(ここは何処だ・・・・・・・。)
輝の目の前には、そう観たことの無い景色。無色とでも言うか。
「色の無い世界・・・・・。」ボソッと呟いた。
その瞬間。また激痛が走った。
打った痛さではなく、そう。夢の中での出来事が現実になったかの様に・・・・。
そう。彼はまだ知らない。何も色も背後から聞こえている声にも・・・。
カァカァー。カァカァー。
激痛の中聞こえて来た声?音?まるで話しかけらあ れている様に。
こつん。と何かが頭に当たった。
「お帰りなさい。」と知らない様な知ってる様な低い声。
「誰なんだ。一体。」
輝は、自分の姿さえ見えない世界に怯えながらも、強気で言った。
「おかしな事を言うね。アハハ。」
馬鹿にしてるかのように笑いながら答えた。
「君の家だよ。まぁ見えないだろうけど。」
もう、ハテナがいっぱい有りすぎて何も言えない。
と思いながらも質問し続けた。
「ここが俺の家?見えてもいないのに家かよ。意味わからなすぎだ。」
「そうだろうね。アハハ。でも僕は事実を言ってるだけだよ。」
更に意味わからなくなって、てんてこ舞いだ。
「あー。もう早く帰せよ。俺は学校に行かなきゃ行けないんだ。」
強気で輝が言った。
「もー。わかってないなぁ。」
(どっちがわかってないんだよ)と心の中でキレていた。
「わかってないのは、君の方だよ輝。」
え?何故だ。言葉にしていないのにバレてるし、つか名前をいつの間に!?
「まぁまぁ、そんなに慌てないで。からかいが有るよホントに。」
アハハハハハ八ハッハー。と山びこの様に笑い声が広がっていく。
「しょうがないから今回はここまでにしといてあげるよ。」
「えっ!ちょっと待て!!」
ハッと目が覚めた。目の前には白い壁。
「良かったー。」
と母の声が聞こえた。
「輝大丈夫?」
「あぁ・・・。まぁ。」
どうやら此処は、病院に居る様だった。
「全く無茶しすぎなんだから。」少し怒ったような声で母っが言った。
「え・・・。俺何したの?」
「何言ってをいるのよ。路上にいた鳥をかばってトラックに挽かれたんでしょ。」
(は?意味わからない。鳥を助けた?俺が?)
疑問だらけだったが、母には心配させたくなかったから、相づちをうった。
「あー。そうだったな。んで、その鳥は無事なのか?」
「えー。大丈夫よ。寧ろあなたに懐いたみたいに、傍から離れないのよ。」
ふと、横を観ると、窓に鳥が一羽とまって、こちらを見ていた。
鴉な様な鷹のような凛々しく、真っ白な羽を持ち、吸い込まれそうなキリッとした赤黒い目。
そいつを、見ていたら一瞬笑った様な顔をした。
気のせいかも知れないが確かに笑った。
まるで、あの時の笑い声で笑うかの様に・・・・。