最終回 あの人の本名


「もしかして新しく入った住み込みの子?」「はい。ニコールと言います。よろしくお願いします。」「あたいはジョニーの妹ウケグチーヌと同い年で幼なじみのスキッパ。たまに店を手伝ってんだ。ここ凄く忙しいでしょ。ロックスタウンでいちばんうまいおでん🍢屋だからね。あんた来てくれて助かってるってジョニーが言ってたよ」「えっ?」ジョニーはほとんどスザナとは話をしてくれない。話すのはいつもジョニーの友達のクチゴボだ。「私、マスターとはほとんど話したこと無くて…」「えっ、マジ?まぁウケグチーヌ亡くなって間がないから仕方ないよね。閉店の手伝いをするよ。」ジョニーはスキッパが来て喜んでいた。と程なくしてクチゴボが来た。「よぉ、もう閉店だろ、明日は定休日だから飲もうぜ。ニコールの歓迎会まだだったし。」3人はスザナに今までどこにいたとかどこから来たとか一切聞かなかった。訳アリということがわかっていたので3人は聞かずにそっとしておくことにした。


半年がたちスザナはすっかり店に溶け込んでいた。夏でもおでん🍢が売れるので毎日忙しくて充実していた。“もしかして私もう女優は本当に辞めたほうが良いのかな…?”あんな風に降板して逃げる様に劇団を出て行った事に対して考える様になった。そんな考え込んでる姿を遠くからジョニーは見ていた。ある日、スザナはジョニーに「片付けたら話あるから帰らずに店で待ってて」と言われ何だろうと待っていた。すると、スキッパとクチゴボが来た。「ヤッホー、ニコール。」ジョニーが「全員揃ったな。」と言い話し出した。「ニコール、いやスザナ君はいつになったらブロードウェーに帰るんだ?」「えっ?わかってたの?」スキッパが「当たり前だよ。こんな小さいまちでもストラスフォード劇団は知ってるよ。あんたが行方不明になったことも。なんでかも大体知ってる。早く帰んな。今ならまだ間に合う。」「もう遅いのよ。私、退団届け出したから。」「何言ってんだよ。劇団は体調不良で休養中って発表してたよ。そりゃここにいてくれたら凄い助かるし、ありがたい。でもあんたはここより女優やった方が良い。じつはウケグチーヌはあんたの大ファンだったんだ。」「そうだ、一目見てスザナってわかった。亡くなったウケグチーヌがここに連れてきてくれたと思った。凄く落ち込んでいたからこのまま知らんぷりできなかった。」とクチゴボが言った。「スザナもう一回頑張ってくれないか?ウケグチーヌのためにも。あいつ、スザナの舞台観るのが楽しみだったんだ。でも脳腫瘍で死んじまったから叶わなくて。女優続けろよ。」スザナは「劇団の人達はどう思うかしら。帰りにくいわ。」クチゴボが「そうだろうと思って俺から劇団に連絡しといた。いつでも帰ってきて良いって、さぁ善は急げだ、スザナ」スザナは涙を流して「ありがとう、実は劇団に戻りたかった、また舞台に立ちたいと思ってた。あなた達に出会って良かった。ロックスタウンに来て良かった、ありがとう。」と何度も頭を下げた。「スザナ頑張れ、また舞台観に行くよ。」とスキッパが言った。「よく働いてくれたからほんの気持ちのボーナスだ。」ジョニーが一枚の紙を手渡してくれた。ニューヨーク行きのチケットだった。スザナは涙で周りの景色が見えなくなり意識を失った。



目が覚めると自分の部屋だった。「あれ?もしかして夢?」1階から「スザナ団長さんが来てるのよ、降りてきて」と母親の声がした。下に降りると団長とカレンがいた。「やぁ、スザナ気分はどうだ?頼むから辞めるなんて言わないでくれよ」と団長が言った。カレンも「ヒロインがいつまで休演してんのよ‼️代役にいつまでもさせてんじゃないわよ。早く出てきてよ。ライバルがこんなんじゃやってらんないわ、いつから出れるの?来月はロックスタウン特別公演を控えてるのよ」「ロックスタウン…出ます、もう一度チャンスを下さい。」


月が変わりロックスタウン公演が始まった。スポンサーに今流行りのファーストフード“Shakure おでん🍢”と書いていた。「夢じゃなかったんだわ、ジョニー達に会える、恩返しができる」とスザナは胸をときめかせていた。団長が「スザナ、スポンサーの方にご挨拶して。」スザナは「ご無沙汰してます、ジョニー」と言った。するとあのジョニーがいた。「ジョニー?ジョニーって誰だ?俺はそんな名前じゃない。俺の名前はレオナルド=デッパプリオだ。」



いがらし先生からお借りしました。



「そんな、半年以上そちらで働いてたニコールよ。」「はぁ?ニコール?知らねぇな。」団長が「スザナ、君はずっと自宅にいたはずだよ。君のお母さんが言ってた。」夢を見ていたのだろうか…。スザナは腑に落ちないが久しぶりの舞台、しかも大好きなテリュースとの舞台に上がり幸せを感じていた。ロングラン公演の後、テリュースはキャンディとの婚約をツーショットで会見した。スザナは不思議とそんなに悲しくなかった。「私にはこの女優がある。今はできるだけこの女優を続けよう。あの夢を見たおかげでいちばん大切なものが何かわかった。いつか出会う運命の人に会うまでトップ女優を目指す‼️」スザナはその後トップ女優となりテリュースと並びストラスフォード劇団をけん引した。特にやさぐれ役が観客に大評判となりやさぐれ役に関しては右に出るものがいなかったくらい演技がうまく大評判だった。Shakure おでん🍢のイメージガールとなり某ハンバーガーメーカーと競える位に売り上げが伸びた。それがきっかけでCEOのレオナルド=デッパプリオと結婚。女優を引退して毎日おでん🍢を食べて幸せに暮らしている



第2話 あの人の名前は


スザナはあてもなく汽車に乗っていた。とにかくテリィから離れたかった。辛くて辛くて近くにいるのが耐えられなかった。次から次へと涙が溢れて止まらない。“なんのために女優になったのだろう、なんのために…”テリィ、テリィ…テリィの顔が次から次へと浮かぶ…リヤ王で一緒にセリフ合わせをしている時あのときは幸せだった。シカゴでキャンディに会うまでは…。


汽車が駅に着いた。ロックスタウン駅。雪がかなり積もっており、随分小さな町であった。スザナはここで降りることにした。ここなら女優スザナに気づかれないだろうと。駅から少し歩いたらお腹が空いてきた。「食事できるところはないかしら」すると店があった。店の名前は『Shakure』入り口の張り紙に“おでん🍢あります”と書いてあった。「おでん…テリィがおでん好きだったわ。ここで食事しよう」店に入ると口が閉じれないくらい歯が出てるマスターが出迎えた。






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一瞬テリィに似ていたが良く見ると似ても似つかなかったった。“クスッ”失礼だが笑ってしまった。「俺の顔がおかしいのかい」店主はムッとしてしまった。「いっいえ、おでんをお願いします」スザナは店主の顔を見ないで食べた。見てしまうとおでんを吹き出しそうになるからだ。「ここのおでん美味しい…」スザナはいっぺんにこのおでんにハマってしまった。すると常連らしき客が「ここのおでん最高だろ‼️姉ちゃんどこから来たんだ、一人か?」「はっはい。」「この辺は夜は物騒だから気を付けなよ。行く宛が無いならここで働いたらどうだ?実はジョニー、先週妹を亡くして一人で店を切り盛りしないといけないから困ってんだよ。夜はここはバーになるからさ、昼はランチで片付けして夜の準備とか一人では大変なんだよ、な、ジョニー」「あのう、ジョニーってどなたですの?」「あいつがジョニー、ここのマスターで俺の親友だ」



スザナは勢いで飛び出したものの今夜泊まる宿など考えていなかったので働かせてもらうことにした。ジョニーのアパートの上に亡くなった妹が住んでいてまだそのままにしていたので、そこに住まわせてもらうことになった。「俺はジョニー=デッパ、君の名前なんて言うの?」「私はニコール=ロバーツです。」スザナとは言えなかった。もしかしたら知っているかも知っていたら…と思い本名は言えなかった。店はこの辺では大変評判が良く毎日とても忙しくテリィの失恋の痛みもいつの間にか無くなっていた。スザナも仕事に慣れて夜は店の前で呼び込みもするようになった。三角巾をして北風吹き荒れる中で「おでん🍢はいかが?体が暖まるおでん🍢はいかが?テイクアウトもできるので是非お立ち寄り下さい」役者をやっていたのでとても声が通るのと綺麗な顔で評判になり看板娘へとなっていった。すると店の前に一人の女性が立っていた

    続く


最近やさぐれスザナの物語を思いついて書いてみたもの行き詰まってて考えていていたら急にスザナは亡くなる時にテリィに何か言わなかったのだろうか?ここまで面倒みてそばにいてくれたのに何も言わないのはおかしくないか?反省をしてテリィにお詫びとお礼を言いなさい‼️って思いこちらを先に書き上げてしまいました。もし私がスザナの立場ならこう思い、こう言うなと思った事を書いたので本当にスザナがこう思って亡くなったのかは不明ですが最期ぐらいいい人になって。あなたのせいで世界中のテリィファンが未だに苦しんでいる。そんな人達を少しでも心が軽くなるようにしてよと思いこんな感じに仕上がりました。皆さんこんなもんでよろしいでしょうか?(笑)