翌日から、食べる間も寝る間も惜しんでネットに出ているものを読み漁りました。

「私は膵臓がんで、すぐに死んでしまうんだ」と、間違った知識に支配されていたものの、ゴリには何も話せませんでした。

 

記憶が曖昧ですが、そこからは週に一度くらいの頻度で造影剤を使ったCTやMRI、最初から最後まで苦しんだ超音波検査内視鏡検査と、検査が続きました。

超音波内視鏡検査では全く麻酔が効かず、人間の当然の反応で最初から最後まで口から入れられたカメラを出そうと嘔吐し続け、終わった時には涙で顔も髪もとても濡れていました。

検査後は麻酔で眠っていたり朦朧としている本人は休ませておいて、付き添いが話しを聞くようです。

私の場合は全く麻酔が効かなかったので「ご本人がしっかりしているので、このまま聞かれますか?」と医師に言われ、「はい。」と即答しました。

看護師さんが「最初から麻酔が効かなかった患者さんは初めて。辛かったですね。」と差し出してくれたティッシュを受け取り「付き添いに“お昼ご飯を食べて来て”と伝えてください。」とお願いしてティッシュで顔と髪を拭き、検査室内でそのまま話しを聞きました。

 

「現時点では“膵管内粘液性腫瘍”、“IPMN”と思われること。IPMNは“主膵管型”、“分枝型”、“混合型”に分類され、私の場合は“混合型”で、がん化しやすいので手術が必要。ただ、細胞を採取して検査した結果、がん細胞が見つかる可能性もあるので、細胞採取の検査が必要。」

 

と、検査をしてくれた若い医師が絵を描いて丁寧な説明をしてくれました。

私は頭が真っ白になって「手術は腹腔鏡で出来ますか?」とか「細胞採取も、今日みたいに苦しいですか?」と、変な質問をする始末。

 

「とても難しい大変な手術になるので、開腹手術になること。細胞採取はERCP(説明あり)で行い、検査後に膵炎を起こす可能性がゼロではないので、2泊3日の入院になること。麻酔は今日とは違う薬でちゃんと効くようにするので安心して欲しいこと。」

 

などを一通り説明した後、パソコンで何か確認しながら「キャンセルが出て空いているので、1週間後、来週の火曜日に入院出来ますか?あ、入院は前日の午後で。」と言われ、頭の中を全く整理出来ないまま、私はどこか人ごとのように「はい。」と答えていました。

 

入院案内所で薬剤師面談の後、案内所の人と途中から来た病棟看護師から各種説明を受け帰宅。

この日は朝から18時頃まで病院内に。

自動支払機は終了していて、支払いは総合受け付けの唯一開いている窓口で済ませて帰途へ。

私は朝は検査の為に、その後は慌ただしくて何も食べる事が出来ず、水分を口にしたのも帰宅後の19時頃でした。

 

医師が書いてくれた紙を見せながら、ゴリに大まかに説明すると「(キャンセルで)早く検査してもらえるから良かったね!入院の日はテレワークにして送って行くから大丈夫。」と言われたものの、私はまだ実感がありませんでしたし、何故か感情が一切動きませんでした。

 

そしてこの日から私の検索対象は「IPMN」に変わり、また寝食を惜しんでひたすら検索し続けました。