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家畜人六号のブログ

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テレビ放映でたしか二回、ビデオで一回見ているのだが、今回スクリーンで上映されたのはまるで別物。
前に見たときの感想はこちら

テレンス・マリック作品の常で撮影が素晴らしく、冒頭でゴミ収集車にマーティン・シーンが乗っているあたりはむさくるしいリアリズム寄りだが、シーンがウォーレン・オーツを殺すあたりから描かれる内容が血腥くなるのと反比例して画面と描写のタッチは美的かつ詩的になる。
オーツの家に火をつけるシーンを丹念に美的に撮っているところからはっきりトーンが変わる。
後半のがらんとした平らな草原の一応緑に覆われ、動植物や天体にも彩られているが豊かな自然というには頼りない感じは、他ではあまり類を見ない。

シーンがオーツを殺す場面のあっけなさはマリックの次作「天国の日々」でリチャード・ギアがサム・シェパードの胸にまるで意思とは関係ないようにドライバーを刺してしまう一瞬につながる。
音楽センスがまた素晴らしく、ぎりぎりで宗教的になるのを躱して透明で美しい。

シーンが帽子に拘るのはジェームス・ディーンに似ているという自意識があってのことか。ディーンの帽子とは違うデザインの気もするが。ライフルを肩に担いでいるポーズははっきりディーン。

シシー・スペイセクが十五歳という設定で(実年齢は二十四)、タバコは喫っているが酒は飲まずミルクを飲んでいる。

ちなみにこの「バッドランズ」の美術監督(最近のようにProduction Designer ではなくArt Directorとクレジットされていた)のジャック・フィスクとスペイセクは撮影の後で結婚して、今でも一緒。「キャリー」の時は結婚間もない夫婦でカメラの前と後にいたわけだが、例の血のバケツのシーンで着色したシロップを使うアイデアはフィスクが出したもので、髪の毛がべたべたして往生したとスペイセクは「スクリーン」誌のインタビューで言っていた。

エンドタイトルの献辞にアーヴィン・カーシュナーやバート・シュナイダー、アーサー・ペンの名が見える。

ふたりの主演者の「声」がともにフューチャーされていて、スペイセクは最初からナレーションを担当し、シーンはしきりと駅などにあるEP録音機に声を吹き込んでいる。

シーンのゴミ収集仲間で今は管理人をしているケイトー役のラモン・ビエリはどこかで見た覚えのある顔だと思ったら、「恐怖の報酬」の石油会社の現場担当者役。