表題の誌面が充実してきました。蒸気機関車専門の季刊誌で、
正式名称は蒸気機関車エクスプローラというのだそうです。


蒸気機関車EX

創刊したときはD51 498のアップが表紙で、パラパラと
めくってみると、写真うんぬんという内容が目に付いたので、
頭が足りなくて写真が分からない私としては、ムック形式の
単発企画だろうからスルーする種類のものと(判断したのだ
ろうと、振り返って)思いました。

その後C57 1の表紙になっても意識が立つことはなかった
のですが、3号目のC62 3の表紙になったときに往年の情
熱が甦ってしまい、さかのぼって全て大人買いしてしまいまし
た。強力なマイブームの到来です。

雑誌のほうはその後、C61 20、矢岳のD51、室蘭本線の
C57と続き、今春発売の第8号では再び山口線に今度は同乗
してのロケ・レポートが掲載されるようになって、ついにテー
マの時代性が過去から現在になりました。これは蒸機の業界に
地位を認められたということでしょう。編集部の方々の情熱に
頭が下がります。

誌面のほうも、写真のウェイトが多かった初期の頃より、現役
当時(今だって一部では立派に現役だけれども)の情報を深堀り
するようになってきて、また復活蒸機についても運用の現場に
限りなく近づいて知を集積しようとするジャーナリズム魂に、
読み手を通じて周囲を動かし始めています。

これは、ロマンティシズムやアマチュアリズムが横行する鉄道
ファンの世界において、いったん失って限られた数だけが現存
するものを、出来るだけ正確に宝物として共有しようとする姿
勢から生まれたプロフェッショナリズムだからこそ実現したも
のであり、下手に美しく演出して甘い味付けになっていない真
摯さに値打ちがあると思います。

現実の市場経済社会としては、復活蒸機が鉄道会社の体のいい
イベント集客企画のような動物園の展示動物のような扱いであ
るのに対し、この雑誌の誌面で取り上げられるものは情報ソー
スとして第一級の位置におきつつも、趣味愛好の対象としては
あくまで独立したテーマを追求するスタイルを採ったが成功の
要因でしょう。

昨今は、どうやら俄かに蒸気機関車ブームの風がふく予感が漂っ
てきていますけれども、もし社会現象のような流行になったと
したら、それはこの雑誌が成し遂げた功績として、歴史に名を
残すことになる一誌だと思います。

感謝!