ハケンの根拠法である労働者派遣法が改正されて、10月1日
から施行となりました。
主な改正点は、次の通りです。
1.日雇派遣の禁止
2.グループ企業内派遣の8割規制
3.退職した従業員の、1年以内に派遣スタッフとして
受入れることを禁止
一番大きな改正点は1番でしょう。
これは、2008年のリーマンショック後に相次いだ派遣
契約の打切りが「ハケン切り」として社会問題化したことを
受けての対応ですが、あれからもう4年経過しているので、
有効性は低いと思われます。
というのも、改正法に対応して人材紹介業を利用して、
「日雇派遣」ならぬ「日々紹介」に運用を切替える企業が
続出しているためです。
これを、決められない政治による代償を払ったというのは
傍観者の意見でしょうから、もう少し考えてみると、労働
法制が現実に則していないという欠陥を改善することが
本当に求められることだろうと見ています。
日本の労働法制は、伝統的に労働者保護の視点で構築されて
います。今回の派遣法改正も「派遣労働者の保護のため」と
厚労省に謳われています。
http://goo.gl/6rCkz
この趣旨に載って改正を繰り返した結果、硬直した労働法
制の厳密な適用を受ける(=制約の多い)「正規労働者」と、
厳密に適用されにくい(=制約の少ない)「非正規労働者」
との、二重構造が出来上がってしまいました。
これは、正規労働者が最短1年単位で法令の適用を受ける
のに比して、非正規労働者は適用を受けずにきた「時間に
対する柔軟性の拡大」こそが問題点です。
日本の労働法制に求められるのは、過剰規制を緩和して、
労働者側にはライフスタイルに応じた働き方を選べるように
するカフェテリア形式の雇用契約選択制とか、
雇用者側には変化の速い経営環境に則した雇用が確保できる
よう、正規労働者に時限柔軟性を適用させること、
でしょう。
労働法制に根本的な欠陥があることはともかくとして、
ハケン切りや派遣法改正は、この二重構造を追認している
に過ぎず、人材紹介業のスキームを応用して「日々紹介」で
対応するのは、明文規定がないという理由の限りなく黒い
グレーと言えるでしょう。今後何か問題が起これば、一発で
規制されてアウトになるリスクがあると理解するのが正しい
と思います。
実際に、日雇派遣の規制を受けてビジネスモデルを再構築
する流れもあります。規制から逃れ続けて激化する競争
環境で収益力を失うか、規制に正しく向かい合って、他とは
違うフロンティアで高収益を実現するか。
どちらも自由ですが、雇用側(企業)も労働者側(従業員)も
お互いに何を求めているかは自明のことのように思えますが、
いかがでしょうか。
こういうタイミングというのは、経営戦略を見直す時期でも
あります。経営者は今立ち止まって考える勇気が必要です。
もうひとつ、IT社会で重要な著作権に関する法律も改正
されて施行されました。著作権法です。
今回の主な改正点は、違法ダウンロードの刑罰化です。
ネット社会のデータ流通の容易性を受けて、コンピュータ
技術の発達とともに、ネット上でのソフト(=音楽や映像等)
の違法流通が問題でした。
これまでもファイル交換ソフトの裁判等がありましたので、
ご存知の方も多いでしょう。
今日から著作権法で適用を受けるようになったのは、
違法にアップロードされたソフトを、違法と知りながらも
ダウンロードすることで、この「ダウンロード」とは、
PC等に保存することを指し、Youtube等のサイトにアップ
されている映像等を観るだけの場合は、ストリーミング
として含まれないと考えられています。
しかしながら、これらも法律が技術を後追いして制定して
いますので、「ココ!」という明確な基準がないグレー
条文となっており、グレー条文で刑罰が適用されるとする
のは、専門家からみると問題が多いと言わざるを得ません。
実際の運用としては、刑罰化による抑止効果や教育効果を
意図しているように思われますが、未成年であっても悪質な
事例等があれば適用されることになるでしょう。
例えば「ネットにこう書いてあるからいい」と自己都合に
合わせて自分勝手な解釈をするのは、社会から置き去りに
されるでしょう。
法律と生活(=経済)との関係を判断するときには、その
方向性を理解することが最終的に正しい判断をすることに
繋がります。
※この記事は、メルマガ記事の加筆・修正版であり、ビジ
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主な改正点は、次の通りです。
1.日雇派遣の禁止
2.グループ企業内派遣の8割規制
3.退職した従業員の、1年以内に派遣スタッフとして
受入れることを禁止
一番大きな改正点は1番でしょう。
これは、2008年のリーマンショック後に相次いだ派遣
契約の打切りが「ハケン切り」として社会問題化したことを
受けての対応ですが、あれからもう4年経過しているので、
有効性は低いと思われます。
というのも、改正法に対応して人材紹介業を利用して、
「日雇派遣」ならぬ「日々紹介」に運用を切替える企業が
続出しているためです。
これを、決められない政治による代償を払ったというのは
傍観者の意見でしょうから、もう少し考えてみると、労働
法制が現実に則していないという欠陥を改善することが
本当に求められることだろうと見ています。
日本の労働法制は、伝統的に労働者保護の視点で構築されて
います。今回の派遣法改正も「派遣労働者の保護のため」と
厚労省に謳われています。
http://goo.gl/6rCkz
この趣旨に載って改正を繰り返した結果、硬直した労働法
制の厳密な適用を受ける(=制約の多い)「正規労働者」と、
厳密に適用されにくい(=制約の少ない)「非正規労働者」
との、二重構造が出来上がってしまいました。
これは、正規労働者が最短1年単位で法令の適用を受ける
のに比して、非正規労働者は適用を受けずにきた「時間に
対する柔軟性の拡大」こそが問題点です。
日本の労働法制に求められるのは、過剰規制を緩和して、
労働者側にはライフスタイルに応じた働き方を選べるように
するカフェテリア形式の雇用契約選択制とか、
雇用者側には変化の速い経営環境に則した雇用が確保できる
よう、正規労働者に時限柔軟性を適用させること、
でしょう。
労働法制に根本的な欠陥があることはともかくとして、
ハケン切りや派遣法改正は、この二重構造を追認している
に過ぎず、人材紹介業のスキームを応用して「日々紹介」で
対応するのは、明文規定がないという理由の限りなく黒い
グレーと言えるでしょう。今後何か問題が起これば、一発で
規制されてアウトになるリスクがあると理解するのが正しい
と思います。
実際に、日雇派遣の規制を受けてビジネスモデルを再構築
する流れもあります。規制から逃れ続けて激化する競争
環境で収益力を失うか、規制に正しく向かい合って、他とは
違うフロンティアで高収益を実現するか。
どちらも自由ですが、雇用側(企業)も労働者側(従業員)も
お互いに何を求めているかは自明のことのように思えますが、
いかがでしょうか。
こういうタイミングというのは、経営戦略を見直す時期でも
あります。経営者は今立ち止まって考える勇気が必要です。
もうひとつ、IT社会で重要な著作権に関する法律も改正
されて施行されました。著作権法です。
今回の主な改正点は、違法ダウンロードの刑罰化です。
ネット社会のデータ流通の容易性を受けて、コンピュータ
技術の発達とともに、ネット上でのソフト(=音楽や映像等)
の違法流通が問題でした。
これまでもファイル交換ソフトの裁判等がありましたので、
ご存知の方も多いでしょう。
今日から著作権法で適用を受けるようになったのは、
違法にアップロードされたソフトを、違法と知りながらも
ダウンロードすることで、この「ダウンロード」とは、
PC等に保存することを指し、Youtube等のサイトにアップ
されている映像等を観るだけの場合は、ストリーミング
として含まれないと考えられています。
しかしながら、これらも法律が技術を後追いして制定して
いますので、「ココ!」という明確な基準がないグレー
条文となっており、グレー条文で刑罰が適用されるとする
のは、専門家からみると問題が多いと言わざるを得ません。
実際の運用としては、刑罰化による抑止効果や教育効果を
意図しているように思われますが、未成年であっても悪質な
事例等があれば適用されることになるでしょう。
例えば「ネットにこう書いてあるからいい」と自己都合に
合わせて自分勝手な解釈をするのは、社会から置き去りに
されるでしょう。
法律と生活(=経済)との関係を判断するときには、その
方向性を理解することが最終的に正しい判断をすることに
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