アルコール依存症患者の断酒補助剤、「レグテクト」が2013年5月27日に発売されました。レグテクトは従来の嫌酒薬に比べ、脳に働きかけるタイプの新しいアルコール依存症治療薬です。
日本では従来、「ノックビン」と「シアナマイド」が嫌酒薬として処方されていましたが、これらはアルコールの分解を阻害して、僅かのお酒で悪酔いさせ、飲酒に嫌悪感を抱かせるタイプの薬です。
レグテクトは上記2剤に比べ、脳の「飲酒欲求」を標的とする。つまり本質的な部分に作用すると言われています。
どういう仕組みかというと、
お酒をたくさん飲むと酔っ払いますが、これは脳の機能が抑えられているために起こります。脳機能が低下するため、フラフラしたり眠くなったりするのです。
私たちの脳内で働く神経伝達物質として「脳の興奮に関わる物質」と「脳の抑制に関わる物質」の2つがあります。
この中でも、脳の興奮に関わる神経伝達物質として記憶や学習に関与する「グルタミン酸」があります。また、脳の抑制に関わる神経伝達物質として「GABA」と呼ばれる物質が関与しています。
アルコールを大量に摂取すると、グルタミン酸の作用が弱まり、その反対にGABAの作用が強くなります。その結果、脳の機能が抑制されるというのが酔っ払う時のメカニズムと考えられています。
長期間大量にお酒を飲み続けていると、脳内が常に酔っ払いの状態に維持されるようになります。つまり、グルタミン酸の作用が弱まり、GABAの作用が強くなっているのです。
これでは脳機能が正常に働かないため、グルタミン酸の作用を強くさせるようにします。つまり、アルコール依存症患者では正常な人に比べて、脳内のグルタミン酸が多くなってしまうのです。
この結果、お酒がないとグルタミン酸が過剰になっている状態になってしまいます。
アルコール依存症患者では脳の興奮に関わるグルタミン酸が過剰に存在しているため、脳内のバランスを保とうとするためにお酒を欲するようになります。これが強い飲酒欲求を起こさせるメカニズムと考えられています。
グルタミン酸が関与する興奮性神経の働きを抑制することによって神経間のバランスを調節し、アルコール依存症を治療する薬がレグテクトで、アルコール依存症での「お酒を飲みたい!」という気持ちを抑えるのです。
しかし、「服用するとお酒を飲む気が全く失せる魔法の薬だ」とは考えない方がいいかもしれません。
国内第III相プラセボ対照二重盲検比較試験の結果は、
断酒意志があり、心理社会的治療を併用するアルコール依存症患者(327例)を対象として、本剤666mgを1日3回(1998mg/日)又はプラセボを24週間食後に経口投与した。その後、24週間の追跡観察期間を設けた。
その結果、投与期間の完全断酒率は、本剤群47.2%(77/163例)、プラセボ群36.0%(59/164例)であり、本剤のプラセボに対する優越性が示された。
つまり、レグテクトを服薬している人と服薬して異な人を半年後に比べると、服薬している人は100人中47人断酒が継続し、服薬していない人は100人中36人断酒が継続していたということです。
効果はないわけではありませんが、驚くほど効くわけではないようです。
今日は花見(⌒▽⌒)





