肝移植術後のお話はこれで最後です。


どんどん体力は回復。肝機能もずっと正常。主治医は手術をしてもらったこの病院でも、経過としてはベスト10に入るという快復でした。


術後半年以上経過して、今は亡き嫁のお母さんが遊びに来ました。本来は3泊ほどしてゆっくりしてもらう予定でしたが、家が恋しくなり早めに帰りたいとのことで、ぼくが新幹線で送ることになりました。


その帰り、乗り換えが間に合いそうになく、ホームを駆け足で移動したら,今までに覚えのない息切れがしました。


心房細動があり、左室の駆出率も45%と悪いのは肝移植前から循環器のフォローで知っていましたが、息切れなどは日常生活を普通に過ごしている上ではあまり生じてませんでした。


それが心不全の症状を自覚した最初でした。


それからは、肝臓に脅かせられることは減ってましたが、はんたいに心臓に悩まさせられる日々へと変化していきました。


肝移植後の免疫抑制剤も漸減、プレドニンも数ヶ月程度で中止となり、糖尿病も安定しインスリン注射も必要なくなりました。


術後一年経ち、仕事にも無事復帰してました。


まだその頃は心不全で入院ということはなく、心室頻拍が起きたのはそれから3年ほどあとのことでした。


肝移植に関しての気がかりは胆管縫合部の狭窄にステントが入っているだけとなりました。ふつう半年くらいでステント入れ替えをするらしいのですが、あまりにデータも普通で肝臓は元気ということで、伸ばし伸ばしになってました。


流石に1年以上起きっぱなしは危ないとのことで、一月後にステント入れ替え予定で入院予約して待機してたある夕方。


もう4月になりだんだんと暖かくなってくる頃なのに,すごい寒気がします。


家にかえりすぐに温かいシャワーを浴びましたが震えがおさまりません。


風邪でも引いたかなって早く布団に入りました。


そうしたら,全身がガタガタガタガタ震えます。


なんだか熱っぽいので熱を測ったら39.5度あります。


一晩我慢して病院に連絡。


すぐに診ますとのことでした。


風邪みたいな症状はなく、下痢や嘔吐もありません。腹痛もなし。発疹なども出現なし。


血液検査,レントゲン、CTなどしてもらっても熱の原因が分からず,ただ病院ベッドで丸まってじっとしてました。


ただCRPだけは15mg/mlと高値でした。AST、ALT、γGTも境界程度でした。


肝移植チームの先生もややお手上げで原因が明らかにならず。


次々と,膠原病科、循環器内科(感染性心内膜炎疑いで)、感染症内科の先生などが診察に来られました。


それでも病名は分からず、免疫抑制剤を一時的に減らし、点滴で水分を補給されるだけでした。


熱は連日40℃を超えてます。


これ以上は待てないとのことで、最終的にはステント感染症がやはりもっとも疑わしいとのことで、4日目にステントを抜去することになりました。


ステントを抜いてもらったら,一気に熱が下がり炎症反応も低下。抗生剤の点滴も始まり,体調もあっという間に良くなりました。


結局、肝機能がほんとに微増しただけでしたが、それが唯一のサインだったらしいです。


消化器内科の先生たちと移植チームの協議の末、胆管はいくぶん細いものの胆汁を流すには十分な広さがあるとのことで,新しいステント入れずとのことになりました。


ステント抜いて数日経過を見てもらいましたが,胆道系酵素の上昇も皆無で無事に退院となりました。


その一件だけが大きな術後合併症でした。


ほかには、クレアチニンが1.5くらいになり,タクロリムスによる腎障害が疑われ、早めに濃度を低めにコントロールされました。しかし、それ以上は上がることもなく、1.3から1.5までで保たれてました。あとから思えば、心腎症候群によるクレアチニン上昇だったのだと思います。


ここからは,ほぼ心不全との闘いに変わってきます。


それにしても,嫁さんからいただいた肝臓は最強で、肝移植部の先生のみんなから、よっぽどいい肝臓を貰ったねって労っていただきました。


ドナーの嫁さんがいなかったら,心移植まだ辿り着けなかったのは確実で、感謝です。


ちなみに、肝移植は最終診断が3個の肝臓癌ということでの移植でしたから、心臓の移植登録するには癌完治後5年が経たないとできないと言われてました。その間はなんとか耐えるしかない状況でした。


肝移植後無事5年経って癌の再発がないことを確認。その春に心移植登録してもらい、さらにその3ヶ月に心室細動になり緊急VADとなりました。当時は心移植登録してないとVADは入れられずタイミングもギリだったわけです。


じぶんながら強運(ひとは悪運が強いとも)だと思います。