その日は突然やってきた。


一緒に住んでいるのだから、

そのうちそうなるとは思っていたが、

 

以前、


付き合って1年くらいは様子を見たいといったようなことを聞いていたので、

まさかこんなに早くくるとは思っていなかった。

 

その日は在宅勤務で自宅で過ごしていた。


早朝は大荒れだった天気は


9時頃には晴天になり、


ぽかぽかと温かい陽気の日だった。

 

昼頃に、歩いて15分ほどのスーパーに買い出し。

外食しちゃおう、と、

スーパーのフードコートで

ランチをしていると、

窓の外には青空が広がり、

海と無人島が綺麗に見えた。


あぁ海の近くに引っ越したんだなぁと

ようやく実感していた。


早く週末になって、
Fと散歩したいなと、そんなことを考えていた。

 

仕事の合間に夕飯の支度をして、


Fの帰りを待っていた。


めずらしく、

「少し残業してから帰る」の連絡。


そういえば、この前の在宅勤務で

帰宅したFを玄関で出迎えなかったことに

「もう!今日はまきちゃんが出迎える番でしょーが!」

と冗談で言っていたのを思い出した。

 

水溶き片栗粉の分量を間違えて、

固形物のようになってしまった麻婆茄子と格闘していた私。

 

マンションの階段をあがる音がする。


ぶーぶー言われるから、
今日は出迎えてやるかと


ドアが開くのを待っていた。

 

ドアがあき、


はい、コレ!と


黄色いバラを基調とした花束を渡された。

 

なになに、どうしたの?と聞くと


俺と結婚してください。


とのこと。

 

なんでもない日であり、


先週の私の誕生日に行った
ロマンティックな鉄板焼き屋では何もなかったので、

 

え?冗談?なに?どうしたの?


と答えてしまった。

 

 

F曰く、


色々なことの巡り合わせが一番合致したのが今日だった

と。

 

花束と一緒に写真を撮ったら、


エプロン姿の私は、母の日のような写真が撮れてしまった。


せめてエプロンぬぎゃいいのに。

 


と、まぁなんか特別な演出というわけでもなかったが、


Fとの付き合いは、ステップアップをした。

 

結婚式はしないが、


写真は撮りたい。


6月の付き合って1周年記念に入籍することにして、


あと4か月で、本気でダイエットをしようと思った。

 

プロポーズされて、ひとつだけ変わったことがある。


「死にたい」から「生きなきゃ」に思考が変わった。


まっこ