九州鉄道記念館には、もう一両の蒸気機関車が保存されています。
それがキューロクこと貨物用機関車9600形の59634です。

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リベット止めのテンダが、歴史の重みを伝えています。

九州では、同時期に製造された旅客用の8620形が現役ですが、
あちらの機関士さんが素人さんの「この機関車はCとかDとか
付かないのか?」という質問に「CやDが付くのは昭和の機関車、
こちらは大正の機関車だから付かない」と説明していたのは、
なるほど若干の相違はあれ分かりやすいに違いない、と感心した
ものでした。

ちなみに、保存機近くの案内板にはこうあります。

「9600型は初の国産貨物機関車で770両が作られま
した。その活躍の場は九州全域に及び、キュウロクの
愛称で親しまれました。特徴は動輪上にボイラーが
あるため、車体高が高いことです。
この機関車は昭和49年に米坂線から後藤寺機関区
に転属してきました。
遠くやって来た機関車はその番号から「ごくろうさ
んよ」とファンの間ではよばれていました。
筑豊地区で働いたのは1年足らずでしたが北九州地
区最後の蒸気機関車の1両となっています。」

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実際には、日本全国で最後の蒸気機関車となっており、本線上で
最後の蒸気列車を牽引したのも、この9600形でした。

日本の蒸気機関車は、新形式を追うごとにゴシック的に改良を
繰り返して発展しましたが、結局牽引力や使い勝手、省エネなど
の総合点で、この大正時代の機関車を上回ることができなかった
という意味で、誰にも知られていない宝石のような存在である
ことは間違いないでしょう。

地理的条件からなかなか訪問することができないのですが、次回は
じっくりと観る時間を確保したいと思います。

感謝!