小児泌尿器科外来・・・急性陰嚢症について
思春期の息子さんをお持ちのお父さん、お母さん必見です!!
突然の“おちんちん”(正確には陰嚢《いんのう》=袋の部分)の激しい痛み・・・
夜中でも迷わず泌尿器科へ急行してください!
●急性陰嚢症とは?
急性陰嚢症とは“突然おちんちんの袋の部分が痛くなる”病気です。
原因は色々あるのですが重要なのは緊急手術が必要となる精索捻転症かそれ以外であるかを判断することです。
当然熟練した泌尿器科専門医や小児外科専門医でないと判断できません。
●精索捻転症とは?
精索捻転症(せいさくねんてんしょう:精巣捻転症ともいいます。)おちんちんの“たま=精巣=睾丸”が精索と呼ばれる軸を中心にねじれることです。この精索の中には精巣(睾丸)に栄養を送っている血管が入っているので、精巣に血液が流れなくなってしまします。
約6時間以内に手術をしなければ、ねじれた精巣は壊死(死んでしまうこと)してしまう可能性が高くなります。(図)

●精索捻転症の特徴は?
①何歳の男の子に起こりやすいの?
精索捻転が起こりやすい年齢があります。新生児期と思春期の二つの時期に起こりやすいと言われています。(ただし、私自身20歳台や30歳台の精索捻転の患者さんの手術経験もあります。)
②どのような症状なの?
冬場に多いというデータもありますが、夜中(明け方)に突然、激しい陰嚢部の痛みで目が覚めることが多いようです。思春期に多いことから、“おちんちんが痛い”となかなか親に言い出せなくて病院受診が遅れるケースがあります。
また、足の付け根から下腹部にかけて痛みが響くことがあるので、単なる腹痛や虫垂炎(盲腸)と間違われることもあります。
●急に陰嚢部(おちんちんのたまの部分)を痛がったらどうしたらいいの?
とにかくすぐに泌尿器科がある病院へ急行してください。
前述のごとく発症から6時間以内に診断をして手術を行い、ねじれた精巣を元に戻さなければ精巣が死んでしまいます。自宅で様子を見ている時間はありません。特に“15歳前後”、“夜中に突然精巣が痛くなった”、“我慢できないぐらいの痛み”が揃っていれば(佐賀市内なら)佐賀大学附属病院救急部や県立病院好生館の救急部など泌尿器科医と連絡が取れて、かつ緊急手術に対応できる病院に直接連絡して受診したほうが良いと思います。もちろん当院でも電話対応や緊急診察に応じます。必要あれば上記の施設に当院から直接受診依頼をいたします。
●どうやって診断するの?
①問診と病歴を詳しく聴きます!
発症時間(痛みが起こってからどれだけ時間がたったか?)、痛みの程度(激しい痛みか鈍い痛みか)、陰嚢部を打撲していないかなど詳しく話を聴きます。
②診察
検尿、触診、痛みの場所などを調べます。また超音波検査で精巣や精巣上体の状態を調べます。泌尿器科専門医が診察すれば典型的な場合はほとんどこれだけで診断がつきます。診断がはっきりしない場合は超音波カラードプラエコー検査が有用と考えられています。この検査が行える施設(佐賀大学附属病院や県立病院好生館)を御紹介します。
●もし精索捻転が強く疑われたら?
精索捻転の可能性が高い、あるいは精索捻転が否定できない時は迷わず緊急手術を行う必要があります。もし捻転であれば大切な精巣を一つ失ってしまうことになるので、手術を勧められたときは躊躇なく手術を受けてください。
●どんな手術なの?
①精巣固定術
腰から下の下半身麻酔(腰椎麻酔など)を行い、痛みがあるほうの陰嚢部を数センチ切開し精巣がねじれているか確認します。ねじれていればこれを元に戻して、二度とねじれないように固定します。片方がねじれていた場合、反対側もねじれやすい傾向があるので、反対側も切開して予防的に固定します。
②精巣摘除術
捻転発症から診断・手術まで長時間が経過し、手術時にはすでに精巣が死んでいた場合(精巣の色で判断します。)は、精巣を摘除します。死んでしまった精巣を残しておくことで元気なほうの精巣から作られる精子に悪影響を及ぼすことがいわれているからです。
③捻転でなかった場合
当然手術の結果、捻転でなかった場合もあります。精巣垂捻転など他に痛みの原因があった場合はこれを切除します。“手術したけど捻転で無かったのなら手術しただけ損なのか?”・・・決してそうではありません。むしろ喜ぶべきです。捻転か捻転でないかを判断することは時に困難な場合があり、手術をすることでやっとはっきりする場合も多々あります。欧米では陰嚢部が痛くなった場合はたとえ捻転の可能性が低くてもすべて手術して確認すべきだと言っている人がいるぐらいです。
●精索捻転以外で陰嚢部が痛くなることはあるの?
大事なことは緊急手術を必要とする精索捻転か手術不要の他の原因かをすばやく判断することです。精索捻転以外で急に陰嚢部が痛くなる病気には以下のようなものがあります。
①急性精巣上体炎
精巣の上についている精巣上体と呼ばれる部分にばい菌がついて痛みが起こること。
②精巣・精巣上体付属器捻転症
精巣や精巣上体に垂れ下がっている“垂”とよばれる塊がねじれること。(注:“垂”がねじれても精巣にダメージはきません。ただし、痛みはあります。)
③急性精巣炎
④嵌頓ヘルニアなど
●まとめ
お子さんが急に陰嚢部の痛みを言い出したときにはすぐに泌尿器科へ連れて行ってください。痛い場所が場所だけに言い出しにくいこともあるので日頃から“たま”が痛くなる病気があること、緊急に処置をしなければ精巣を失ってしまうことがあることを息子さんに教えてあげておく必要があると思います。また、“下腹が痛い”という表現をすることもあるので注意が必要です。

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なかなか 疲れがとれません(┳◇┳)