こんにちは！

京都ペレット町家ヒノコのスタッフＮです。

暑い暑い夏も、そろそろ終わりに近い？？と思いたい

9月初旬。

いつの間にかツバメの姿を見かけることも減り、クマゼミもどこへやら。

朝晩の涼しい風と日暮れの早さに、首を長くして秋の訪れを待つ今日この頃です。

さて、前回の更新から間が空いてしまいましたが…生態系のお話、最終回です！

今回は、今まで説明してきた生態系が、じゃあどういう状態ならば、安定的に維持していけるのか、という観点でお話していきます。

生態系安定のための5つの条件

①十分な太陽エネルギーが供給されること

②その生態系が存立するための環境条件がそろっていること

③生物相が豊かで相補的であること

④生物量がそれぞれ適量であること

⑤生物と環境のバランスがとれていること

①から順番に説明していきます。

①十分な太陽エネルギーが供給されること

これまでに説明してきたように、光合成をして有機物を生産し、酸素を放出する植物がいなければ、ほかのほとんどの生き物は生きていくことができません。

ある生態系が成立するために必要な植物が育つに見合った、十分な太陽エネルギーが無ければ、植物は育ちません。十分な量の植物が育たなければ、ほかの生き物も結果的に生きていくことができず、生態系の持続はかないません。

（↓この記事も参考に）

『生態系のお話　その2』こんにちは！京都ペレット町家ヒノコのスタッフNです。街中にいるとクマゼミの鳴き声しか聞こえませんが、すぐ近くの裏山に入るとミンミンゼミの声に変わり、なんだか…

ameblo.jp

②その生態系が存立するための

　　　　　　環境条件がそろっていること

ここでいう「環境」とは降水量などの水分、その土地の気温、気候、土壌状態などをさします。

たとえば、森林が成立するには十分な降水量（年間約1,000mm）と十分な気温（年平均気温約-5℃以上）が必要です。そこに、土壌の状態などが加わって、その土地によってさまざまなタイプの森林が成立します。

なので、森林が成立するためには「降水量」「気温」が必要であり、あまりにもひどい干ばつや厳しい寒さ、あるいは多すぎる雨や高すぎる気温…など、適さない環境条件が出てきた場合、その森林における生態系は持続できなくなる可能性が高くなるわけです。

（※森林を例に書きましたが、海や河川、草原などにもそれぞれ必要な環境条件があります。）

③生物相が豊かで相補的であること

これは、つまり「生物多様性」が豊かであること、をさします。「その２」で書いたように、様々な生物が生息していることで、それぞれの生物が、様々な他の生物と様々に関わり合いながら生きていることで、生態系内の物質循環のルートは複雑多様になります。

そうすると、ある一つの物質循環ルートに何らかのダメージがあった場合でも、ほかのルートがあることで、生態系全体で見た時のダメージは少なくて済む、というわけ。

電車の環状線を考えた時、どこかの区間で運行中止になったら、環状線全部が止まってしまいますが、駅ごとに様々な駅とつながっていれば、環状線全体のダメージは少なくなりますよね。

④生物量がそれぞれ適量であること

ある一種類の生物の個体数がとても多くなったら…それはやはり生態系のバランスを崩してしまいます。

シカが増えすぎたことによる、様々なデメリット（植樹苗の食害、林床植物の減少、etc.）はいい例です。

一種の個体数が増えると、その種の餌になる生物は激減し、またその餌になる生物の餌になる生物も激減する、という負のスパイラルが発生してしまいます。

植物食性の昆虫種が何らかの理由で大発生すれば（例えばイナゴ）、非常に大きな被害が起こるのもご存じの通り。

これが、何年かに一度、数十年に一度、だったらまだしも、長期的に続くと、その生態系は回復不可能になってしまうかもしれません。

とは言え、地球という生態系を見た時、一番増えすぎているのは「人間」だと思いますけれど…。

⑤生物と環境のバランスがとれていること

生態系の環境は、その生態系に生きる生物に常に何らかの働きかけがあって、生物もまた、その環境に対して常に何らかの働きかけがあります。

例えば、「土壌」という環境に植物が生育します。土壌は植物に対してミネラルなどの養分を供給し、植物は有機物を生産して、その有機物は微生物によって分解され、土壌に還っていきます。この過程で、分解された有機物が程よく土壌に供給されることで、土壌がより豊かになり、より豊かになっいた土壌があることで、植物はまたより成長が促されるのです。

こんな感じで、生物と環境双方のバランスがうまくとれていると、その生態系は安定して維持でき、より豊かな生態系へと展開していくことができます。

と、ごちゃごちゃいろいろ書きましたが、ようは「いかに完全に近い物質循環系が確立されているか」が、生態系の維持・安定には重要、ということです。

多くの生き物たちが安定して生きていける環境を維持するには、なにか1種だけの生物が多くても少なくてもうまくいきません。

いろんな生き物がいろんな関わり合いの形を持ちながら、持ちつ持たれつ生きているのが「生態系」なのです。

そして、生態系の中に「ゴミ」「不要物」という概念はありません。

どんなものでも何らかの形で循環して、必ずまた何か別の形で生き物の命を支えています。

翻って、人間の「社会」を一つの生態系とみなしたとき・・・生産もできる、消費もできる（ここでいう生産・消費は食物連鎖の生産・消費とは異なる意味合いではありますが）、じゃあ分解は？？

埋め立てゴミにして見えなくしたり、焼却して灰にしたりしたって、それは全く分解にもならないし、ましてや「社会」という生態系の中で循環もしていません。

物質が循環できない生態系は、最終的に維持・存続はできないのに。

生態系のお話、いろいろな面でお手本になると思いませんか？

生態系のお話 その３

生態系のお話　その３