今回は小説です〜


『殺人鬼2 逆襲篇』は、新本格ミステリー界の巨匠・綾辻行人によるスプラッター・ホラー小説『殺人鬼』(覚醒篇)の直接的な続編です。


前作の壮絶な大量殺人事件「双葉山事件」から3年後、血に飢えた“怪物”が山を降り、今度は人々が集う麓の病院を舞台に再び凄惨な殺戮を繰り広げます。


物語の中心となるのは、他人の“目”になるという不思議な能力を持つ少年・真実哉。


その力で真実を追い続ける彼と、人智を超えた邪悪な暴力の権化ともいうべき殺人鬼との死闘が描かれます。


本作はグロテスクかつショッキングな残酷描写が前作以上に強烈で、ミステリー好き、スプラッター好きの両方を唸らせる内容です。


驚愕のどんでん返しや、独特の不条理感と戦慄に満ちた世界観が特徴で、出版当時から強烈なインパクトを残しました。


本作は「新本格スプラッタ・ホラー」というジャンルを象徴する一冊であり、日本ミステリ史に残る問題作ともされています。


感想

前作の時点で結構「うぉぉ……」ってなってたのに、今回、綾辻さんはさらにその上をいってくれましたガーン


グロさがパワーアップしてるってみんな言うけど、ホントその通り。


冒頭から容赦なくてさ――例えば病院が舞台になるんだけど、そこに殺人鬼が現れて、もう「人が生活してる場所」を瞬く間に地獄絵図に塗り替えちゃう。

しかもただ殺すんじゃなくて、「どんな殺し方を思いつくんだ」っていうぐらいバリエーションも豊富。そこがまた嫌なリアリティ出してて、読む手が止まらなくなる。


でも単なるスプラッターに留まらないのが綾辻作品のすごいところで、この話は「人間の心が支配される」みたいな精神的な怖さもじわじわ効いてきて、読んでるうちに「自分もどこかでおかしくなってしまうんじゃ……?」みたいな不安まで乗っかってくる。


それがまた気持ちいい……と言ったら語弊があるけど、怖いもの見たさの快感というか、読まずにはいられなくなる中毒性がある作品。


正直、スプラッター全開の描写は苦手な人には本気でおすすめできない。


「空腹時も満腹時も読んじゃダメ」ってレビュー、めちゃくちゃわかる爆笑


電車で読んだら、絶対顔しかめてる自分に途中で気づくはず。でも、その「うわあ……」から逃げられなくなる。


「あれ?何でこんなページめくる手止まらないんだ?」って途中から自分で笑えてくるレベル。


しかも、後半になると、ただグロいだけじゃなくてどんでん返しがガツンとくるから、息つく暇もない。


今回の“対決”が、いわゆる知恵と能力の勝負ってだけじゃない。


特殊な能力を持つ少年・真実哉が登場して、「他人の“目”」になる力で真実に近づこうとします。


これがまた絶望的な戦いっぷりで、「いやいや、どうやっても勝てないでしょ……」って、こっちが焦るぐらい圧倒的。


この殺人鬼、なんていうか強すぎるガーン


もう人間って感じじゃない。何ならちょっとカッコいいまである不思議。


冷酷非道なはずなのに、その圧倒的な強さにカタルシスすら感じちゃう部分がある。


ストーリー自体は一作目読んでなくても理解できなくはないけど、やっぱり一作目ありきで入ったほうが衝撃度が違う。


前作より意外性は少しだけ控えめ、って声もあるけど、それでも充分に「ミステリの醍醐味」みたいなものはバッチリ味わえるし、緊迫感とか臨場感はむしろこっちのほうが上なんじゃないかってぐらい。


前作みたいにトリック重視な感じもあるんだけど、今作はとにかく情景描写がヤバい。


頭に焼きつくし、夜寝る前に思い出したら絶対嫌だなガーン


あと、作者特有の「誰かが誰かになりすます」とか「視点のすり替え」みたいな仕掛けも地味に効いてくる。


読み終わった後、なんかすぐ二周目に入りたくなるの、不思議でしょうがなかった。


それって純粋に「この世界観にもっと浸っていたい」っていう欲望なんだと思う。「怖い、でも見たい」。この葛藤、味わった人なら絶対わかると思う。


そして、ラストもものすごい。単に「次作へのつなぎ」ってだけじゃない、「あ、これで物語がまた一段深い闇の中に入り込んだんだな」って感じさせられる終わり方。


伏線も丁寧に張ってあって、「あれ、あそこで●●が言ってたのって……」って後からゾワゾワしてくる瞬間がある。


作者の文章力、情景描写力にはほんと毎度のごとく脱帽。


正直、ちょっとでもスプラッター耐性あるなら、これはミステリー好きにもホラー好きにも一度は読んでほしい。