前日のバーテンダー氏に、ちょっと変わったものある?と聞いて
出てきたのが、こちらのボウモア14年でした。


デュワラトレー ボウモア14年[1997]

アイラ島で最古の蒸溜所として有名なボウモア蒸溜所系列の瓶詰
業者であるデュワラトレーがボトリングしたもので、日本のメジャー
酒販業者である信濃屋さんが樽買いされたのだそうです。ラベル
の一番下に「for Shinanoya」と入っていました。

ボウモアは、今やサントリー社傘下の蒸留所としてウィスキーを
製造していますけれども、このボトルは従来蒸留所を経営してい
たモリソン・ボウモア社のスタッフがカスクを選んだとのことで、
昔懐かしいボウモア本来の美味しさが残っている貴重な一本です。

テイストは幸か不幸かシェリー樽仕込みだったようで、ミディアム
にピートを焚いたモルトのピート香とモルトの甘み、シェリーの
風味、ヨード香が次々と姿を現すように顔をみせ、大きな味の流れ
のなかにグレープフルーツのような柑橘系のヘザー・テイストが
光るウィスキー。フロアモルティングで製麦したのか、複雑なボ
ディが口のなかに広がります。

もちろん、ボウモアであることを頑として主張するように黒コショ
ウとオイリーなテイストが芯を貫いているので、ちょっと変わっ
たボウモアとしてだけでなく、昔懐かしい本物のボウモアを味わ
いたい御仁にも最適です。

ここまでくると、本当のボウモアを日本にもってきた酒販業者を
誇りに思うべきか、ボウモアを日本の酒造メーカが所有している
ことを誇りに思うべきか、非常に悩ましい事態となります。

かつてボウモアで蒸留長をしていたジム・マッキューワン氏は、
山崎蒸留所などを経て独立、ブルックラディ蒸溜所のオーナーに
なりました。

ウィスキー製造の世界では、蒸留長が一番強いのが通り相場だそ
うですが、伝統がよいのか商売がよいのかは製品のみが知るとい
うことなのでしょうか。


ウイスキーがお好きでしょ
(作詞:田口俊 作曲:杉真理)

ウイスキーがお好きでしょ
もう少ししゃべりましょ
ありふれた 話でしょ
それで いいの 今は

気まぐれな 星占いが
ふたりを めぐり逢わせ
消えた 恋 とじこめた
瓶を あけさせたの

ウイスキーがお好きでしょ
この店が 似合うでしょ
あなたは 忘れたでしょ
愛し合った事も

感謝!