これまで、言葉も通じない国に来て働いて、病気になったり怪我をしたりして来院される患者さんを何人も看てきた。
以前勤めてたクリニックの先生が、中国語も英語も分かったから、いわゆる外国人が集まるんだよね。
だって、具合が悪い時に、言葉が通じて、分かってもらえたら、それだけでほっとするよ。泣くほど喜んだ患者さん、幾つも県をまたいで来院される患者さんもいた。
だから、出来るだけ寄り添ってきたつもり。
いや~、本当に日本語通じないんだから。採血とかレントゲン撮影とか、身振り手振りを使っても、分かってるかも分からない。
言葉が分からないのに、良く日本まで来たなぁ、って思ってた。
しかし。
いざ、自分がその立場になるとなると思うと、複雑。
患者さんの中にも、国では教授みたいな偉い人だったり、看護師や医者もいた。
でも日本に来て、言葉が通じない、制度が違う、国籍が違うって、生活が一気に変わるんだよね。
それまでの安定していた(と、他人から見える)生活を捨てて、外国に出てくるって、どんなだろう?
と思っていたら、自分がそれを決心するようになっていた。
言葉が通じなければ、今の資格は使えない。
ぬるま湯に浸かってきた生活を振り捨てて、出て行って、子ども二人連れて生活するためには何が出来るだろう?
出勤する度に、同じ問いを繰り返す自分。