惜しまれつつ、昨年閉鎖されてしまったキリン軽井沢蒸留所の
シングルカスクです。

ヴィンテージシングルカスクモルト軽井沢蒸留所樽出し原酒.jpg

2000年蒸留で10年熟成と手書きされていますので、2010
年に瓶詰めされたものですが、この樽番号6470が最後のひと樽
だったはずです。何故なら、私の目の前で販売されていた最終展示
品を大人買いした人で販売終了となったからです。私はその目撃
者でした。

ラベルを見て驚くのは、熟成10年でアルコール度数が64.5度も
あることです。10年でコンマ5度しか落ちないということは
考えにくいので、65度蒸留ではないと思います。軽井沢では
何度で蒸留していたのでしょうか。それともウェアハウスに
高く積まれた最上段なら、こういうこともあるのでしょうか。

テイストしてみると、非常にバランスのよいシェリー樽原酒で
ありまして、食前酒にも食後酒にも使えるオールマイティな
ハイランド・パークのような美味しさを持っている素晴らしい
原酒です。

よくシェリー樽原酒がお好きな方だと、どれだけシェリーが
出ているかが指標として用いられますけれども、どれだけ出な
かったかという考え方も同じくらい重要だということを、この
カスクは示していると思います。まるで、よく出来たブレンド
ウィスキーのようです。例えばバラインタインの21年の
ように。

基本的に工場直販だったと思いますので、もう販売されている
ところはないと思います。もしどこかの店頭で見つけたら、
宝物を発見したと思って即買いです。こういったエントリー
製品がどれだけ本物かということに、作り手の意識の高さと
いうのが反映されるものです。

メルシャン軽井沢蒸留所のみなさんに、改めて乾杯を。

感謝!