昨日の夜
夢見たんだ
臣
聞いてよ
先にスタジオに来ていた
隆二が
腕をかきながら
隣に座った
俺と臣が
キャンプしててさ
何故か
黒猫がいるのよ
その猫が
俺と臣に
こっちこっちって
どこか連れてくんだ
猫がしゃべんの?
夢だから
ついて行くと
大きな湖があってさ
大きな月が出てて
それが
青くて…
そうかと思えば
ピンクになって
黒猫がね
気づいたら
湖の真ん中にいて
月に向かって歩いていって
消えちゃった
俺さ飛び起きて
大汗かいてた
すごい夢だな
でもね
忘れられなくて
臣に言わなきゃって
黒猫も月も
よくわかんないけど
幻想的だな
すごく懐かしい気がしてさ
懐かしい?
わかんないけどね
レコーディング前に
打ち合わせをした
2人に紹介するよ
たまたま
今日スタジオにいらしてた
作詞家の先生
先生…
あの…帰りますから
それに
先生だなんて…
♡…
えっ?
♡…
たまらず
抱きしめていた
ずっと…ずっと…
気になっていた♡が
目の前にいる
臣?
臣?
どこにいたんだよ
ずっと…
ごめんね…
何 何?
先生
登坂と知り合いだったの?
聞いてないし
臣…
そろそろ離れたら
先生って?
MOON先生
えっ?
♡がMOON…
ごめんなさい
そっか…
詩書いてたんだ
どこか懐かしくて
たまらなく愛おしい
そんな気持ちになるはずだ
ずっと…
泣くなよ 臣
先生困ってるよ
俺ははじめまして
臣とボーカルしてる
今市隆二です
会う予定じゃなかった
知り合いのディレクターさんが
異動になり
挨拶に来ただけだった
まさか
臣がいるなんて…
二度と会う事はない
いや…
会わないと思っていたのに
今回の三代目の新曲の詩も
あまりに辛く
お蔵入りさせるはずだった
三代目が歌うと聞いた時
もっと強く反対すればよかった
私の事なんて
忘れていてほしかった
臣とは対象的に
今市隆二さんは
ニコニコ笑い
私に頭を下げながら
挨拶をされた
臣…臣さん
そう呼ぶと
そっと臣は
私から離れた
驚いたな
先生と臣
知り合いだったなんて
先生
レコーディング
見ていってください
臣…?
大丈夫?
下を向いたままの臣
いえ…
用事も終わりましたし
失礼します
あの曲
大事に歌っていただき
ありがとうございます
待っててよ
下を向いたままの
臣が
ボソッと言う
失礼します
待って…♡
俺の携帯番号
差し出された
番号
彼の顔は真剣だ
躊躇う私がいた