アイラ島の東隣にあるジュラ島。隣りというのは本当に隣りで、
カリラ蒸溜所やブナハーブン蒸溜所からは川の対岸のように見
えます。

Isle of Jura
▲カリラ蒸溜所からジュラ島をみる。泳いで渡れそう。

そのジュラ島には、その名もジュラという島唯一の蒸溜所がある
のですが、目と鼻の先まで行っておきながら終にジュラ島には渡
らず飛行機で戻ってきてしまいました。ウィスキーのジュラには
そういう思い出があります。

そんなご縁ということが理由なのか、今までジュラを飲んだこと
はなく、あちらこちらで読むテイスティングノートはアイラと正
反対と書かれていて、それで選択肢に登らなかったのかもしれま
せん。ようやく初体験でした。


アイルオブ ジュラ 10年

幸か不幸か、はたまた何かの悪戯か、その日も強いウィスキーを
飲みたい気分の日で、一杯目がラガヴーリンから始まるような具
合でしたので、ジュラを飲んだときには味がなくなってしまった
かのような舌の変化に狐に摘まれた気分になりました。

しかしながらよく観察してみると、とてもスムーズでなめらかな
舌触りをもっていて、これは確かにアイラ島では見かけない種類
の味であり、あえて言えばローランドのローズバンクのようと形
容するのが近いのでしょうが、されど3回蒸溜の丸い味ではなく
むしろウルトラスムーズなハイランドに近い感覚です。

仕込みはどうやらバーボン樽らしく、とうもろこし甘いメロウな
味がころころと転がり、フィニッシュはサスティーンが長く続く
爽やかな一本。

一見(一舐)なんてことはないウィスキーのようですが、その実は
他のどこにもない個性であり、ハイランドほどアルコール辛くな
く、ローランドほどメロウでなく、アイラほど臭くなく、スペイ
サイドほど樽香が強くない、されど無個性ではなく味わいのある
ウィスキーが飲みたい。そういう本物が欲しくなったときに最適
なウィスキーです。

今までご縁がなかった不徳を恥じつつ、これからは密かな常備薬
としてラインナップしたい(もちろんオールドボトルを!)ウィ
スキーです。

感謝!