うえまさのニッキ


パチンコ店の新装開店と聞けば、血が騒いだものだった。この日ばかりはお店も負け覚悟で良く出してくれるので、こんなチャンスは滅多に無かったからだ。但し、この日の営業時間は23時間が普通で、短期決戦に開店前には皆殺気立っていた。



笹沖のマンモスでの事。入口は3箇所あったが何処も押すな押すなの大盛況。入口がガラスのドアだからあんまり丈夫ではない。開店5分前にどこかほかの入口が開いてしまい、客が店内に傾れ込んでしまった。するとこちらの入り口でも強行突破しようと皆が後ろから押していく、その瞬間だった。圧力に耐えかねたドアのガラスが割れてしまったのである。そして、割れたガラスで腕を切って流血の事態になった。救急車がやってきた。それでもけがをした人は「何時間並らんどった思っとんじゃ~、」と言いながら血だらけで打とうとしていた。ここまで必死になるか~、と思ったが、たかがパチンコされどパチンコなのである。



新装開店には大きく2種類あって、建物も新しい新築開店と、台の入れ替えによる新装開店がある。新築開店の場合は店側も出血大サービスと言うぐらい、こちらにとってはかなりおいしかった。笹沖ミュージックと言うストリップ劇場の跡地に「サイライ」と言う名のパチンコ店が新築オープンした。建物自体そんなに大きなものではなかったので、果たして大盤振る舞いと行くのだろうかという不安はあった。それでも多くの客で店内はごった返し、通路にも人が溢れる有様だった。幸い、台を確保でき、スーパーコンビと言う一発台を打っていた。普通は4000発終了だが、それ以上出ているにも拘らず終了確認に来ない。周りを見ると2箱目に入っている人もいるではないか!通路が客でいっぱいなのとドル箱がある為、店員が身動きとれないでいる。暫くして後ろから「もう良いんじゃない?変われよ。」と言われた。一発台は一回交替だった。店員も大声で叫んでいるし、6000発ぐらい出ていたので交換することにした。すると周りも自主的に止めて交換し始めた。すると、「本日の営業時間はあと30分です。」とアナウンスがあった。恐らく予定より出過ぎてこのままでは危ないという判断だろう。それこそ「鬼の様に」ほぼ全ての台が出ていた光景を見たのはこれが最初で最後だった。そうして新築オープンはこの日1時間で終了した。




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新装開店を待っている間は、結構時間があって皆いろんな話をしている。これから起こる有利な戦いに向けて皆興奮状態だ。あるおじさんが言っていた言葉は今でも心に響いている。「パチスロはいかん。あれは極悪非道じゃ。パチスロで家を建てたいう話は聞かんが、パチスロで家を失ったいう話は聞くで。」20年ほど前の話だが、今でも通用する名言である。



西大寺のジャンボの新装にパチ仲間で行った事がある。その時M野が作業服にサングラスという井出達で現れた。高校生じゃあるまいし、なんて気の小さい奴なんだとその時は思った。帰り際、M野がいない事に気が付いた。後で聞いたらパチンコ店から途中で追い出されたらしい。ビッグ・ドンの件でパチプロとしてレッテルを貼られ出入り禁止を喰らっていた為、変装して行ったようだった。その日も店員に見つかり事務所に連れて行かれたそうである。「おめ~なんべん言や~分かるんじゃ!。」と言われたそうな。その時、同級生にこんなツワモノがいたなんてまさにビックリ・ドンだった。




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