皆さま、明けましておめでとうございます


私は本日が仕事始めです。

昨年は震災をはじめ大変な年でした。
年賀状の書出しにも迷いましたが、やはり一つの区切りをつけ、
一歩前に進むことを祝うことで、皆さまと共に新年を迎えたこと
慶びたいと存じます。

今年も!皆さまにとって最高の年になりますよう、
ご多幸とご健康をお祈りしております。

旧年中の仕事面では、本格的分業に向けた体制作りを地道に進め
一定の達成を得ることができましたので、本年からはあらゆる
視点から更に一層のサービス品質の向上と体制の充実に深化を
進めてまいります。

またこのことで、私のライフワークである法律手続の無料化を
進められることになりましたので、本年から本格的な事業化に
向けて、賛同いただける方々を広く募りながら協業に邁進して
参りたいと決意しております。

もしご関心おありでしたら、ぜひともご一報下さいませ。
お待ちしております。

本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。

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◆トヨタの戦略的判断に学ぼう

昨年後半の新聞に、トヨタの販売部門幹部の話として、興味
深いことが書かれていました。

「トヨタ車は欧州車に比べて全般的にボンネットが高く、
野暮ったい印象に繋がっている。」

何が興味深いかといえば、ボンネットの高い外観が販売上不
利になるということです。車両生産台数で世界一を競うトヨ
タにとっては、経営上の大きな問題でしょう。

クルマというのは面白い商品で、平べったいスタイリングの
クルマは格好よく見え、背高なスタイリングのクルマは格好
よく見えません。

これはダイハツの軽自動車も平べったければ格好よく見え、
フェラーリのスポーツカーも背高なら格好よく見えないとい
うことです。イメージしてみてください。

クルマも商品ですから、消費者が様々なクルマを比較検討し
てどれも甲乙つけがたく、最後にどの格好が好きかで購入
(=販売)が決まるとしたら、格好いいスタイリングはメーカ
にとって重大問題ですね。

それをトヨタ販売部門の幹部の方が認識して話されたのです。
トヨタ車の販売台数と売上に影響が考えられる話ですね。


さて、この問題に対処するには3つの方法があります。

1.エンジン高を下げる。
2.エンジンマウントを変える。
3.フェンダーにラインを入れる。

1は、エンジンそのものの高さを低くすることです。

ボンネットのなかにはエンジンが入っていますから、その高さを
低くできれば、蓋であるボンネットも下げられます。加えてエン
ジンという重量物が低い位置になれば、クルマの基礎性能として
重心が下がり運動性能が向上します。クルマが高性能化するなら
良いクルマとして商品力もアップします。具体的には吸気系と潤
滑系を変更することになるのでしょう。

しかし、現代のエンジンはシステムになっているので、吸気と潤
滑を変えるといっても部品を変えるだけではなく、設計から変え
る話になります。もうエンジンの時代ではなくなりつつあるのに
莫大なコストを追加投入しなくてはなりません。

2は、エンジンをボディに取り付ける方法の話です。エンジンを
ボディに取り付けるのに、クルマの性能を確保するためとエンジ
ンの振動を客室に伝わらないように抑えるため、事故時の安全確
保等々、さまざまな理由でエンジンの搭載位置が決められます。
これらの理由のなかにはクルマへの搭載方法も含まれます。

しかし、工場の生産ラインを大きく変更することになりますから、
該当する工場だけでなく、場合によってはトヨタ全工場の生産体
制に影響する大変更です。

3は、ボディのタイヤ付近にプレスで線を入れる方法で、視覚的
にボンネットを低く見せる手法です。悪く言うと「ごまかし」の
ように聞こえてしまいますが、割と一般的に広く行われていて、

例えばメルセデス・ベンツがヘッドライトを丸型にしたW210
というEクラスはフェンダーが平らなのでトラックのように見え
ました。その後、モデルチェンジしたW211というモデルでは
プレスラインが入ってスマートになりました。もしかしたらトヨ
タと同じく「やぼったい印象」だったのかもしれません。

この方法ならエンジンも工場も変更せず、ボディのデザインを変
えればいいので安上がりです。

しかしスタイリングの野暮ったさが経営上の問題なら、全車種の
フェンダーにプレスラインを入れなくてはなりません。「じゃあ
明日から全車種に」というほど簡単にはいきません。モデルチェ
ンジに合わせて行うと数年の時間が掛かってしまいます。

ここまで、3つの選択肢のメリットとデメリットをみてきました。

結論からいえば、新聞記事によると、トヨタでは今回2の方法で
対応したとのことです。

もしあなたが経営者で、ライバルとの競争の観点から売上に影響
する問題が明らかになった場合、ご自身の会社ではどれを選びま
すか?またその理由は何ですか?

じつは「選ぶべき」選択肢というのは始めから決まっています。
論理的に答えは出せるからです。でも「どれを選んだらいいか」
は、その会社の経営状況によって異なるでしょう。なかには、選
択肢がないという方もしらっしゃるかもしれません。

もう少し広く「競争上から売上に影響する選択」というふうに考
えると、例えばTPPが導入されたとしたらどうするか、という
テーマも同様です。

「選ぶべき」は決まっていて「どれがいい」は会社による。企業
によっては選択肢があるかどうか。

ボンネットの高さという小さく見える問題に対して、トヨタは3
つを比較検討して2番を選択しました。

もし「ボンネットが低ければ売れる」と顕著な因果関係が判明す
れば、トヨタ車全車種のフェンダーに(BMWと同じように)プレ
スラインが入るでしょう。中長期的には3番も選択するというオ
プションを残しています。

選択されなかった1番は「エンジンだけで性能を高めても売れる
かどうか」顕著な因果関係が望めない。または「エンジンだけに
注力する」ことは経営判断として選択できないということになる
かと思います。

「商品が売れないから、商品力アップをひたすら頑張る」という、
日本のがむしゃら仕事術は適切な経営判断にならない好例です。

今年は、たくさん判断が求められる年になりそうです。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

※この記事は、メルマガ記事の加筆・修正版であり、ビジ
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