「お待たせ、相葉さん。」
松本は、自分で呼び出しておいて
待たせた事に、少し罪悪を覚えた。
「全然待ってないよ」
笑顔で答える無邪気な相葉の顔を見て
安心、信頼、やはりこの人だ。
松本は、自分の考えが間違っていないと、改めて認識した。
「折り入って相葉さんに、お願いがあるんだけど」
松本は探る様な言葉で、口火を切った。
「オッケー!」
相葉は、軽い口調で答える。
松本は、分かっていた。
相葉さんの口調が軽いからと言って、自分の言葉を軽く捉えている訳ではない。
寧ろ、重い話しの時程ワザと空気を払拭して
こちらの気持ちを、軽くしてくれる。
相葉さんとは、そういう人だ。
松本は、重い口を開いた。