週末、シネコンに映画を見に行きました。朝9時から1回のみ上映の作品で、もうじき終わるものは朝1回とか、夜1回とかの上映形態になります。終映が近いし、朝早いしで空いているとは思うものの、この席で見たいというこだわりがあるので、3日前から可能な座席指定で席を確保しておきました。
 これで、当日は間際に到着しさえすれば良い環境で鑑賞可能なはずでした。ところが駅に着くと、隣の駅で人身事故があり、不通なのです。さて、どうする。ハリウッド映画のハラハラ、ドキドキ実体験です。
 金に糸目はつけない、と思ってもタクシーは見事につかまりません。満員で乗せてくれないバスを1台見送った後、しばらくしてようやく到着した次のバスになんとか潜り込み、身動きもできないまま目的地に到着しました。
 結果、上映開始から30分後に、事情を話して入れてもらうことができました。すでに鑑賞中の観客の妨げにならない席を探してくれて着席しましたが、周りを見ると売れているはずの席も空いたままでした。事故の影響で来られなかった方々の席でしょう、多分。
 冒頭部分を見逃してしまった映画のタイトルは、今年度アカデミー賞ノミネート作品の「ブルックリン」でした。

 公開後満席が続いているという話を聞いていた「帰ってきたヒトラー」を、ようやく鑑賞しました。本人がタイムスリップして現在のドイツに現れるという設定です。SFではないのでタイムスリップは単に話の背景を作るための道具立てにすぎません。
 周囲はソックリさんとしか見ておらず、それがいかにも本物のようにふるまうのを面白がって、テレビの人気者になってしまいます。明らかにコメディなのですが、昔のドイツでヒトラーがどのようにして受け入れられたのかが、よく分かります。彼は単に自分のビジョンと計画を示しただけで、大衆がそれを選択し、熱狂的に支持したにすぎません。どこにもモンスターはいなかった。選んだのも選ばれたのも普通の人で、それがある特殊な状況下で暴走することで出現してしまった世界の悲劇を、この映画は喜劇の体裁で語っています。
 その意味でまことに恐ろしい映画ではあります。未見の方はぜひご覧ください。選挙で誰を選ぶかはとても大事だと分かります。東京都知事選近し。

 5月中旬からのロングランで、シネコンでの上映回数は減ったものの大健闘中の邦画「世界から猫が消えたなら」をようやく鑑賞することができました。といっても積極的ではなく、時間があったから見た作品なのですが、大変失礼しました。とてもよく出来た感動作で、大いに泣けました。しかも映画に対する愛が詰まった、ファンなら必見の映画といえます。
 自分にとって大切なものとは何か、を考えさせられる映画です。主人公は突然余命がわずかと宣告を受けるのですが、もうすぐいなくなる自分の代わりに、周囲から大切なものが一つ、また一つと失われていくことと引き換えに生き永らえることができる、というファンタジーです。やがて主人公は死と向き合い受け入れる覚悟を持つにいたりますが、世界の美しさとそこに生きている人々への愛おしさが身に迫ります。
 見て良かった。大正解でした。まだの方にはお勧めです。終映も近いと思います。