かつて、ジャン・アレージ選手やアレッサンドロ・デル・ピエロ、
最近では小林可夢偉選手のマネジメントを手掛けた方の書籍です。


スポーツのマネジメント

ユベントスはセリエAのサッカーチーム、フェラーリは市販車
ではなくF1のレーシングチームですけれども、サッカーも
F1もスポーツである点は共通ですので、マネジメント業
(マネージャー)が成立します。

書籍のタイトルだけをみると、スポーツ・マネジメントのテキ
スト本のように感じられますが、中身は教科書ではありません。

著者の方は、20年以上前からF1に関わっていたそうですので、
業界としてはF1の方が得意のようですが、概要書や技法書で
なく、長年の経験を通した心構えをエピソードから感じ取って
もらいたいという内容でした。

私もF1を見続けていますので、本書を読むと、あのときああ
だったのかとか、当時のニュースがニュースではなかったのか
など、色々とバックサイド・ストーリーに興味を掻き立てられ
ますが、本質的にはむしろ人間対人間のヒューマン・ドラマで
あってスポーツやマネジメントやユベントスやフェラーリと
いったキーワードよりも大きな概念のタイトルが相応しい、
大人の仕事に触れる良書ですから、企画としてはNHKテレビ
の「プロフェッショナル」に最適だろうと感じました。

著者が多くのページを割くジャン・アレージ選手の時代からは
随分と時間が経過しましたので、F1の世界はこういうものか
という印象もまた変化していると思われますし、その視点で
小林可夢偉選手を応援するのも若干躊躇いたしますが、変化に
上手に対応できるようにするには、だからこそ著者が一番伝え
たい人間らしさをしっかり持つことではないかと思います。

F1界で仕事がしたくなる味わいのあるいい本でした。

感謝!