長襦袢に取り付けられていた一本の紐。
それは、亡きお母様が「少しでも着やすく」と願いながら、
手を動かし、工夫して縫い付けておられたものでした。

その小さな手仕事に触れたとき、
目には見えない想いが、そっと手のひらから伝わってきて——
胸がじんわりと熱くなりました。

着物はただの衣装ではなく、
家族の時間や記憶を静かに受け継いでいくもの。

その尊い瞬間に立ち会わせていただけることが、
着付け師としての何よりの喜びだと
改めて感じた出来事でした。