APC-011 アルビオンは陸上部隊に配備されている装輪装甲車である。
名称であるアルビオンはギリシャ神話に登場する巨人。
これまで陸上部隊は隊員輸送用の装甲車としてAPC-79を大量に配備していた。
APC-79はレゴ暦1979年に開発された装甲兵員輸送車で、当時の主力戦車であるMBT-76に
随伴するための車両として各地の機甲部隊或いは普通部隊に配備された。
一台あたりの価格が非常に安く、低コストだったため現在までに約1500台以上が配備されている。
使い勝手もよく、快適性も比較的良いため隊員からの人気は未だに第一級である。
APC-79と共に。この2台が並んだ様子を見た隊員達は「デザインの落差がすごい」
と口々につぶやいていたという。
なお、APC-79は近代化改修が施された最新バージョンのタイプである。
しかしAPC-79は配備開始から既に30年以上経過しているため、近代化改修を重ねたと言えど、
アストメリア共和国のウォーフォックス、ブリック共和国のフォモールⅡ、LEGO連合王国のシュイカー
など各国の配備する高性能な装輪装甲車と比べると大きな性能差があるのは明らかであった。
後継車両の必要を感じた特別防衛警察部隊はゴールデン社に新たな装甲車の開発を依頼した。
要求は以下の通りである。
・装輪式であること
・前面は20mm弾、その他の周囲は12.7mm弾に耐えうる装甲とすること
・エンジンはなるべく大出力のものを
・トランスミッションはマニュアルモード付ATとする
・路上最高速度100km/h以上
・ファミリー化を視野に入れた発展性
陸上部隊側から提示された要求を元にしてゴールデン社は早速開発を開始した。
3年後に試作車両が完成し、それから半年後に所要の改良を経て正式な量産型が完成した。
アルビオンの試作車両。フロントフェイスや側面装甲のデザインが正式量産型と異なる。
試作車両のエンジンは鍛造ピストンやチタン加工リングなど凝りに凝ったエンジンを搭載していたが、
あまりにもエンジン自体のコストが高すぎるため一般的なエンジンに再設計されている。
ただし、それでも可変ノズルターボを採用するなど開発元のゴールデン社のエンジン技術が光る。
完成した本車は片側4輪の計8輪の構成となっている装輪装甲車に仕上がった。
防御力の強化と輸送能力を向上させるためにAPC-011は先代のAPC-79より大きい車体となっている。
本車は機甲部隊の主力車両であるHWAV-012 アーヴァンクに随伴可能とするため、
現代の装甲車には必須とも言える高い走行性能を備えている。
大出力のV型6気筒ツインターボのおかげで最高速度は要求された
スペックを上回る136km/hに達している。
なお普段は電子制御リミッターにより最高速度は110km/hに制限されている。
リミッターは操縦席にある緊急走行時リミッター解除スイッチで解除出来る。
緊急時以外は車両に取り付けられているリアルタイム監視システムにより
リミッターの不正な解除は出来ないようになっている。
搭載されたエンジンは新開発の排気量9800ccのV型6気筒ターボ・チャージドディーゼル。
ツインターボ過給を採用し、最高出力534馬力、最大トルクは179.4kg-fmを発生する。
なおこの数値はあくまでカタログスペックであり、実際に生産されたエンジンは最高出力が
580馬力をオーバーする個体が多数を占めているとのことである。
エンジンの過給機には可変ノズルターボを採用している。可変ノズルターボはエンジンの回転数に応じて
タービンのブレード回転数を調節するシステムで、排気ガスの流れる量を制御して過給効果を高める事が出来る。
当初はツインスクロールターボの採用が検討されていたが、可変ノズルターボの採用によって
より効率的な過給のコントロールが可能であるため、そちらが採用された。
可変ノズルターボの採用によりどの回転数からでも適切な過給を行う事が可能となり、どの領域から
踏んでもターボ特有のもたつき(ターボラグ)がない、短時間ですぐさま立ち上がる素早い特性となっている。
トランスミッションは手動変速可能なマニュアルモード付12速多段セミオートマチック。
多段化することで1~12速までの変速をクロスレシオにする事が出来、加速性能の向上を実現している。
変速スピードは僅か0.02秒程度で、素早い変速が可能である。
なおエンジンとトランスミッションは一体化されたパワーパックとなっているため、
故障時や整備時の本体の取り出しが非常に容易となっている。
メーカーによれば、回収車両1台があれば15分以内でエンジンの交換作業を完了出来るとの事。
駆動方式はパートタイム方式の全輪駆動である。常時全輪駆動ではなく、普段は4輪駆動となっている。
操縦席にある切り替えスイッチでワンタッチで4WD→6WD→8WDへの切り替えが可能。
装甲は前面と側面に複合装甲が組み合わせられている。それ以外の部分は
一般的な均質圧廷装甲である。
防御力は前面が30mm徹甲弾、側面が18.5mm弾、その他の部分は7.62mm徹甲弾となっている。
上面の装甲は付近で爆発した榴弾砲弾や迫撃砲弾の破片に耐える。
本車に合わせて、側面には専用の増加装甲が開発されている。
側面の増加装甲はチタンやセラミックなど高い強度を持つ素材で形成された複合装甲である。
これを装着すれば非力な側面装甲に25mm徹甲弾の連続射撃に耐え、HEAT弾などの
成形炸薬弾頭を備えた対戦車ロケット弾から防護出来る防御性能が付加出来る。
従来の複合装甲より20%近くの軽量化を実現しながらも防御力は確保されている。
これにより、本車は要求を上回る防御力を有している。
増加装甲は基本的に生産時から装着されており、モジュール式であるため取り外しは可能と
なっているが装甲が損傷を受けた際などを除いて増加装甲が外される事は殆どない。
武装はアストメリア共和国製の12.7mm重機関銃付きRWSをライセンス生産したものが搭載されている。
AMR製のRWSは陸上部隊の多数の車両に装備されており、性能・信頼性共に抜群の安定性である。
RWSにはその他に4つのスモークディスチャージャーも装備されており、攻撃を受けた際などに
煙幕弾を発射して相手の視認を困難なものとし、迅速な後退を可能とする。
12.7mm重機関銃以外には対戦車ミサイル発射機「ATM-28S リプトン」が用意されている。
リプトンは赤外線を利用したパッシブ誘導方式で、発射直後に照準を終了する事が
出来る撃ちっ放しタイプの対戦車ミサイルである。
ミサイルの弾道は発射後そのまま直進するダイレクトアタックモードと
装甲車両に対して装甲の薄い上部を狙うトップアタックモードが選択可能。
弾頭は爆発反応装甲などを装着した車両でも撃破可能なタンデム成型炸薬を備えている。
ミサイル自体の装甲貫徹力はRHA換算で約730mm以上。
万が一戦車などの重装甲目標と遭遇した場合はこのリプトンを用いて撃破する事が出来る。
リプトン搭載車両の車内には再装填用に2発予備弾が搭載されている。
なお、12.7mm重機関銃とリプトンを二つ装備している車両も多数存在している。
ATM-28S リプトンと12.7mmRWSを両方搭載したタイプの車両。
ちなみに隊員達からは「欲張り仕様」と呼ばれている。
スペースの関係上から欲張り仕様タイプは車長用サイトが小型の物に変更されている。
RWSと対戦車ミサイルは両方とも車内からの遠隔操作が可能で、これにより、
市街地戦や対ゲリラ戦で大きな威力を発揮する。
その他にアルビオンにはHWAV-012 アーヴァンクで初めて採用されたハードキルタイプの
APS(アクティブ防御システム)である「ヴェイロン」が装備されている。
本車に装備されているのはランチャー本体を新型のものに換装し、動作速度をさらに
向上させた改良型であるヴェイロンⅢである。
二段構え式の対戦車ロケットランチャーへの対策を施した世界的にも珍しいAPSで、
対戦車ミサイルに対してもほぼ100%に達する撃墜率を誇る。
乗員は操縦者1名、車長1名、隊員7名の計9名である。
車幅を抑えているため、車内はそれほど広くはない。そのため快適な車両が多い陸上部隊の
車両としては珍しく、窮屈で狭いと評判はあまりよろしくないようだ。
特に満員時の9名乗車時は「めっちゃムサ苦しいから嫌です」と若い隊員からは不評である。
その隊員達の声を聞いた設計チームは「フン、この贅沢者どもめが・・・近頃の若者はこれだから好かん」
と吐き捨てたらしいとの噂がまことしやかに囁かれている。
上面には乗車戦闘用のハッチが取り付けられており、身を乗り出して射撃を行う事が出来る。
ただし被弾する可能性も高いため、乗員は基本的には下車戦闘を行う事となっている。
前面の防弾ガラスハッチは開閉が可能。開閉はスイッチ一つのワンタッチで、
普段は視界がクリアになるなどの理由から開かれている事が多い。
防弾ガラスは前面装甲と同じく35mm徹甲弾に耐えうる防護性能を持っており、
強化防弾ガラスとしては驚異的な耐久性能を持つ。
本車は非常に発展性に富んだ設計である。要求にもあったファミリー化を実現するために、
アルビオンはゆとりのある設計となっている。
現在の時点で基本型のAPCを含め、6種類のファミリー車両が存在しており、アルビオン即応戦闘部隊
として各地の陸上部隊の基地にて部隊の編成が始まっている。
わが国は比較的国土が広いため、戦略的機動性の高い装輪装甲車は真っ先に侵攻部隊の迫る
場所へ高速道路など整ったインフラを利用して向かう事が出来る。
有事の際には同じ装輪装甲車である主力戦車クラスのHWAV-012 アーヴァンクと共に
迅速に前線へ向かう事で、侵攻を食い止める事も決して不可能ではない。
海外で行われているPKO任務などにもアルビオンは使用されており、海外派遣仕様の
アルビオンが多数現地へ派遣され、治安維持任務等に用いられている。
海外派遣仕様のアルビオン。画像の車両は側面にさらにスラット装甲を追加した車両である。
ただし共に派遣されている重装甲のHWAV-012E4と違い、車体底面の装甲の薄さからIEDなどの
即席爆発装置などには軟弱であるため、基本的には比較的治安の良い地域に配備されている。
底面には通常型のアルビオンから装甲が追加されているが、厚さは十分とは言えないため
自己鍛造弾を用いた新型のIEDや爆薬量を増やした強力なIEDには対処出来ない。
形状も緩やかなため、本格的なMRAP車両ほどの防護能力は持たない。
手前にある丸型のセンサーは地中や地面に仕掛けられたIEDを検知する全方位センサーである。
HWAV-012E4の海外派遣仕様どあるHWAV-012E4RAと走行するAPC-011。
優れた機動力により、迅速な展開を可能としている。
航空部隊の持つ大型輸送機、ホエールシャークに積み込まれる
アルビオン。手前の車両は側面にスラット装甲を取り付けた仕様の車両である。
ホエールシャーク輸送機にはAPC含めて全ての仕様のファミリー車両が2両搭載出来る。
・バリエーション紹介
・APC-011
基本型の隊員輸送仕様。12.7mmRWSとATM-28S リプトン対戦車ミサイルを備え、
先代のAPC-79を上回る高性能装輪装甲車に仕上がっている。
APC-011の各タイプの中で最も生産数が多い車両である。
・APC-011B1
PKO任務などの海外任務用に改良されたAPC-011。
塗装がタン色を基調とした砂漠迷彩に変更され、IED対策として車体底面の装甲が強化されている。
さらに、車体下部の前面にはIEDを検知する高性能センサーが搭載されている。
車体側面にさらにスラット装甲を追加している車両も存在する。
[諸性能一覧]
全長:6.82m
全幅:2.27m
全高:2.30m
乗員:9名(操縦手1名 車長1名 隊員7名)
車両重量:18.1トン
19.6トン(増加装甲装着時)
駆動方式:全輪駆動(状況に応じて駆動輪の切り替え可能)
エンジン:1万1000cc V型6気筒ターボ・チャージドディーゼル
534馬力/2100rpm 179.4kg-fm/2000rpm-3300rpm
最高速度:136km/h(普段はリミッターにより110km/hに規制)
航続距離:658km
燃料タンク容量:591リットル
燃費:約912m/L(舗装路を60km/hで巡航した場合)
0-100km/h加速:17.4秒
武装:12.7mmRWS
ATM-28S リプトン対戦車ミサイル
ハードキルタイプAPS
装甲:複合装甲(車体前面・側面)
均質圧廷装甲
[あとがき]
最近ロボットの記事が多かったので、久々に車両の記事を。
このAPC-011 アルビオンは去年の8月に製作した同名の作品をリメイクしたものです。
リメイクとは言っても、武装以外は共通点が一切無い完全な新規設計ですw
リメイク前アルビオンを製作した時は車両関連の技術の無さゆえに、6輪構成でしたが
最近再びリメイクの構想を練って、製作を進めていました。
今度は自分の作りたかった8輪構成の現代っぽい装甲車に仕上がったので満足しています。
ただ、車内の狭さが危機的です。先代のAPC-79より狭いですw
気力があればファミリー車両の記事もアップしたいですね。
なお、旧アルビオンの記事は近日中に削除する予定です。






























