に落ちる僕の髪たち。そして、母親の「あっ・・・」という声。

おいっ!

なんだ、その「あっ・・・・」とかいう吐息は。なんだ、その「やっちゃった」という感じのセリフは。

玄関で髪を切ってるもんだから、当然に鏡なんていう文明の利器はそこにはなく、自分がどんな髪型になっているのかもわからぬまま、見る見る表情がこわばっていく母親の顔を呆然と見ておりました。

一連の髪切り動作が終わり、「わーすごく似合ってる」と社交辞令のように震えながら言う母親をスルーして洗面台へと一直線。自分がどんな髪にされてしまったのか、どんなクリーチャーが誕生してしまったのか、ただただ不安で洗面台へと走りました。

洗面台へと到着し、怖いけど見たい、不安だけど見たい、という自分に正直なのか正直でないのか分からない曖昧な気持ちを抱え、鏡を覗き込みました。

いや・・・誰コレ?

もうね、想像を絶するクリーチャーが誕生してるの。あれあれ?これはこの家に住まわす座敷童子ですかな?と本気で尋ねたくなるような妖怪が映ってるの。

全体的に頭頂部分はボコボコな感じに仕上がっておりました。まるで部分的に森林伐採をされた中途半端なはげ山のようになってました。僕の頭を見ながら自然保護団体が「この山は今、傷つけられているのです」と訴えてもおかしくないほどボコボコ。

それでもって極めつけは、前髪。これは狙ってやったのですか?狙って定規でもあてて切ったのですか?と聞きたくなるほど真っ直ぐなラインでした。眉毛の上5センチくらいの場所で揃えられた前髪ライン。さらに前髪の両サイドからは直角で横髪が存在してました。まあ、ウォーズマンみたいになってたと言ったら分かりやすいですかね。むしろ、まんまウォーズマンです。

どんな髪型だったのか知りたい方は、ウォーズマンの切り抜きなんかを持って散髪屋に行き「コレでお願いします、コーホー」とか言えばいいと思います。それで当時の僕にかなり近い髪型になります。「やーい、ロボット超人」などと石を投げつけられるような髪型になれます。

それでまあ、その、やっぱりこんな洒落で済まないような髪型にされた僕としてもご立腹ではないですか。怒りに打ち震え、あらん限りのパワーを込めて「なんじゃあああああ、この髪型わああああああ」と怒りのアフガンと化して母親に詰め寄る。当然のことです。

でも母は自分の仕出かした罪の大きさを分かってないのか、分かっていてトボけているのか知りませんが、「あら、似合ってるわよ、うふふふ」とか言うんです。どの口がそんなセリフを吐きやがるんだと。散髪中に「あっ・・・」とか言ったその口で「似合うわよ」とか有り得ないから。それとも「貴様にはお似合いの髪型じゃわい、片腹痛いわ、ハハハハ」という意味合いなのでしょうか。それならそれで許せません。

「どうしてくれるんだ」

「もう生き恥だ」

「こんな髪型で生きるぐらいなら僕は死ぬ」

「責任とって貴様もその髪型になれ」

「こんな髪型じゃ恥ずかしくて学校にも行けねえじゃねえか」

などとですね、母親に対して激しく叱責したのです。まるでバット片手に暴れ狂うTHE家庭内バイオレンス息子のように母を責めたてたわけです。

それを受けて母は、やっとことの重大さを理解し

「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」

などと涙ながらに謝っておりました。そんな風に泣く母を見て、変な髪型にされたからといって責め立てた自分の好戦的部分を恥じ入りました。ああ、自分はなんて事をしてしまったのだろう、という後悔の念にさいなまれた僕は、「嫌もういんだ、終わったことだし」などとは恥ずかしくて言うこともできず、「もう知らんわ!」と逆ギレすることで体裁を保ったのです。この部分は今でもかなり後悔しております。

さて、それはいいものとして問題は現在の髪型。こんなウケを狙っていると誤解されてもおかしくない髪型でいかにして学校に行くかです。このまま学校に行ってしまっては間違いなく晒し者になると考えた僕は、帽子をかぶっていくことも考えました。しかし、校則で帽子は禁じられており、さらには授業中にもかぶるなど考えられないことでした。

学校を休むことも許されず、その恥ずかしすぎる髪型を引っさげて登校することは確定事項でした。悩みに悩みぬき、学校に行きたくない、みんなに笑われたくない、できることなら髪が生えてこないかだろうかなどと眠れないほど悩んだものです。

そして、重苦しい想いを抱えながら、次の日にその髪型で登校したのですが、僕の心配とは裏腹に誰もが無反応でした。石を投げるでもなく、笑うでもなく、ただただ普通でした。あれほどの悩んだ僕はなんだったの?と思うほどに無反応。むしろ、もっと反応してくれよと思うほどでした。

結局、変な髪形であったのは間違いなかったのですが、僕が悩んでいる以上に他の人は僕の髪型など気にはしていなかったのです。僕のようなウンコが少々奇抜でトリッキーな髪型をしていようとも、ウンコはウンコなのです。これがクラスで人気のハンサムボーイなら話は別だったかもしれません。

でもやっぱり、騒ぎにならず晒し者にならなかったとしても、変な髪型をしていたのは事実ですから、恥ずかしかったし嫌な気分でした。死にたいとも思いました。髪が伸びるまで相当にブルーな毎日でしたね。

そういった僕自身のメモリーもあってか、前述のチンコヘッド君の悲しみは誰よりも分かるのです。だからいくら彼の頭がチンコに似ていようとも、指をさして笑うことはいけないことだと思う。人間として間違っていることだと思う。

「チンコヘッドだ」と思うことは止められないけど、それを公言することは良くない。だからちょっとこの日記で「チンコヘッド」と連呼してることさえ心苦しく思うのです。

自分が意図しない形でいつのまにか髪型をチンコにされる。きっと、「普通でお願いします」って頼んだだけなのにチンコにされたに違いありません。その悲しみは計り知れないし、そんな悲劇が繰り返されてはいけないと思うのです。

だから僕はそっとチンコヘッドの彼に話しかけ、相談に乗りました。同じ過去の傷を持つ理解者として彼にアドバイスしたかったのです。チンコヘッドという彼の悲劇を繰り返してはいけない、その一心でした。

「ねえ、いつも床屋ではどんな風にして欲しいって頼んでるの?」

やはり、「普通で」とか理容師に丸投げするから、チンコヘッドが繰り返されるのだと思うのです。根幹の原因として散髪屋のオーダーが良くないと踏んだ僕は彼に質問したのです。それを受けて彼は

「チンコみたいにって頼んでます。気に入ってるんですよね、この髪型」

と言い放ちました。

そうか、貴様は変態か。自ら望んでチンコヘッドにしてるんだな。チンコヘッドに立候補し、壮大なセクハラをしようと目論んでいるのだな。

だったら遠慮なく言わせてもらおう、笑わせてもらおう。

「チンコヘッドめ、がははははははは」

それを受けて彼は、ちょっとはにかんで照れくさそうに笑った。

職場の変態7人衆。チンコヘッドを追加して8人衆に。