災害医療の中の災害看護は、災害時に被災地で医療以外の分野の人たちに医療や看護の技術と知識を提供し、協力しながら看護活動を行うことです。被災者の被害を最小限に抑えるため、災害救急医療や感染症対策、精神看護、そして保健指導などを行います。

災害医療の現場では、医療や看護にあたれる人の人数が少ないことや十分な医療資材が確保できないことがほとんどです。また、安全とは言えない場所での活動も行うことがあるため、災害現場の看護師には通常の看護業務以外の活動が求められることもあります。

被災地で看護活動を行う看護師を、災害支援ナースと言いますが、このナースは医療手当だけでなく、支援活動も行わなければなりません。活動は、災害サイクルによって変わってきます。

災害直後から3日目までは急性期と呼び、中等度から重症患者に対する初期治療や軽症者の処置、患者や家族への身体的、精神的支援、被災者の受入体制の構築、遺体の処置などを行います。

亜急性期は急性期後から1カ月経過までのことで、ここでは感染予防対策や外部支援団体との連携、患者の容態を踏まえた転院調整、通常診療に向けての調整、被災者の精神的ケア、職員の精神的ケアなどを行います。

その後は慢性期、静穏期へとなるわけですが、通常の病院での業務とは違い、被災者に対する精神的ケアや、医療物資などの手配、避難所の環境整備などが多くの業務となります。過酷な環境の中で業務を行うことになるので、自身の精神的な強さも求められるでしょう。

災害医療においての看護業務の専門とも言える、災害看護専門看護師という専門看護師がいます。この資格を取得して災害看護専門看護師になるにはどうすれば良いのでしょう。

災害看護専門看護師は、まず保健師、看護師、助産師のいずれかの資格を取得します。そして通算5年以上の実務研修を受けること、(うち3年以上は専門看護分野研修が必要です)、看護系大学院修士課程修了者であり、専門看護師教育課程基準を取得することが条件です。

その後、認定審査を受け、合格すれば認定料5万円を収め、災害看護専門看護師として看護協会に登録となります。この資格を取得すると、5年ごとに更新審査があります。

災害看護専門看護師になると、災害に関する知識が身につきますし、災害時に役立つ看護技術も身につきます。また、災害医療を通じて各方面と連携するため、幅広い人脈をつくることも可能です。様々な分野の人たちと連携した活動をするため、災害医療に関する知見も深まりますし、看護師としての視野も広くなります。

日本は自然災害が多い国です。どの地域で起きても不思議ではない状態ですから、災害看護専門看護師は全国どこででも活躍することができるでしょう。

この専門看護師の資格がないと災害医療に携われないのかというとそうではありません。一般の病院勤務の看護師でも、災害医療の現場に携わることは可能です。災害支援ナースに登録するとか、災害拠点病院に勤務する、そしてDMAT(災害派遣医療チーム)に所属することで災害看護に携われます。

看護師は、災害時には欠かせない人材といえます。災害時に看護師としてどのように活躍できるのか気になる方は、こちらのサイトに記載があったので読んでおくと良いでしょう。