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神様は時として意地悪をする…
せっかくの決意の朝に限って雨降り
それとも お天気だけは神様もお手上げか?

雨の音がザーッと聞こえるくらいに降る中
傘を広げて学校へと歩き始めた…
もう結構な水溜りができていて 上手くかわしたり 時に はまったりしながら進んでいく…

今朝の自分が いつもの自分じゃない事は
その周りを伺う視線からも明らかだ…

いつ彼女が声をかけてきてもいいように
心の準備は完璧にできている!
いつ彼女が横を通り過ぎてもいいように
全力で五感を研ぎ澄ましている!

しかし この大雨の中では 声も届かないか…
あまりにも余所見をして歩いていた為に
靴も靴下もズボンの裾もズブズブになった…

「まいったなぁ… 靴下変えなきゃ…………」

そうボヤきながら立ち止まった自分に

「おっはよー!おっはよー!!」
彼女の声が雨の音を遮って聞こえて来た…

「おっはよー! 凄い雨だね???」
「ホントにね〜!?カッパとか嫌いなんだけど さすがに今朝は諦めたよ…」
「だよねー? 自転車で傘じゃ 頭以外は全身ずぶ濡れになっちゃうもんなぁ…!?」
「この時期に風邪なんてひきたくないしねー! んじゃ 雨ヒドイし先に行くね〜!!」

ピンクのゴミ袋にカバンを詰め 前カゴに入れてるせいで 重さにフラつきながら彼女は行った…

天気のせいにしたくはないが
話そうと思ってた半分も言えなかった…
何より悔やまれるのは

「明日から 一緒に登校しようよ!!」
その一言が言えず約束もできなかった…

悔しくて また俯き加減で歩きながら
結構な深い水溜りにはまっても
もう全然気にも留めず黙々と歩いた…

その日は 土砂降りの雨が一日中降り続いた…

放課後 いつもの様に図書室に行き
また いつもの様に いつもの席に座る…

グランドは予想通りの泥沼化状態だ…
彼女もさすがに部活は休みかな?と思っていたら 現実はそう甘くはないようだ…

体育館への渡り廊下をランニングしている
女テニの皆さんの姿が見えた…

恐らく階段の昇降から始まり
廊下ではダッシュ&筋トレってとこか…?

この蒸し暑い中 彼女が熱中症にならないか?
なんて柄にもなく心配している自分が笑えた…

気を散らす要素が無い為 最近には珍しく集中し 本の世界にドップリと浸かり楽しんでいた…

「本の世界は素晴らしい!!」

改めて目を閉じ ひとり感動に浸っていると
不意に肩を叩かれた…………

「やっぱり ここにいたかぁ〜!?」
ジャージ姿で首にタオルを掛けた彼女がいた…

「驚かすなよ〜!?部活?」
「そうだけど 今ちょっと休憩中だから来てみた」
「そっか… お疲れさま!頑張るね〜?」
「うん!頑張ってるよ!! 強くなりたいから」
「そりゃそーだよな!?いつも応援してるよ!!」
「ありがと!!あーもー 時間が無いから要件だけ伝えて行くね… あのさ…………」

彼女は急に下を向いて しばらく黙りこんだ…

「どーしたんだよ?急に改まって……???」

すると意を決したかのように話した…

「明日の朝から一緒に登校して下さい! 待ち合わせ場所等の詳細は 明朝登校時にて打ち合わせとゆーことで ヨロシクお願いします!!」

話すだけ話して一礼し 駆け出して行く彼女に 戸惑いながらも無性に嬉しくて叫んだ…

「オッケー 了解!!また明日な〜!!」
彼女の背中に大声で返事をすると 振り返り小さく手を振って出て行った…

その脇で司書さんが「静かに!」のボディアクションをしていたが それどころではなかった…

明日から彼女と一緒に登校だなんて…………

何を話して良いのかサッパリだが
明日から彼女と一緒に登校だなんて…………

並んで歩いて良いのかどうかも微妙だが
明日から彼女と一緒に登校だなんて…………

自分のキャラ設定も決めてないが
明日から彼女と一緒に登校だなんて…………

本来なら自分から言うはずだったのに
明日から彼女と一緒に登校だなんて…………

はああああああぁ…………

想いは果てなく駆け巡り…
結論は全く見えずとも…
明日の事は明日考えようと…
無理矢理納得して開き直り…
浮き足立った脚で…
必死に地を踏みしめながら…
上の空で記憶に残らない下校をした…

「決戦は金曜日ならぬ木曜日!! …の朝に……」


つづく