私はこれまで40年間、エンジニアとして回路設計やシステム設計に携わってきました。大学では高周波回路を専攻し、卒業後は就職氷河期ということもあり、大手ではなく2部上場の中堅企業に就職しました。

その後、時代はバブル期に入り、中途採用の門戸が広がったこともあって、32歳で転職。そこからデジタル回路や組み込みソフトにも携わるようになります。

ある時、アメリカに渡って、当時日本ではまだ誰も手を付けていなかった新しいシステムの開発に関わりました。導入からもう20年が経ちますが、今でもそのシステムは現役で動いています。1システムあたり30~100億円規模のものなので、累計ではすでに2000億円以上の売上に貢献しているはずです。

もちろん、大きなプロジェクトなので私一人で作ったわけではありませんが、後輩たちとともに作り上げた「核」の部分はいまもほとんど変わっていません。サラリーマンとして報われたかといえばそうでもないけれど、自分の中の大きな自信にはなっています。

そんな経験があったからか、今の職場では当初期待されていた仕事ではなく、新しい製品の開発を一人でやることになりました。やっぱり、モノづくりが好きなんだなと思います。

さて、タイトルの話ですが――
よく「これ壊れちゃったんだけど直せる?」とか「こんなことできないかな?」と相談されることがあります。そして、ちょっとした解決策を提案すると、みんなけっこう驚くんです。

私にとっては、過去の経験から「こうやればいけるかもな」と自然とアイデアが浮かぶだけ。でも、相手からすると「そんな方法があるの!?」って感じらしいです。専門知識というより、ちょっとした工夫や発想の転換だったりするんですけどね。

たぶん、いろんな失敗や試行錯誤を重ねてきたからこそ、引き出しが増えてきたんだろうなと思います。