前回に引き続きネスプレッソをもう少し。

ネスプレッソは、誰もが容易に連想できるようにネスレのエスプ
レッソという意味のネーミングですが、それはこのコーヒーの入
口に過ぎず、単なるエスプレッソ以上のものであることは前述の
通り、タグラインに書かれています。

しかし、コーヒー、ボディ&ソウルというタグラインのメッセー
ジは、なんとなく分かったようで実は曖昧模糊としているのです
が、だからこそのマーケティングなのです。

ちょっと脱線すると、巷で流行っているマーケティングというの
は商品企画のことであったり、広告宣伝のことであったり、販売
手法のことであったりすることが多いですが、どれもマーケティ
ングの全体像に触れるものではありません。

一方、経営を修めた人からみるとドラッカーやコトラーのように
経営そのものを意図して使われることすらあります。これは事業
における最適化という意味では正しいですが、消費者サイドの視
点からすると「ファイナンスなんて関係ない」でしょう。だから
これも完全な答えとは限りません。

消費者からみた商品のイメージと事業者からみた商品のイメージ
が整合するとき、それは良くも悪くもブランドでありマーケティ
ングでもあるのです。これが答えです。

ネスレという企業は、その部分が非常に長けている夢のような素
晴らしい会社で、ここでタネを明かせば「ネスプレッソ」の答え
はリーフレットの中に、次のようにしっかりと書かれています。

-ネスプレッソシステムのコーヒー、マシン、クラブが一体となっ
て、ご家庭でくつろぎながら、エスプレッソを飲む楽しみをお届
け致します。

これです。これがCoffee, body and soulの中身です。そして美味
しいエスプレッソを実現するコーヒーカプセル、25年ほど前に
特許を取得したというエスプレッソマシン、マシンを購入すると
メンバー登録されてブティック・ネット・電話でコーヒーカプセ
ルを購入できるクラブ。これらが一体となって美味しい一杯のコー
ヒーを提供しています。


ネスプレッソ ラティシマ

つまり、例えばライバルメーカがネスプレッソと類似のマシンを
販売しようと考えたとしても、まずマシンで次にコーヒーで最後
に流通で追いつくことが難しいと思われるポジションを作り出す
ことに成功しています。

またリーフレットをみると、コーヒーとエスプレッソに関するス
トーリーや企業で取り組むプログラム、マシンデザイン等エスプ
レッソを購入するであろうライフスタイルやクォリティ・オヴ・
ライフを求める顧客層の関心事をしっかりカバーしています。

仮に、あなたがネスプレッソブティックでこれからネスプレッソ
マシンを購入したとしたら、その記憶にあるエスプレッソと同じ
味のコーヒーが再現されることが保障され、もし別の味を楽しみ
たいと思ったら15種類以上の選択肢があるとするならば、ネス
プレッソを通じたネスレ社との強力な結びつきは簡単に解けない
のではないでしょうか。

ここまで来ると、欲しいと思っている人に対しては価格は大きな
関心事ではなくなってくると思います。これこそがマーケティン
グです。

先のようにマーケティングの意味を間違えて捉えていらっしゃる
方でしたら、ぜひネスプレッソのブティックでマーケティング体
験をなされることをおすすめします(笑)

私自身は、また別の部分に関心をもつようになりました。

NESPRESSO

感謝!