湯川学は石神哲哉に対してある書類を渡した。
それにはリーマン予想の反証がしるされていた。
石神にはその反証が誤っているということを指摘できた。
なぜなら、反証を試みる上での根幹となる素数分布についての間違いがあったからだ。
石神哲哉は警察を欺くため、綿密な計画を立て難解なトリックを用意した。
それは、湯川に気付かれることさえなければ誰にもばれなかっただろうと思えるほど巧妙なものだった。
しかし、結果として警察は真犯人である花岡靖子と共犯者である石神の両名を逮捕できた。
なぜなら、石神が立てた計画は、自分の花岡に対する思いは決して報われないという条件の下で成立するものだったからだ。
彼が震えながら泣き叫ぶあのシーン。
それは、彼の作った完璧であったはずの方程式が崩れた瞬間であり、彼に与えられるはずのなかったものが彼に与えられた瞬間でもあった。
面白いな~。
東野圭吾さん、さすがっす。
