一年に一回の自身の健診に行ってきた。毎年同じ病院でやっているのだが、今年になってある変化に気が付いた。検査をしてくれる看護師さんがやたらと謝るのだ。「荷物をかごに入れてください、ごめんなさい。」「腕を捲り上げてください、すみません。」「お手数ですが、このカルテを持ってレントゲンを撮ってきてください。ごめんなさい。」最初の頃はあまりなんとも思っていなかったのが、気になりだすとやたら耳に付く。確かに、謝っておけば他人は悪い気がしない。でも自分は大した人間ではないので、あまり恐縮されてしまうと逆に居心地が悪い。


受付の方から高齢と思われる男性の怒鳴り声が聞こえてきた。「どういうつもりなら!」と相当な剣幕だった。こりゃ収まりそうにないな、と思っていたら暫くして「あんたがそう言うんならそうじゃろ。ありがと!」とご機嫌になっている。これはどうした事かと思案していたら、受付の女性はひたすら低姿勢、申し訳ありません、すみません、を連発している。


ひたすら患者様には低姿勢で、とマニュアルにでもあるのかもしれない。逆にそう考えれば、気持ちもないのに機械的に謝っていることになる。そこにはお世辞ロボットがいて無機質に応待しているだけかもしれない。


最後に医師の診察があった。糖尿病予備軍の自分は早速そこを突っ込まれる。今は病院の連携がPCのディスプレイ上に瞬時に出てくる。自分が診察してもらったM内科の受診履歴や検査結果までそこには表示されていた。

「M先生からは食事制限や運動推奨とか言われてないですか?」

「日本酒を焼酎にするように言われました。」

「えつ?実はそれ、間違いなんですよ。お酒が良くないのはアルコールなんです。糖の事を言われよんでしょうが、醸造酒だろうが蒸留酒だろうが、そこのところはちょっとの差なんです。」

炭水化物ダイエットの話をしたら、この先生に火がついてしまったようで話が止まらなくなった。

「毎年お米の消費量は減っているのに、逆にメタボは増えているんですよ!何故だかわかりますか?」

後、ご飯は必ず茶碗一杯くらいは食べないといけない(アルコールを分解するのにエネルギーが要る。エネルギーがないと肝臓に負担をかける。)。ビールが良くないのはつまみ。(ビールのつまみには油ものが良く合うから。)云々。


話が長くなってきたので、先生は待合を見に行った。「もっと話をしたいですな、お時間よろしいですか?もしよろしかったら先に次の人済ましますので。」次の人を待たせてはいけないと、一旦待合に出て待つことに。先に次の人を済ませてからまた話の続きがあった。久しぶりに熱い先生に出会った。最後の方は、本当に相手の事を考えて下さっていることが伝わって、とても感銘を受けたのであった。



うえまさのニッキ