教えない人が、いちばん騒ぐ ―第四章-パワハラ奮闘記―|key最初のころ、 私は「工作が得意で、機械に強い人」扱いだった。 壊れたプラグを直したり、 破れたネットを貼り直したり、 ボロボロになったカバーを補修したり。 「みんなやりたがらないから助かる」 「こういうの得意だよね」 そう言われていた。 実際、誰もやりたがらなかったというより、 やってもどうせ文句を言われる という空気が、すでにあっただけだったのだと…note.com
誰も責めていないのに、傷ついた人になる ―第五章-パワハラ奮闘記―|key日計を書くための書類がある。 日付だけ印刷されていて、 月と曜日を手書きするタイプのものだった。 ある日、 その曜日が、次の月のものになっていた。 たぶん、カレンダーを一つ先まで見てしまっただけ。 誰にでもある、よくある間違いだ。 そのまま使うこともできたけれど、 この先、数字が増えてから直すほうが面倒だなと思った。 まだ私は、 この人のことをよく知…note.com
誰も止めなかった理由 ―第六章-パワハラ奮闘記―|key振り返ってみると、 お局の言動そのものよりも、 まわりの人たちがどう動いたかのほうが、 この職場を静かに壊していった気がする。 誰かが困っていることも、 空気がおかしいことも、 理不尽なことが起きていることも、 実はほとんどの人が気づいていた。 でも、誰も止めなかった。 止めなかったというより、 止められなかったのだと思う。 意見を言えば、面倒なこと…note.com
「今なら動ける」と判断された日 ―第七章-パワハラ奮闘記―|key普通なら、 雇用契約の更新は、書類が送られてくるだけで終わる。 でもこの職場では違った。 半年に一度、必ず本部の担当者が来る。 理由は、はっきりしていた。 お局がいるからだ。 聞き込みは、毎回ほぼ同じ内容だった。 いろいろ話を聞いてくれた上で、最後には必ず聞かれる。 「暴力は振るわれていませんか?」 「叩かれたり、突き飛ばされたり」 「それはないです」…note.com
ノートに残された、数えきれない筆跡の正体 ―第八章-パワハラ奮闘記―|key聞き込みのあと、お局は必ず呼ばれていたらしい。 「複数のスタッフからクレームが入っています」 そう伝えられて、注意を受けるのが、いつもの流れだった。 あとで知ったことだけれど、 その内容は、かなりふんわりしたものだったようだ。 言い方が少し強い、とか。 きつく聞こえることがある、とか。 本人はきっと、 「そんなつもりはない笑」 その程度にしか受け取ってい…note.com
たった一つのボールから始まった話 ―第九章-パワハラ奮闘記―|key仕事は、嫌いじゃなかった。 むしろ、好きだったからこそ、辞める理由が見つからなかった人たちがいた。 あとから聞いた話だ。 先輩のひとりは、こんなことをされたという。 ボールプールのボールが、たった一つだけ外に出されていた。 朝、出勤すると、誰の目にもつく場所に、ぽつんと置かれていた。 横には、短いメモ。 「汚れていました」 実際にその汚れを見た先輩…note.com
辞める前提で、人は選別される ―第三章-パワハラ奮闘記―|keyその人は、よく言っていた。 「同僚くんは独身だから、そのうち就職先を見つけるでしょ」 「いつまでいるかわからない人には、教えたくない」 「信用できないから」 顔を合わせるたび、 まるで確認作業みたいに、同じ言葉を繰り返していた。 最初は、 「合理的な判断なのかな」とも思った。 限られた時間で、教える相手を選ぶ。 そういう考え方も、なくはない。 でも、…note.com
「まだ早いから」と言われ続ける場所―パワハラ奮闘記―|key使われていた言葉は、 怒鳴り声でも、露骨な否定でもなかった。 「信用できないから」 「まだ早いから」 一見すると慎重で、 相手を思って判断しているようにも聞こえる言い回し。 でもそれは、 本人のいないところでだけ使われていた。 私にも直接言われたことはない。 リハビリのつもりで入ってきた人にも、 本人に向かって告げられることはなかった。 代わりに、…note.com