うえまさのニッキ


320日に東京へ行ったのは、温泉ソムリエの講習と認定を受ける為だった。温泉を趣味としてきた自分が、より深くそれを堪能するために、どう言った勉強をすればいいのかが一番の関心事だった。温泉ソムリエの資格自体は、半日の講習を受ければ貰えるのでお気楽な資格だと言える。温泉自体がお気楽な趣味なので、その方が返ってギスギスしなくて済む。温泉についてシビアなのは、自分が師事している郡司氏を見れば分かるが、それこそ何千湯と温泉に入らなければ本当の違いなど分からないだろう。それはそれで凄いとと思うが、振り返って自分とすれば平均的な知識くらいは欲しいものである。それで、温泉ソムリエとは一体どんな事を知っていればいいのか?この点が一番気になるところであった。



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会場は地下鉄表参道駅から歩いて徒歩5分程の所にある表参道ヒルズのすぐ裏手にある、新潟館ネスパスというところ。なんで新潟?と思ったが、講師の温泉ソムリエ家元の遠間和広氏は新潟の赤倉温泉にある遠間旅館の御主人で、新潟の観光では有名な方の様だ。温泉ソムリエのテキストにも新潟の温泉がよく引用されていたのもこの所以であろう。会場はあまり広くなかったが80余名もの受講生が来ていた。北は北海道から南は九州までそれこそ日本各地からの参加だそうだ。



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遠間氏の講義はさすがに手際よく、要点を分かりやすく話してくれた。時々ユーモアも交え飽きさせない。ギャグは結構おもしろかったが、みんな真剣なのか誰も笑わない。もしかしておやじギャグだから?笑いのポイントは遠間氏と合致していた。途中、この人、誰かに話し方が似ていると思ったら、あのビートたけしそっくり。途中からはビートたけしがカブって可笑しくてしょうがなかった。でも誰も笑わないので一人で噛みしめるしかなかった。



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温泉好きが高じると温泉が一番と思うようになり、温泉の効能がすわ治療法と勘違いしてくる人もいる。温泉で病気を治すと言う話を聞くたびに、「それは違うだろう」といつも思っていた。遠間氏もこの点では同じ見解の様で、「治療は病院へ、温泉は予防」と言った言い方をされていた。然し、温泉には免疫力を高める効果もあるので、あながち全否定でもあるまい。そして、やはり温泉には療養泉と言うのがあるので、その病態に応じた使い方をしたら更に温泉を活用できるとの事。自分には効能とか微々たるものとしか思ってなかった節があって、全く温泉の効能など意識していなかった。遠間氏が思いこみでもいいからそう思って入ると快方に向かうかもしれないし、それだけありがたみが増すと言っていたのを聞いて、今度からは効能も意識して見ようと思った。



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今回の講義で一番為になったのは、温泉分析表の見方だった。これまで温泉に行くと必ず温泉分析表を見ていたが、泉質、湧出温度、PH値ぐらいしか見ていなかった。陽イオンや陰イオン等細かい数字が書いてあっても何の事か分からなかったが、この中から何を読み取るか?をポイントを絞って的確に教えてもらった。そして、意外と表示されている分析表には泉質表記の間違いが多い事、泉質表示には反映されないが泉質の特徴を分析表から読み取る事が出来る事等、今度からは分析表を見るのが楽しみになってきた。

最後に、飛び込みで石川理夫と言う方が発言された。何でも温泉界ではカリスマ的存在の方らしい。講師の遠間氏がしきりに恐縮してこの先生の本はバイブルだ!なんて言ってたから今度読んでみようかと思う。何の話かと思ったら、原発事故が起こって地熱発電を推奨しようする動きが活発になった。地熱発電は地下から大量の熱水をくみ上げるので、地盤沈下や地震を誘発するばかりでなく、近くの温泉の枯渇といった問題も引き起こすらしい。上品な方なのであからさまに批判はされなかったが、温泉好きの集まっている会場だから、地熱発電に反対しましょう!とはっきり言ってくれても良かったのにと思った。頭が良くないので婉曲に言われても気付かないので。最後の最後でやっとその主旨が掴めた。



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